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「これ、返却お願いできるかな?」
「わかりました・・・て、珍しいですね。雪兎先輩が放課後に図書室にいるなんて」
名前は雪兎から受け取った本をスキャンしながらそう尋ねた。雪兎は先生に捕まって、と言いながら持ってきた本のカバーを軽く撫でた。本のタイトルからして政経の授業で使用した物だろうと名前は推測する。
名前はすべての本をスキャンし、それをカウンターに積み上げた。
「返却記録はつけたのでもう大丈夫ですよ。お気をつけてお帰りくださいね」
「名前ちゃんはまだ委員会?」
「はい。これから今日返却された本を戻してから帰ります」
名前はカウンターの後ろにも積み上げてある本を指で差しながら雪兎に説明した。
「じゃあ、僕も手伝うよ」
「え、いいんですか?」
「うん。今日はもうすることがないからね」
「ありがとうございます!それじゃあ・・・この本お願いします。場所は書いてありますので」
「わかったよ」
雪兎の好意に甘えて、手伝ってもらうことにした名前。雪兎は嫌な顔一つせずに最後まで手伝っていた。
雪兎の協力もあってか、数十冊もあった本は短時間で片づけることができ、閉館することになった。名前は電気を消して、鍵を閉めた。そして、委員会の先生に鍵を渡して帰ることになった。雪兎は名前の歩幅に合わせながら隣を歩いた。
「今日は本当にありがとうございます」
「別にそんなにかしこまらなくてもいいんだよ。あ、ちょっと待って!」
雪兎は千彰を引き留めて、鞄の中から小さな包みを出して名前に渡した。よく見るとお化けのプリントがされたチョコレートであった。
「今日はハロウィンらしいからね。頑張った名前ちゃんにご褒美だよ」
「いいんですか!ありがとうございます・・・あ、これどうぞ」
名前はもらってばっかりは、と思って鞄にあったクッキーを雪兎に渡した。
雪兎はそれを受け取ると幸せそうに微笑んだ。
「ありがとう名前ちゃん」
「いえいえ・・・これって『トリック・オア・トリート』ってよりも『トリック・オア・トレード』て感じですね」
「はははっそうだね。あ、そういえばさ」
雪兎は何かを思い出したかのように話を区切った。
「明日も図書当番?」
「え?はい。そうですね」
「じゃあ、明日も手伝うよ」
「そんな、悪いですよ。雪兎先輩も忙しいのに・・・」
名前さすがに2日もお世話になるのは、と思った。しかし、雪兎が名前の両手を自分の両手で包みこみ、ダメかなと聞いてきた。
名前は拒否権が用意されていない要求に対して、NOと言えるような人ではないので、小さくはいと答えた。
「じゃあ、帰る方向同じだし一緒に帰ろうか!」
「え、先輩!手っ!!」
「んー?」
雪兎は笑顔で名前の手を握り、再び歩き出した。
2014.1031
2022.0708 加筆修正
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