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風に吹かれながら見下ろす街はとても綺麗だった。
倒壊したビル、荒廃の進む家、苔が生い茂るアスファルト。すべてが綺麗だった。長い年月をかけて作り上げた物こそ、一瞬で壊れるところはもっと綺麗だろうに。
当てもなく外を歩き始めて3日。そろそろ帰らないと女王に何か言われてしまう。
曲がりなりにも貴族であるが、私はその息苦しい枠組みが嫌いで、女王に掛け合い条件付きで好きにさせてもらっている。
帰路に就き、ゆっくりと歩く。すると、前方に紅い瞳の見慣れた仲間がいた。
「やあ、ラクス。久しぶり」
「久しぶり、じゃねーよ。何日ほっつき歩いてんの?」
「3日くらい?」
「いや、知ってるよ」
はあ、と呆れたように溜息を吐くラクス。私はそれを見てくすくすと笑う。
「捜しに来てくれたんだ」
「別に」
「ありがとうラクス」
お礼を言うと恥ずかしいのだろうか、そっぽを向くラクス。声を掛け一緒に帰ることになり、二人横に並んで歩く。
空も日が落ちて血のように紅く染まり、東の空にはうっすらと星が見える。
「なんで名前は外に行きたがるのさ」
ラクスは私に尋ねる。私は足を止め紅い空を見上げ、つられるようにラクスも空を見上げる。
「何でだろうね、私にもよく分からない」
どんな顔をして言ったのか私は分からない。
ラクスは何も言わずに私の右手を握った。強く、離さないようにと。
「どこにも行くなよ」
「行かないよ」
否、行けない。
女王との約束がある。私は自由ではない。だから、自由を求めて外に行くのかも知れない。でも、確信は無かった。本当に何も考えていないのだから。外の世界に気がひかれる。それだけの事。
でも、それ以上に戻りたいという気持ちも大きい。
女王を裏切ろうとも思わないし、仲間を危険にさらすのも嫌だ。
「私は仲間のもとに帰るよ・・・独りぼっちは寂しいからね」
私はラクスの手を握り返し、再び歩み始める。
日が落ち、闇夜に紛れ二人は消えた。
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