log

 昼休みに私は久しぶりに学校の屋上に上った。
 静かで誰もいないこの場所が私のお気に入りだった。
 フェンスに手を掛け、校庭を眺める。そこには何も知らない生徒たちが楽しそうに遊んでいる。それさえも仕組まれたことだと知らずに。



「危ないぞ」
「総士くん」



 背後からの声に私はゆっくりと振り向いた。
 綺麗な髪をたなびかせながら近寄ってくる姿はどこぞの王子のようで、でも雰囲気は大人のようで、浮世離れしている気がする。



「どうかしたのか?」
「ううん。ちょっと、ね」



 私たちは子供のころからこの島の事を全て知っている。総士は親の関係上、私は不慮の事故でこの島を知った。
 すべてを知った私たちは、いつの間にか一緒に居る時間が多くなっていた。



「ねえ、お願いしていい?」



 ふと、昔のことを思い出した私。あのころは何も考えていなかった。平和だということが当たり前で、仲間と一緒に遊んでいたのが楽しかった。



「なんだ、いきなり」
「東京に連れてって」



 空を見て言う。この空の先には何があるのだろうか。
 もちろん、東京がないことも知っている。外は危険だということも、人類軍と呼ばれる連合軍がいることも。
 総士は何とも言えない顔で同じように空を見上げる。



「それは・・・・」
「いいよ、別に。偽りでもいいから、平和がほしいって思ってさ」



 総士を見つめ微笑んだ。
 総士は困ったように笑い返してくれた。



「いつか、その時が来たら私と一緒に居てくれる?」
「ああ・・・」



 総士はそう言って屋上を出て行った。残された私は再び空を見上げる。
 青く、綺麗で何処までも続いていく空。



「その日まで、私はここにいる・・・?」



 ファフナー起動実験で侵された私の体は後何年持つのだろうか。



 
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