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 運が無かったな、なんて思いながら痛む頭を抑える。
 偶々出張で、この列車に乗ってそしてテロに会う。そうそうあることではない。
 私は倒れこむ男から銃を奪い取り、2人を中央に集め、両手に持つ銃を突きつけた。ロープなんてものは無かったため拘束してはいないが、先ほどの脅しが効いているのか大人しくしている。


「それで、あと何人いるのですか?」


 男に尋ねるが、男は何も答えようとしない。それを見た私は、男に確信を持って話しかける。


「ここは、中央車両ですからね。ここに2人居るということは、前後に2人以上居ることは分かります。あなた達の目的がトレインジャックによる他者への交渉であることを前提として、人質が客全員なのか、それとも誰か他に居るのか。例えば軍将校とか政治家とか。交渉でない場合は乗客を無差別に殺しますし、乗客に手を出さないあたりそういうことでしょう?」
「・・・・・」
「無言は肯定とみなします。ということで、親玉は一等車両ですか」


 確認をとるように聞くが、返事はない。私はそれを気にすることなく、これからどうしようかなと考える。
 そんな時、後方車両から金属的足音がこの車両に向かってきたことに気が付き、後方扉を見つめ左手に持つ銃を向けた。
 引き金を半分ほど引いた状態で、扉を見つめる。ゆっくりと扉が開き、相手の大腿部を狙っていると、予想に反して鎧姿の人間が現れた。
 私は反射的に足元に一発発砲する。


「わわっ、ちょっと待って!」
「君はこの人達の仲間ですか?」
「ちょっ、違いますよ!」


 鎧の姿の人は少し高めの男声でそう言う。嘘をついていないようで、武器を持たない。
 私は無害であると認識して銃を下し、再び男達に銃口を向けた。


「なにか、縛るものとかありませんか?この場を離れたくても離れられなくて・・・・」
「あ、はい。少し待ってもらえます?」


 鎧の男はそう言うと何処からか白いチョークを取り出すと、座席に円陣を描き両手を合わせ陣の上にかざした。すると、小さく発光しながらロープが出現した。


「錬金術師でしたか」


 錬金術。等価交換による錬成。その大部分は一般人には理解できない範疇にある。
 鎧の男は錬成したロープを片手に私に近づく。


「はい!これでいいですか?」


 鎧の男はそう言い、ロープを渡してきた。私はそれ受け取ると手早く男を縛り上げる。


「それで、君は後ろから来たけど・・・後ろは安全なのですか?」
「はい。僕ら一番後ろの車両に乗っていたので。一般客車と機関室はあと2人、一等車には将軍を人質に4人いるらしいです」
「僕ら?」


 私は鎧の男の話を聞きながら相手の持っていた銃を弄り、持ち直しながら問いかけた。鎧の男は先頭車に続く扉を開きながら答える。


「僕の兄が上を伝って機関室に向かっているんです」
「そう」
「えっと、あなたはどうするんですか?」


 鎧の男は私に尋ねてくる。
 この車両に来た男は正当防衛として捕まえたが、親玉を捕まえる気はなかった。
 ただ、二日酔いでイライラしていたのだ。


「まあ、乗りかかった船ということで。お手伝いしましょう」


 そう言い私と鎧の男は先頭車に向かった。


 
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