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 私は懐かしい人と、先ほど知り合った子供たちを家に招いた。
 私に案内されるまま3人は家の中に入り、リビングに通す。何年かぶりに帰ってきた家は生活感の欠片もない。
 何も出さないのは悪いと思い、まだ期限の切れていなさそうなインスタントのコーヒー4人分を淹れ、3人に出すと対面するようにソファに座った。


「2人はコーヒー飲めますか?・・・・飲めないときは砂糖でもどうぞ」


 エドワードとアルフォンス、特にエドワードに対して砂糖を出しながらコーヒーを差し出した。エドワードは砂糖を入れなくとも飲めると少し怒り気味に答え、コーヒーを飲んだ。ロイはエドワードを鼻で笑うと自身もコーヒーを口にした。


「それで、何のようですか?」


 私は表情を変えることなく尋ねる。隙を見せないように、相手を見定めるように目を細めた。
 エドワードとアルフォンスは只ならぬ威圧感に冷や汗を垂らし、ロイはその雰囲気をわざと壊すかのように咳払いをした。


「その前に、何故戸を閉めたのか聞いておこうか」
「いや、久しぶりすぎて驚いたというかなんというか」


 事実、彼ロイ・マスタングと面と向かって話すのは実に6年ぶりと言える。
よく、私のこと覚えていたなんて柄にもなく思う。
 エドワードは私の緩んだ雰囲気を感じたのかほっと息をつくと、話を切り出した。


「あんたが名前・苗字?『純白の錬金術師』の」
「そうですよ・・・と、言いたいところですけど」
「え?」
「もう国家錬金術師ではありませんよ、多分。面倒になって、5年は査定を行っていません」


 時計は軍本部に送り返しましたし、お金も返しましたと言ったら、ロイは嘘だろといった表情で資料を見ながら言う。


「国家資格はまだ剥奪も返上もされていない。大総統が過去の貢献からの計らい資格は査定保留になっている」
「嘘、ですよね?もう元の研究は行ってないって手紙を送りましたし」
「いいや、見るかい?」


 ロイは持っていた資料を差し出した。
私は奪うように資料を受けとり、上から下まで目を通していった。内容はロイが言ったことと違いはない。
 資料をテーブルに投げるようにおいてため息を吐く。


「ああ、面倒」


 不機嫌な私は気持ちを切り替えるようにコーヒーを一口飲む。それにつられるようにエドワードとロイもコーヒーをすすった。


「それでもう一度聞きますが、何の用でここまで来たのですか?」


 あまり美味しいとは言えないコーヒーを飲み、気分を変え本来の目的を問う。
ロイはもう一枚の資料を手にエドワードを横目で見る。


「明日、綴命の錬金術師に合いに行く予定だ。そこでついて来てもらいたい。名字少佐の知識が必要だ」
「『綴命』?分野は?」
「生体錬成だ」


 綴命の錬金術師、か。聞いたことがない。ついさっきまで田舎にいたのだから、最近のことには疎い自覚がある。
 幸い、仕事の復帰は来月からだ。時間には余裕があるし、興味がある。
 生体錬成と聞いてから、エドワードとアルフォンスを見る。そして再びロイを見て条件を出した。


「ひとつ、私の行動とその理念に口を出さないこと。ふたつ、理由を話すこと。それで手を打ちましょう。無理に話さなくても結構ですけど・・・錬金術師なら『等価交換』ということで」


 私は指を出しながらそう言った。
 ロイは最後の条件を聞いてエドワードを見た。エドワードは一瞬困惑した表情をしたが、真っ直ぐに私の目を見た。


 私はその目が好きでは無かった。


 
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