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「分かった」


 エドワードははっきりと告げた。
 私はそれを聞いてコーヒーを一口啜った。
 エドワードは着ていた服を一枚脱ぎ、右腕を肩から露出させる。それを見た私はカップからゆっくりと口を離し、音を立てずにカップを置いた。


「機械鎧ですか・・・ああ、思い出しました。最年少国家錬金術師『鋼の錬金術師』エドワード・エルリック。エルリックと聞いて、どこかで耳にしたと思っていましたが・・・・・なるほど、それで生体錬成に興味を。まあ、これで条件はよしとしましょう」
「聞かないのか?この姿になった理由を」


 エドワードはそう言いながら床に視線を落とした。
 別に私はその体になった経歴に興味はない。


「いいです。それ以上話されると私が困りますから。それで君は何が聞きたいのですか?」
「賢者の石について知っていることを教えてくれ・・・元の体に戻りたいんだ」


 賢者の石、ねえ。
 久しぶりに聞いた単語。表情を変えないようにエドワードに服を着るように言い、足を組んだ。


「賢者の石、そうですね。あれがあれば腕の1本や2本生やすことは容易でしょう。ですが、すみません。私は文献程度のことしか知りません。あまり役に立てなくて申し訳ない、生体錬成に関しては基本のことしか理解していませんし正直あまり興味がない」


 エドワードとアルフォンス、はそれを聞いて肩を落とす。


「それで、大佐は私に何を払ってくれるのですか?」
「私もか!?」


 ロイは間を開けずに言い放った。
 私はこの男は何を言っているのか、と言い返す。


「先ほどの条件は、エドワード君たちに知識を貸すための条件です。勘違いしないでください。私の貴重な休みを減らす等価はあなたから貰うんですよ」


 死んだような目でロイを見つめる。
 地方に左遷されたからといって、仕事がないわけではない。むしろ人手が少なく、1人が請け負う仕事量が増えるため残業続きであった。それに、私は軍人であり医者である。
 患者というものは平時においても減るわけではない。


「それは・・・悪かった」


 ロイは目を逸らして言う。
 エドワードは場の空気に耐えられなかったのか、空気を壊すように少し大きめの声を出した。


「と、とりあえず明日よろしく!」
「はい。では明日」


 私は明日も会う約束をして3人を送り出す。
 別れ際、ロイは小さい声で、しかしはっきりと尋ねてきた。


「先ほどから体調が悪そうだが、大丈夫か?」
「・・・昨日送別会といって死ぬほど飲まされました。二日酔いです」


 何処か遠い目をしながらそう答えた。

 
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