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 翌日、私とエルリック兄弟、ロイは『綴命の錬金術師』ショウ・タッカーに会いに行った。
 昨日と違い、幾分か体調が良くなり多少は顔色がいいだろうと少しだけ化粧をした。あまり見た目は変わらないが、最低限な礼儀というものがある。


「それで大佐。人の言葉を理解する合成獣について詳しく教えろよ」


 エドワードは車に乗りながらロイに聞いた。ロイは先に車に乗っており、資料をめくった。そして、私が車に乗り込んだのを見ると、車を発進させ合成獣について話し始めた。


「私は当時の担当じゃないから実物を見てはいないのだが、人の言う事を理解し、そして喋ったそうだよ。ただ一言『死にたい』と」


 ロイの言葉を聞き、驚くエドワード。ロイはその反応が当たり前という態度で話を続けた。


「まあ、とにかく。どんな人物か会ってみる事だね」


 エドワードとアルフォンスは強く頷いた。
 車に揺られるほど数十分、タッカー氏宅に到着した。家は私の家と同じくらい否、庭がある分それよりも大きく感じる。
 ロイが呼び鈴を鳴らす。
 エドワードとアルフォンスは何処か落ち着かない様子であたりをキョロキョロと見渡している。私は3人よりも離れた場所に立ち、家を遠目で見ていた。
 数回、呼び鈴が鳴ったとき、草陰から何か大きい物体がエドワードに襲い掛かる。私は反射的にいつも携帯しているナイフを握った。


「こら、だめだよ。アレキサンダー」


 幼い少女の声が耳に入る。そして、私はその物体を見た瞬間それを握る力を緩め、息をついた。
 エドワードに襲い掛かる物体。それは、白くて大きい犬であった。


「わぁ、お客さまいっぱいだね!お父さん!」
「ニーナ。だめだよ、犬はつないでおかなくちゃ」


 家から出てきた男性と幼女はそう言い、犬を家の中に入れた。アルフォンスは、エドワードに手を貸し立ち上がらせる。
 男性はショウ・タッカーと名乗り4人を中に案内する。
 案内された家の中はお世辞にも綺麗とは言えないほど散らかっており、洗濯物はおろか使用した食器でさえ台所に積み重ねられていた。タッカー氏はその中から比較的綺麗なカップをとり、紅茶を人数分用意した。


「いや申し訳ない。妻に逃げられてから家の中もこの有り様で・・・・」


 タッカー氏は悲しむように笑いながら話した。綺麗に紅茶をカップに淹れると、向かい会うように椅子に座り、 手を組んだ。


「あらためて、はじめましてエドワード君。『綴命の錬金術師』ショウ・タッカーです。えっと、それと彼女は・・・?」


 笑みを浮かべ自己紹介をするタッカー氏。エドワードのことは事前に聞いていたのか知っていたらしい。
 突然訪問した私は彼に軽く自己紹介をする。


「失礼しました。軍服ではありませんが、私は名前・苗字少佐です。一応、純白の銘を持った国家錬金術師と医者もやっています。よろしくお願いします」


 軽く会釈をしてタッカー氏を見る。彼は国家錬金術師ねと小さく呟いた。しかし、それに気がついたのは私だけだろう。
 ロイはエドワードを手で指しながら紹介する。


「彼は生体の錬成に興味があってね。ぜひタッカー氏の研究を拝見したいと」
「ええかまいませんよ」


 快く受け入れてくれるタッカー氏。だが言葉を続ける。


「人の手の内を見たいと言うなら君の手の内も明かしてもらわないとね。それが錬金術師というものだろう。なぜ生体の錬成に興味を?」


 昨日、私が述べたことに近い発言をするタッカー氏。エドワードは聞かれる可能性があることを覚悟していたのか決心したような目をしていた。
 ロイは、エドワードの複雑な事情を配慮してタッカー氏に虚実を伝えようとしたがエドワードがそれを遮り、自ら服を脱いだ。露出した右腕には銀に輝く機械鎧がタッカー氏の目を引いた。


「なんと・・・・それで『鋼の錬金術師』と」


 私はこれからエドワードが話そうとしていることを察し、部屋を出て行こうと席を立つがエドワードが私のコートの裾を掴み、それを阻止した。


「アンタにも聞いてもらいたいことなんだ・・・・」


 小さくそういうエドワード。
 私は何か言おうと口を開くが音を発することはなく、エドワードに言われるがまま椅子に座りなおした。


 
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