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 空は厚い雲に覆われており雨が地に降り注いでいる。日は落ち、人影が少なくなってきた。
 先ほど、タッカー氏の件で憲兵が彼にやってきた。状況の説明をと、軍に呼ばれた私たちは先ほど解放され、エルリック兄弟と別れた私は再びタッカー氏の家にやってきた。
 傘をささずにタッカー氏宅の前にやってきた私だが、少し様子がおかしいことに気が付き立ち止まる。
 タッカー氏宅の前には多くの憲兵がせわしなく働いている。はずなのだが、誰もいない。
 もしかしたら、とゆっくり彼の敷地に足を踏み入れると見張りの憲兵らしき人の死体を見つけた。


「やられた・・・!!」


 急いで家の中に入ると、そこにはぐちゃぐちゃになったタッカー氏とニーナ、アレキサンダーが居た。
 部屋には私のほかに、泥のついた足跡が残っていた。大きさは成人男性と同じもしくはそれよりも少し大きい。


「さようならタッカーさん。ニーナ、アレキサンダー」


 私は小さくそう言うとその場を立ち去り、軍に連絡をする。
 タッカー氏が殺されたと、一言告げるとすぐに憲兵とマスタング大佐がやってきた。
 その表情はとても険しく、どこか悲しかった。


「何故苗字少佐がタッカー氏の家に?」


 マスタング大佐が遺体を見た後に尋ねてきた。第一発見者の私は容疑者の1人でもあった。


「タッカー氏と話がしたかったからです」
「話?」
「ええ、人間を実験に使う覚悟を聞いておきたくって」


 6年前の私と同じ答えが聞けるのか、少し期待していた。聞けなくなるのは残念である。
 そういうとマスタング大佐は眉をひそめた。


「苗字少佐、彼らが死んで君はどう思った?」


 彼は私にそう尋ねてきた。もしかしたら、マスタング大佐は私の性分を知っているのかもしれない。
 私は無表情で、正直に答えた。


「残念、とだけ思いました」


 まだ利用できたのに、とは言わなかった。だがマスタング大佐は賢いため私がどんな意味で残念と言ったのか察しているだろう。
 私は少し壊れている。その自覚はある。


「マスタング大佐は私みたいになっちゃダメですよ」


 私はそう言い残して、家に帰った。


 
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