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タッカー氏の事件があった翌日、私は軍での事情聴取を受けた帰りにあてもなく歩き続けていると一つの時計台の前にたどり着いた。シンプルな外見であるが鐘がついており目印になるような場所である。
そして、時計台の下に座っている彼らを見下ろし、声をかけた。
「風邪、ひきますよ」
「・・・・少佐」
「名前少佐・・・」
二人は何処か遠いところを見ていた。そんな様子から彼らがタッカー氏の死について知っていると理解した。
無理に聞くことはない。私はそう思い、傘を深くさして隣に立つ。
「私も過去に犯した過ちがあります。それは一般的には認められないことです。ですが、私自身間違いだと思っておらず、後悔もしていません。タッカー氏も同じでしょう。彼のした事を許せるかと言われたら微妙ですが、彼のしたかったことは理解できます」
私がそういうと、2人は何か考えているようだった。
何も言わない方がいい。そう思い私は声をかけず、そっとしておく。迷っているのだろう、自分たちのしてきたことについて、正しいのかどうか。
正しいと思っているのならば胸を張ればいい。過ちだと思っているのなら前を向いて歩み続けなければならない。私はそう思う。
雨のせいで人気がない大通りを見ると、視界に一人の男が入る。
額に大きな傷があり、サングラスをかけた男。どこかで見たことが、と思い出そうとするが思い出せない。
少し考えていると、一人の憲兵がこちらに向かってきているのが見えた。
「エドワード・エルリックさん!!ああ、無事でよかった、捜しましたよ!」
「何?オレに用事?」
「至急本部に戻るようにとのことです」
憲兵は息を切らしながらエドワードに伝える。
エドワードを見つけたことでほっとしたのか周りを警戒していない。それが仇となった。
憲兵の背後には先ほど私の視界がとらえたあの男がエドワードを見下ろすように立っていたのだ。
「エドワード・エルリック・・・・鋼の錬金術師!!!!」
額に傷がある褐色の男が、憎しみがこもった声を上げる。憲兵が咄嗟に銃を取り出すが、構える間もなく男に顔を鷲掴みされ血を流して倒れる。
恐怖のあまり足がすくみ、動けなくなったエドワード。広場の鐘の音が鳴り響き、やっとのことでアルフォンスに声を掛ける。
「アル、逃げろ!」
「逃がさん!!」
二人が走り出し、傷の男がそれを追いかける。私は、傘を閉じて近くにあった電話に駆け寄り、軍に電話を掛ける。
あの傷の男は国家錬金術師殺しの手配犯だろう。田舎にいた私の耳にも入ってきていたことを思い出す。
軍に電話をしたところ、マスタング大佐と中央のアームストロング少佐が出向いてきていることを聞いた。
少しの情報を与えて電話を切り、私は手帳を取り出す。
「さて、仕事でもしますか」
傘を投げ捨て、私は傷の男を追って歩き始めた。
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