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 バン、と銃を放つ音が聞こえた。
 急いでその場所に向かうと、腕をなくしたエドワードと、鎧の一部を失ったアルフォンス。そして、上半身裸で拳をふるい、傷の男と交戦している。


「仕事が早いね、さすが大佐」
「名前少佐!」


 大佐に声を掛けると、近くにいたハボック少尉が驚く。彼に軽く挨拶し、大佐の隣に並ぶ。


「国家錬金術師殺し・・・南部にいたころに聞いたことがあるのですが、あいつが犯人ですか?」
「ああ、10人は殺している。苗字少佐も気を付けたまえ」
「はい。それで大佐は加勢しないのですか?」
「・・・・・」


 大佐の錬金術は遠距離からでも攻撃が可能であり、威力もすごい。それに大佐がじっとしていない性分であると思われるのだが、この男は遠巻きに見ているだけであった。
 率直な疑問をぶつけると、ハボック少尉が小さな声で耳打ちをしてきた。


「大佐の錬金術は、発火布による火種が欲しいみたいなんすよね」
「なるほど、雨のせいで・・・」
「なにか言ったか?」


 大佐が少し怒った表情で聞き返してきたため、少尉は何でもないですと言って数歩下がった。


「それで、君は、加勢しないのか?」
「私の錬金術は広範囲に及びますので、軍関係者がいっぱいいる中では使えませんよ。最悪、死人を多数出しかねないのですが・・・まあ、少しくらいは協力しますよ」


 私はそう言って、手帳と万年筆を取り出して錬成陣を書きそれを破る。そして両手でそれを包みこむようにし、アームストロング少佐と傷の男に距離が生まれたタイミングを見て錬成を行う。
 一瞬の錬成反応の後、傷の男の周りは湯気に包まれる。周囲の水分を蒸発させ視界を奪った。タイミングが良ければ接している皮膚は高温多湿の状態になるため火傷する。
 男は視界が奪われたのと、高温になったことに一瞬だけひるんだ。その時を見逃さず、銃を構えていた彼女に声を掛ける。


「今だ、ホークアイ中尉」


 その声と同時に中尉は傷の男に弾を打ち込むが、傷の男はそれをよけていく。
 1発のみ掠ったが、その衝撃で傷の男のサングラスが落ちる。
 顔があらわになり、その場に居たアメストリス軍の人間および憲兵が息をのんだ。


「褐色の肌に赤目の・・・!」
「イシュヴァールの民か!」


 イシュヴァール殲滅戦の生き残り。
 私はあの男の顔を見たことあるような気がした。

 
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