命の恩人01


パチッと目を開けると、目に入ったのは見慣れた天井だった。

外は薄暗くて、朝なのか夜なのかも分からない。

私、いつ帰ったんだっけ。

そういえば…私、襲われて……



「きゃあぁぁぁ!」



あれは夢だったのか。

痛みがない腕を確かめようと身体を起こすと、私は裸で、しかも隣には…



「だ、誰!?」

「うるせーなぁ…静かに起こしてくれよ」

「え、え、待って…何でいるの?何で裸?なんで、」



パニックになってる私の手を掴んで、そのままベッドに組敷いた。

初めてちゃんと見たその人は、大きな茶色い瞳をもっていて、目鼻立ちもはっきりしていて――――人間離れしてるって言ってもいいくらい、綺麗な顔をしていた。

視界に映る逞しい腕。

何も身に纏っていないからこそ際立つ筋肉と、向けられる瞳にドキリと胸が鳴る。

得体が知れない人なのに。

昨日の、冷たい声が脳裏を掠める。

…あれは本当にこの人だった?



「なんでって?覚えてねぇの?」

「え?」

「あんなにオレを激しく求めてたのに」

「は?嘘よ!」

「忘れたなんてヒドイなぁ。……ゆき乃」



え…―――そう思った時にはもう、私の唇は温もりに包まれていた。

途端にビリっと身体の奥に電気が走ったかのように痺れる。

さっきまで何もなかった腕が、ジンジンと熱くなっていって、失っていた昨日の記憶の断片が脳裏を掠めた。



「……ユウ…セイ…」

- 5 -
prev next
novel / top
ALICE+