命の恩人03


月夜に輝く、白銀の毛。

初めて見る姿なのに、半分獣だというのに―――



「…キレイ」



―――思わず零れた。

そんな私に、一瞬目を見開くも、すぐに目を細めて笑うユウセイ。

でもその表情は、どこか儚く切ない。



「手、震えてんぞ」

「え?あ…」

「別に気にしねぇ…慣れてる。それより、オレを見た事は誰にも話すなよ?面倒な事に巻き込まれたくない」

「待って!どこ行くの?」

「…お前には関係ない」



窓を開けて片足を掛けるユウセイ。

風に揺れる耳や尻尾からふわりと獣の匂いがした。

彼を止めてどうするんだろう。

獣に襲われた恐怖を身体が覚えている。

矛盾する気持ちを説明できずにいると、「早く服着ろよ」と言って、笑いながら窓から飛び降りた。



「ユウセイ!」



私の声は、風に掻き消される。

残ったのは、身体に残るユウセイの感触と、獣の匂いだけ。

また逢いたい―――矛盾のある気持ちを抱えたまま、時だけが過ぎていく。

ユウセイの姿を見たのは、それから半年後だった。

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