相思双愛 02


連日の潜入と先の戦いでの疲労で、ゆき乃は息をするように眠ってしまっていた。

微睡みの中、感じた人肌の温もりに重たい瞼を上げて思わず息を呑んだ。呼吸が止まったかと思った。

まず腰に巻き付いた腕で身動きが取れなかった。

それから目の前には傷のある胸元があり、顔を上げると目を閉じている風柱の顔があった。

風柱から伸びる腕は、ゆき乃の背中に回っている。つまり、腰に巻き付いている腕は玄弥だろう。

これは一体どういう事なんだろうか。

混乱する頭を必死に働かせていると、「お目覚めかァ、嬢ちゃんよォ」と風柱が怒っているのか笑っているのか、分からない表情で見下ろしていた。



「え、あの…この状況は?」

「俺ァ抱き枕じゃねェんだがなァ。俺に巻き付いて寝てる奴がいるから、俺も抱き枕にさせてもらってんだよォ!後ろの奴ァ知らねェがな…」



言われてよく見ると、確かに風柱の腕は背中に回って入るが、むしろゆき乃が風柱に抱きつき脚を絡めて腰に腕を回していた。

朝起きると、いつも丸まった布団を抱き締めて寝ている。まさかそれを、風柱相手にしてしまったという事だろうか。



「わ、私が失態を!ごめんなさい、私……抱きついて寝る癖があるみたいで」

「構わねェよ。お前、抱き心地いいからなァ」

「え?」

「無防備に一緒に寝ようなんて言ったお前が悪ィ…」



思考が追いついていない内に、風柱の手が顔に伸びて顎を掴まれ上に向けられた。

そして流れるように唇に口付けが落ちてくる。

少し荒れてはいるものの、柔らかなその感触と伝わる温もりに、身体の奥がジンと熱くなった。

混乱して思考は停止しているが、初めての温もりが心地よく、何も考えなくていいのかもしれないと、ゆき乃の身体から自然と力が抜けた。

唇に触れた生温かな感触が風柱の舌だと分かり、体温が上昇していく。

口内に侵入してきた舌が上顎をなぞると、ゆき乃の口からは甘美の声が漏れた。



「風柱様ぁ…」

「そんな可愛い声出しやがって。もう、抑えは効かねぇぞォ」



風柱が着物の合わせの隙間に手を入れて胸の膨らみに触れた。

これから先の事を想像し、身体が火照る。

与えられる刺激に身を捩ると、腰に回っていた腕に力が入り、背中から身体を包まれるように抱き締められた。

これは風柱ではなく玄弥だ。

耳元に感じる吐息が熱く、背筋がゾクゾクとする。

小さく名前を呼ばれ、密着した身体に恐らく玄弥のものであろう硬い温もりがお尻に当たり、羞恥なのか昂奮なのか、気持ちが昂ぶっていく。

玄弥の片手が下がり、太腿に遠慮がちに触れる。

その触り方がくすぐったくて身を捩ると、頭上から舌打ちが聞こえた。



「オイ、邪魔すんじゃねェ」

「兄ちゃんこそ……俺はずっとゆき乃の事…」

「そォかよ。だがそんな事は関係ねェんだよ…俺はコイツを気に入ってんだァ。何もできねぇテメェに、」

「もうっ!兄弟喧嘩はやめてください!私のことは放置ですか?!二人して全くもう……っ、私のこと好きなら、二人で愛でてくださいよ。その時だけでも、同じ気持ちになれるでしょう?」



両側からツバを飲み込む音が聞こえた。

自分でも何を言っているのか、あり得ない事を言葉にしてるとは思ってはいたが、ゆき乃を通してでも二人の視線が交わるのであればそれは嬉しいと思ったのだ。

それに、ゆき乃は二人に愛される事を想像し、下半身の奥が潤ったのを自覚し、胸が高鳴っていた。







不穏な空気だった部屋は、今や甘美で艶めかしい空間へと変わっていた。

脱ぎ捨てた服が散乱し、密着する肌は汗を纏い、熱い吐息と共に漏れる声が部屋に響く。

男に抱かれるのは初めてではあったものの、ゆき乃が先刻まで潜入していたのは花街。

あの場には色香しか漂っておらず、男女の営みは何度も目にしていた。



「あぁ、ん……ハァ…あぁ、そこダメッ…」

「こんなに溢れさせて、ダメじゃァねぇだろォ」

「ゆき乃、こっち向いて」

「玄弥ぁ…ンンッ」



大柄の玄弥がゆき乃を背中から抱き寄せ、背後から胸を弄びながら口付けを落とす。

その刺激だけでも声が上がるのに、開かれた太腿の間で銀髪が揺れ、潤っているそこへ指を入れ、内腿に唇を落とし愛撫を送っている。

刺激が強すぎて、声も枯れ、脳が痺れていく。



「風、柱さま…あッ、もう……」

「物欲しそうな顔しやがって……最高だァ、ゆき乃」

「兄ちゃん、あまりゆき乃に無理させないでくれよ」

「よく言うぜェ!テメェも限界だろォ、それ」

「ハァ、玄弥ッ……みんなで一緒に、気持ちよくなろ?」



身体の向きを変え、ゆき乃はずっと腰に当たっていた玄弥のものに指で触れた。

視線を向けると、上気しながらも真っ赤に顔を染めている玄弥を見て胸がキュッと鳴る。

玄弥の手が伸び、ゆき乃の頬に触れたのと同時、四つん這いの姿勢のまま風柱の熱いものが秘部に当たり、ゆっくりと潤いの中へと入ってきた。

息が詰まりそうな圧迫に力が抜けたが、玄弥がゆき乃の身体を支えた。

大丈夫かァ、と身体を労る言葉とは裏腹に、律動は徐々に速くなっていく。



「あ、あ……ンンッ…ああぁぁッ…!」



ゆき乃、と名を呼ぶ二つの声が甘く混ざり合い、心を溶かしていった。

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