行きつけのBar。
今日はカウンターじゃなくて奥の個室に向かう。
扉を開けると、「お先です〜」なんてグラスを掲げるその姿に思わず笑った。
「え、もう酔ってるの?」
「まだだよ!今飲み始めたとこ」
「いやもうすでに3杯は飲んでるってマスター言ってたよ」
「え!?なにチクってんのよマスター」
「嘘だよ。俺の勝手な予想」
「なんだぁ〜って、バレたから良くないか」
ケラケラ笑ってまたグラスを傾けた。
保科ゆき乃。
彼女と出会ったのはこのBarで、彼女と会うのもまたこのBarだった。
最近はカウンターから個室に変わったけど。
「仕事忙しいんだって?」
「そうなの!一人辞めちゃってその仕事引き継がなきゃで。テンテコマイだよ」
「ゆき乃ちゃん一人で?」
「できる子だから、わたし」
「自分で言っちゃう?」
「あは!でも飲まなきゃやってらんないよ〜だ」
「いや、そうじゃなくても飲んでるでしょ」
「まぁね」
普段ツッコまれることの多い俺が、ついそんな事を言いたくなる。
いつも笑ってて、面白くて。
最初、この場所で会ったときも――――