そばにいたくて


その境目はどこかと言われたら困る。

だけど、何となく…想いを伝え合っていた時間はフワフワとしたものだった。

温かい空気に包まれてるみたいな感覚だった。

それが、黎弥くんの言葉でバチンと弾けた気がする。

キスって言葉に――――リアルを感じて、遮断していた思考が急速に動き出した。


「な、何言ってるんですか!」


バッと黎弥くんから身体を離した。

誰かに見られてたらどうしようって…それが気になって辺りを見回す。

この現場を誰かに見られたら、私の所為で黎弥くんが困るような事になったら…それこそ、黎弥くんのそばにいられなくなるわけで。

そんなの嫌だ!

身体を離した私の腕を黎弥くんが掴んで、もう片方の手でそっと私の頬に触れた。


「黎弥くんの気持ち嬉しい…でも私、黎弥くんのそばには…」

「大丈夫」

「え…?」

「別にオレと付き合ったからって、仕事やめなくていいから」

「…は?」

「これでもう、障害ないよな?」


そう言ってゆっくりと顔を近づける黎弥くん。

私の頭の中のパニックなんてお構いなしで…。

顎を持ち上げられて、「あっ」という間もなく唇を塞がれた――――黎弥くんの熱くて柔らかい唇で。

触れたのはほんの数秒だったけど、それでも心臓が壊れるのには十分な長さだった。

バクバクと心臓が全身を移動して回ってるみたいに、あちこちで自分の鼓動が鳴り響いている。


「オレ、ゆき乃を守りたいから…これ以上はここでは我慢するわ」

「……」

「ここではね」

「…あの」

「あ、やっぱりもう一回」


また触れた唇。

さっきより長めのキスをした黎弥くんが、大きなリップ音を立てて唇を離すと、


「誕生日おめでとう、ゆき乃」


願ってた以上のプレゼントが舞い降りた。

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