そばにいたくて


「ドライブと食事、付き合ってよ」

「えぇ!?」

「シートベルトしたな?よし、出発〜!」

「ちょちょちょ、待って!私このあとハルと予定が…」

「あー…そっちは大丈夫、気にしなくていいから」


大丈夫って何が!?

話が噛み合ってないんだけど!

そうこうしてる内に車が発進して、どうやら本当にドライブに行くみたいだった。

黎弥くんと逢えただけでも嬉しいのに、こうして黎弥くんの運転する車の、しかも助手席に乗ってるという奇跡。

あの時の自分の態度をちょっと後悔したり不安だったりした気持ちを忘れたわけじゃないけど。

それでもやっぱり、黎弥くんに逢えた嬉しさには変えられない。

喜びの方が完全に勝ってる。

…ヤバイ、泣きそう。


「ゆき乃ちゃん、どうした?」

「…いえ」

「オレに逢えて泣きそうなくらい嬉しい、とか?」


いつもように明るいトーンでそう言った黎弥くん。

いつものように、「違います」って言えばいいのに。

笑ってそう言ったら、それで終わるのに。


「……」


今日はどうしてか、その言葉が声になる事はなくて。

何故なら…それを邪魔してる、喉の奥から込み上げてきそうなものを抑えるのに必死だったから。

口を開いたら気が緩みそうでグッと唇を噛み締めた。

隣で黎弥くんが大きく息を吐き出した音が聞こえて…鼻の奥がツンとした。

気を遣わせるような態度をとってばっかで、呆れられたんじゃないかって不安になる。

咄嗟にギュッと自分の膝の上で服を握り締めると、


「予定変更」


ボソッとそう言った黎弥くんが、車をジグザグ細い路地へと走らせた。

すぐに人通りの少ない路肩に車を停めてシートベルトを外す音がして。

…え?

降りるの?

そう思ってここがどこかを確認しようと顔を上げたら…――強く力が入っていた私の手を、ふわりと温もりが包み込んだ。

そこに触れてる手は間違いなく黎弥くんのもので。

視線を黎弥くんの方に向けると、ドキッとするような真剣な眼差しが私に向けられていた。

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