ゆき乃さんの身体の柔らかさが伝わる。
もうドキドキが半端なくて…俺の心臓ぶっ壊れるんじゃないかってくらい動いてた。
そんな状態で映画館に着いたもんだから――――
「あー面白かった!」
――――全然内容覚えてへん。
暗闇の中、全神経がゆき乃さんに注がれていたと思う。
ポップコーンを食べたり、ドリンク飲んだり。
呼吸の一つとっても気になって…ゆき乃さんの一挙一動に反応しまくっていた。
そして何度かゆき乃さんと目が合った。
画面の明かりが照らすゆき乃さんの表情に何度もトキめいた。
きっと俺の顔は赤くなってたかもしれないけど…映画館の暗さじゃバレてないと思う。
「颯太」
「はい?」
「この後の予定は?何も考えてないなら帰るけど」
「も、もちろん考えてます!飯行って、その後は買い物でも行こうかなって」
「よし!」
あ、危なかった!
ちゃんと調べておいてよかったー!
ほっと胸を撫で下ろしていると、トンッと軽くぶつかるようにゆき乃さんが俺の腕に抱きついた。
「お腹すいたぁ」
俺を見つめてそう言ったゆき乃さん。
ニッと口角を上げると、身体を離して――
「え、いいんすか?」
「何がー?」
「だって手…」
「そんな気分なの!」
…さっきダメだって言ったのに。
ゆき乃さんの手が、俺の手をスッと掴んで握ってくれた。
「なに、嫌なの?」
「嫌なわけないじゃないっすか!嬉しいです!離しません、一生!」
「えーやだ!じゃあ離せ」
「え!?」
「あっは!颯太焦りすぎー!」
楽しそうに笑うゆき乃さん。
どうしよう、嬉しい。
どっからどう見ても、今の俺達の状況は恋人にしか見えなくて。
ゆき乃さんの笑顔は会社で見る時よりも輝いていた。
その笑顔は、もしかしたら――――そんな錯覚すらしちゃいそう。
ゆき乃さん。
俺、勘違いしてもいい?