デート03


ゆき乃さんの身体の柔らかさが伝わる。

もうドキドキが半端なくて…俺の心臓ぶっ壊れるんじゃないかってくらい動いてた。

そんな状態で映画館に着いたもんだから――――


「あー面白かった!」


――――全然内容覚えてへん。

暗闇の中、全神経がゆき乃さんに注がれていたと思う。

ポップコーンを食べたり、ドリンク飲んだり。

呼吸の一つとっても気になって…ゆき乃さんの一挙一動に反応しまくっていた。

そして何度かゆき乃さんと目が合った。

画面の明かりが照らすゆき乃さんの表情に何度もトキめいた。

きっと俺の顔は赤くなってたかもしれないけど…映画館の暗さじゃバレてないと思う。


「颯太」

「はい?」

「この後の予定は?何も考えてないなら帰るけど」

「も、もちろん考えてます!飯行って、その後は買い物でも行こうかなって」

「よし!」


あ、危なかった!

ちゃんと調べておいてよかったー!

ほっと胸を撫で下ろしていると、トンッと軽くぶつかるようにゆき乃さんが俺の腕に抱きついた。


「お腹すいたぁ」


俺を見つめてそう言ったゆき乃さん。

ニッと口角を上げると、身体を離して――


「え、いいんすか?」

「何がー?」

「だって手…」

「そんな気分なの!」


…さっきダメだって言ったのに。

ゆき乃さんの手が、俺の手をスッと掴んで握ってくれた。


「なに、嫌なの?」

「嫌なわけないじゃないっすか!嬉しいです!離しません、一生!」

「えーやだ!じゃあ離せ」

「え!?」

「あっは!颯太焦りすぎー!」


楽しそうに笑うゆき乃さん。

どうしよう、嬉しい。

どっからどう見ても、今の俺達の状況は恋人にしか見えなくて。

ゆき乃さんの笑顔は会社で見る時よりも輝いていた。

その笑顔は、もしかしたら――――そんな錯覚すらしちゃいそう。


ゆき乃さん。

俺、勘違いしてもいい?


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