「チョコは絶対食べる!」
「はい」
「でもナッツのも食べたいし、あ!このイチゴも美味しそ〜…ねぇ颯太どうしよう」
アイスを真剣に悩むゆき乃さんが可愛すぎて、正直アイスとかどうでもいい。
甘いの好きだけど…それよりもゆき乃さんの表情を余すことなく見ていたいと思った。
「いかがいたしますか?」
店員の声にアイスケースを覗き込んでいた顔をパッと上げたゆき乃さん。
ニコッと笑って、
「チョコとナッツのダブルと、イチゴとバニラのダブルで!いいよね?颯太」
俺のアイスまで決めてくれたゆき乃さんが振り返って俺を見た。
ゆき乃さんの笑顔が見られるなら、全然いいっす。
「俺もそれ食べたいと思ってた」
「えへへっ」
可愛く笑うと、俺の手を取ってピタッと体を引っ付けた。
なんだか…さっきから密着度が増した気がするのは、気のせい?
俺を見つめる瞳が甘い気がするのは、気のせい?
アイスのカップを二つ受け取って、ゆき乃さんがルンルンで座ったのは…元カノ達が座る後ろの席だった。
えっ?何でここ!?
突っ立ったままの俺に「早く早く!」と手招きするゆき乃さん。
先に座ってくれたお陰で、元カノとも連れの男とも視線を合わさずに背を向けて椅子に座った。
周りを見ると、席はほぼ埋まっていて。
ここに座ったのは単なる偶然だと、そう俺の中で結論づけた。
「ん〜美味しい!」
ゆき乃さんの至福の声に目を向けると、本当に美味しそうにスプーンを口に入れていて。
俺と目が合うと、ペロッと舌を出して唇を舐めた。
グハッ――――心臓破裂したかも。
「颯太〜早く食べなきゃ溶けちゃうよ!」
――俺はもう身体が溶けちゃいそうっす。
「はい、颯太」
「え…」