予期せぬ遭遇03


突然顔の前に伸ばされたゆき乃さんの腕。

その手にはスプーンの上に乗せられた、チョコのアイス。

え…えぇっ!?


「ほら、あーん」


いいいい、いいの?

俺マジ…幸せすぎてちょっと泣きそうや。

開いた唇は、自分でも分かる程緊張していて…もしかしたらちょっとブルってたかもしれない。

ゆき乃さんが、俺に"あーん"してくれてる。

デートだけでも嬉しいのに、こんな幸せねぇって!

差し出されたスプーンをぱくっとくわえたら、熱くなりすぎた俺の口内の所為でアイスが一瞬で溶けた。


「美味し?」

「うん…今まで食ったアイスで一番や」

「私が食べさせたからー?」


俺の答えを分かっててそう聞いてるって分かってる。

ゆき乃さんに届いてるはずなのに、響いてない俺の想い。

どうしたら、年齢じゃなくて俺自身を見てくれます?


「そうです、当たり前やないですか」

「あははっ!やっぱりー!」

「もう一口欲しいなぁ…」

「いいけど、私にもちょうだいね!」


ずっとこの時間が続けばいいのに…――。


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