私の答えを分かっていたのか、覚悟していたのか…颯太はピクリとも動かない。
ただその手を緩めることもしなかった。
私をギュッと抱きしめたまま、その温もりを与え続ける。
「私ね、好きな人いるの」
「……」
「ずっと見てきたの、ずっと。…本気なの」
「ゆき乃さん…」
「颯太の気持ちは有難いと思う。けど、これから先私を好きでいてくれても…颯太の気持ちに応えてあげられない」
そう言って身体を颯太から離した。
颯太の顔を見ると、その瞳はまだ真っ直ぐ向けられていて。
その表情が予想に反して力強かったから、私の方が戸惑ってしまった。
「ゆき乃さんの気持ちは分かりました」
「……」
「初めてちゃんと言ってもらえて、良かったっす」
「……」
「でもね、ゆき乃さん…それを聞いても俺の気持ちは変わらへんよ?そんな簡単に諦められる気持ちなら、最初から好きになってへん」
私の両腕を掴みながら、想いを口にした颯太。
何だか胸が熱くなった。
諦められない気持ちなら、私にだって痛いほど分かる。
ヨシユキ先輩に好きな人がいるって分かっても、私はその想いを諦められなかった。
だから颯太の気持ちは、むしろ私が痛いほど分かってる。
…私は颯太と違って、自分の気持ちを伝えられてないけど。
颯太の熱い想いに――――私は何て答えたらいいんだろう。
「今すぐに、答えを求めてません。だから…」
「…本当ね」
言葉を遮った私の声に、颯太は「えっ?」と困惑している。
自然と離れた颯太の手が私の身体を滑り落ちていく。
私はその手を掴んで…――思いっきり笑ってみせた。
「颯太の気持ち、分かった」
「ゆき乃さん」
「見せてよ、本気…それとも今日までが颯太の本気?」
「え…そんなわけないじゃないっすか!まだこれからっす」
「だったら、颯太の本気…私に見せて?」
笑顔でそう言うと、颯太の目がもっと熱くなった気がした。
こんな風に焚き付けても、私の気持ちは変わらないと思う。
だけど…颯太の言葉を否定なんて出来なかった。
「ゆき乃さん、覚悟しててくださいね!俺の本気、半端ないっすよ!」
そう言って何故か…無駄に力こぶを作ってみせた颯太。
服で何も見えないから、その凄さも分からないのに。
自慢気な顔に、思わず笑っちゃう。
「期待はしてないよ!でもまぁ、頑張れ」
「ぜってぇ負けねぇっす」
「何に対してよ!」
私達の笑い声が駅前に響く。
そんな私達を…通り過ぎる人達と顔を出した星達が見ていた。