本気の恋02


私の答えを分かっていたのか、覚悟していたのか…颯太はピクリとも動かない。

ただその手を緩めることもしなかった。

私をギュッと抱きしめたまま、その温もりを与え続ける。


「私ね、好きな人いるの」

「……」

「ずっと見てきたの、ずっと。…本気なの」

「ゆき乃さん…」

「颯太の気持ちは有難いと思う。けど、これから先私を好きでいてくれても…颯太の気持ちに応えてあげられない」


そう言って身体を颯太から離した。

颯太の顔を見ると、その瞳はまだ真っ直ぐ向けられていて。

その表情が予想に反して力強かったから、私の方が戸惑ってしまった。


「ゆき乃さんの気持ちは分かりました」

「……」

「初めてちゃんと言ってもらえて、良かったっす」

「……」

「でもね、ゆき乃さん…それを聞いても俺の気持ちは変わらへんよ?そんな簡単に諦められる気持ちなら、最初から好きになってへん」


私の両腕を掴みながら、想いを口にした颯太。

何だか胸が熱くなった。

諦められない気持ちなら、私にだって痛いほど分かる。

ヨシユキ先輩に好きな人がいるって分かっても、私はその想いを諦められなかった。

だから颯太の気持ちは、むしろ私が痛いほど分かってる。

…私は颯太と違って、自分の気持ちを伝えられてないけど。

颯太の熱い想いに――――私は何て答えたらいいんだろう。


「今すぐに、答えを求めてません。だから…」

「…本当ね」


言葉を遮った私の声に、颯太は「えっ?」と困惑している。

自然と離れた颯太の手が私の身体を滑り落ちていく。

私はその手を掴んで…――思いっきり笑ってみせた。


「颯太の気持ち、分かった」

「ゆき乃さん」

「見せてよ、本気…それとも今日までが颯太の本気?」

「え…そんなわけないじゃないっすか!まだこれからっす」

「だったら、颯太の本気…私に見せて?」


笑顔でそう言うと、颯太の目がもっと熱くなった気がした。

こんな風に焚き付けても、私の気持ちは変わらないと思う。

だけど…颯太の言葉を否定なんて出来なかった。


「ゆき乃さん、覚悟しててくださいね!俺の本気、半端ないっすよ!」


そう言って何故か…無駄に力こぶを作ってみせた颯太。

服で何も見えないから、その凄さも分からないのに。

自慢気な顔に、思わず笑っちゃう。


「期待はしてないよ!でもまぁ、頑張れ」

「ぜってぇ負けねぇっす」

「何に対してよ!」


私達の笑い声が駅前に響く。

そんな私達を…通り過ぎる人達と顔を出した星達が見ていた。


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