熱視線01


「だからね、颯太…」

「やめてよゆき乃さん」

「…え?」


私の言葉を予想したのか、颯太が私の言葉を遮った。

心なしか、私の肩を掴む颯太の手が肌に食い込む。

颯太の声に、言おうとしていた言葉が喉の奥へと飲み込まれていく。


「そんな奴らと一緒にせんといてくださいよ」

「……」

「そんな口だけの男と、俺の想いが一緒にされるなんて心外や。俺、ゆき乃さんの笑顔に惚れたんです…こっちまで嬉しくなるような笑顔に。俺はその笑顔を守りたいって思ってるし、俺が幸せにしてやるって…そう思ってます」

「颯太…」

「笑ってて欲しいんですよ、ゆき乃さんに」

「……」

「その笑顔を俺自身が崩すような事なんてしない。俺がゆき乃さんを幸せにするって、決めたんです」

「……」

「俺を選んでくれたら…――その選択を後悔させる事は絶対にしない!」


強く強く、颯太の想いが胸に響いた。

真っ直ぐ見つめられて、穴が開くんじゃないかってくらいそこが熱くて。

どこからか、ドクンドクンと…心音が聞こえてきた。

颯太の心臓?

そう思ったけど、私の手は今、自分の身体の隣にぶら下がっていて…触れてないのに感じるこの音は、もしかしたら私のものかもしれない。

自分の気持ちなんて考えられない。

それ程、颯太に見つめられてその熱さに吸い込まれそうになる。


「ゆき乃さん…」


スッと颯太の手が肩から頬へ動いた。

丁寧に撫でるように触れてから、掌全体で私の頬を包み込む。

途端に、身体の奥が疼いて…。


このまま、思うままに行動したらどうなるかなんて、分かってる。

颯太がどうするかなんて…その瞳から伝わってきた。

だけど私はそれを避けるどころか、それでもいいって思った。

考えなしにって訳じゃないけど。

この瞳を拒否できなくて――――近づく颯太の顔に、私はそっと目を閉じた。


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