ツン…――とほっぺを押されて目を開けた。
何度か瞬きしてようやく焦点があった先には、
「おはよう、ゆき乃」
やっぱり勇征。
寝起きで勇征の笑顔見れるなんて幸せ!
「えへ、寝っちゃった」
「ガッツリ寝てたな」
「だって、ゆせくんの手あったかくて…眠たくなっちゃったの」
「えっ!俺ってそんな安眠効果あんの?」
「あるある!私いつも眠いもん」
「マジかぁ〜すげぇな俺」
「ねぇゆせくん…ゆき乃だけだよ?」
いつの間にか離れていた手を両手で掴んでギュッとする。
一瞬目を見開いた勇征が、「あったりまえだろ」と私の髪をクシャっと撫でた。
勇征のこういう所好き。
すごく大切にされてるって思えるから。
「いつまでイチャついてんの?お二人さん」
不意に背後から声がして、吃驚して顔を向けたらダルそうに欠伸をしながら机に突っ伏してるなっちゃん。
視線だけをこっちに向けている。
「いたのかよ夏喜」
「今来たとこ〜…昨日飲み過ぎちゃって」
「サボりだなぁなっちゃん」
「ゆき乃だって寝てたんじゃん?」
また大きな欠伸をして涙目になりながら、身体を起こして伸びをする。
それから、「今夜は宅飲みな」と昨日飲んでたと言っていたくせに、なっちゃんは嬉しそうに言った。
私たちの宅飲みと言えば――
「あ!ハルから連絡入ってた」
「何て?」
「いつでも待ってます!って」
「じゃあハルちゃん家に何か買ってった方がいいかな」
「あ、それもいらないって!澤くんと買いに行ったみたい」
年齢制限アウトな私たちが飲める場所と言えば、決まってここしかない。
ハルは私と同じサークルで知り合った一年の女の子。
勇征の友達の澤くんの幼馴染みで、偶然私と同じ専攻をしていた事から仲良くなった。
私たちのグループというのは、この5人。
ハルは一年だけどそれは留年してるからであって、みんな同い年で。
そんなハルのお母さんはいわゆる夜の仕事をしていて、自宅の一階がスナック…という事でお酒はいっぱいあるし気にせず飲めるからと、飲むと決めた時はいつもハルの自宅になっていた。
まぁすぐ隣は澤くんの家だし集まりやすいっていうのもある。
「ねぇねぇなっちゃん!何か計画立てるの〜?」
「は?当たり前だろ!夏だぞ夏っ!遊ばずに何するってんだよ」
ニッと笑ったなっちゃんに、私と勇征は顔を見合わせて微笑みあった。
どうしよう!
凄くワクワクする!
やっぱり今年の夏は何か楽しい事がありそうな予感がして、まだ何も決めてないのに心が踊りだす。