「いらっしゃい。」
真田と幸村と共に香織の家の前に到着した切原がインターホンを押すと、香織が門を開けてくれた。
門から家の扉までの間には、砂利の敷かれた和風の庭が佇んでいる。
いかにも日本庭園という感じで、切原は無意識に身を固くしていた。
「お、おじゃましまーす…。」
切原はおずおずと敷居を跨いだ。
真田と幸村が脱いだ靴を揃えたので、切原も慌ててそれに倣った。
前を歩く香織に小声できいてみる。
「新宮ん家って、すげえ立派なんだな。」
「ここは祖母の家なのよ。
広いから一緒に住んでいるの。」
香織は奥の襖の前で歩みを止めると、取っ手を静かに引いた。
机の上に3着の浴衣が綺麗に畳んで用意されている。
見たところ、客間のようだった。
「私は自分のを着てくるから、兄様達と切原はこっちで着替えてね。」
「ああ。」
「切原は兄様に教えてもらいなさい。
終わったら家の前に集合ね。」
香織が襖を閉めて出て行くと、切原はため息をついて床に座り込んだ。
「なんかここって、すげえ緊張感ッスね…。」
幸村はくすりと笑った。
「立派なお屋敷だよね。
俺と弦一郎は小さい頃から何度かお邪魔しているから、気にならないけど。」
真田は浴衣を確認しながら言った。
「どれも大きさはそう変わらないようだな。
赤也、お前はどれを着るんだ。」
切原は浴衣を覗き込む。
紺、濃灰、灰の三色が用意されていた。
「じゃあ、俺はこれで。」
切原は濃灰の浴衣を指さした。
真田と幸村はそれぞれ紺と灰の浴衣を手に取った。