お風呂上がりに自室に戻ると、香織は布団を敷いてその上に寝転がった。
ぼんやりと天井を見つめる。
先程、母に習い事に集中できていないことを指摘された。
(…分かってるわよ。)
香織は寝転がったまま横を向いた。
これまで何かとそばにいた切原がいないことで、香織は以前と同じように一人で過ごす時間が多くなっていた。
(だから何だっていうの。
…元々私は、一人でやってきたじゃない。)
高校生活の自由を掴むために、ここまでやってきた。
だから、自分の目標を達成するまで立ち止まっている暇はない。
こんなもやもやした気持ちも、きっと気のせいだ。
いつもいた人が居なくてちょっと調子が狂っただけ。
切原に言われた言葉は確実に香織を蝕んでいたが、彼女はそれを見て見ぬ振りをすることに決めた。
時間は限られている。
何でもできるわけではない香織が、母との約束を果たすためには努力が必要だった。
他人のことを考えている時間はない。
香織は起き上がると、机に向かい明日の授業の予習を始めた。