授業を終え教科書を揃えた時、真田は自分に向けられている視線に気がついた。
教室の入り口を見ると、香織がこちらを覗いている。
"美人が来てる"とざわつく教室で注目を浴びながら、真田は彼女の待つ廊下へ出た。
真田が目の前に来ると、香織は微笑んで言った。
「お昼ご飯、一緒に食べても良いかしら?」
「ああ。」
真田は香織の後ろにくっついている人物に気付く。
「…赤也も一緒か?」
「ええ。ついて来るって言うから連れてきちゃった。」
そう言って肩をすくめる彼女は、切原の存在をあまり意に介していないようだ。
昨日本性も知られていることだし、今更気を遣うこともないのだろう。
切原は真田といるのが気まずいらしく、落ち着かないそぶりを見せている。
「構わない。では、食堂にでも行くか。」
「はい。行きましょう。」
香織が居る手前、教室は避けた方が良いだろうと判断した真田は、2人を連れて食堂へ向かった。