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案の定、切原は部活が始まるや否や正座をさせられ、暫く帰ってこなかった。

部活も後半になり、真田が戻って少ししてから彼も練習に加わった。

(…見るからにげっそりしてる…。)

真琴は憐れみの目で切原を見た。

足が痺れて生まれたての小鹿のようになっている切原を見て、幸村は溜め息をついた。

「これで赤也ももう少し、補習が減ってくれるといいんだけど。」

記入している部誌から顔を上げることなく、瀬川がばっさりと切り捨てた。

「無理だと思うぞ。そろそろ真田が怒るのも効かなくなってきてるし。」

「うーん。弦一郎は赤也のためを思って怒ってくれてるんだけどなあ。」

幸村は頭を抱えた。

あまりに成績が悪いと、大会や合宿に参加できなくなってしまう可能性もある。

赤也は2年生とはいえ立海の大事な戦力だ。

そう簡単に欠けて貰っては困る。

「親の心子知らずって言うしね〜。

切原が自分で頑張るしかないんじゃない?」

瀬川はもう部誌を置いて、次の練習を録画するためのビデオをセットしにかかっていた。

相変わらず彼女の仕事は早い。

真琴はボレー練習の球出しをしながら、なんとなくその会話を聞いていた。

(切原くんの補習問題、結構深刻なんだな…。)

色々な先輩達があの手この手で挑んで改善していないのに、自分がちょっと教えたくらいで何とかなる物だろうかと真琴は少し不安になった。

切原はさっきまで萎れていたのが嘘のように生き生きとしている。

(あのバイタリティを少しばかり勉強に割ければなあ…。)

そんなみんなの想いを他所に、切原は解き放たれたように練習に励んでいるのだった。