真琴は授業を終えると、部活に行くためにすぐに更衣室に向かうのが日課になっている。
だが、今日は学校側の事情でコートが使えないため部活が休みになっていた。
入部してからほとんど毎日部活に明け暮れていた真琴は、なんとなく物足りない気持ちで帰路に着いた。
(そういえば、帰りに精市くんと一緒じゃないのは初めてかも。)
幸村からは、委員会があるので一緒に帰れない旨の連絡があった。
毎日通る道も、一人で歩くと少し違って見える。
いつもはすぐに家に着いてしまうのに、今日は何故だか長い道のりのように感じた。
「あっ、天澤じゃん。」
聞き覚えのある声に振り向くと、丸井とジャッカル、切原がいた。
「お疲れ様です。先輩達のお家、こっちでしたっけ?」
丸井はぽりぽりと頭を掻いた。
「いや。今日は学校のコートが使えねえからさ。
もうちょい行ったとこに、フリーのテニスコートがあんだよ。
そこでちょっと打ってこうかなって。
お前もヒマなら、一緒にどお?」
丸井の提案に、切原も意気揚々と賛同した。
「いいっスね!天澤、こないだ負けた借り、返してやるよ。」
切原は真琴に負けてからというもの、リベンジマッチのチャンスを虎視眈々と狙っていた。
「良いですよ。切原くんには負けないけど。」
いつもの癖でラケットとシューズを持っていた真琴は、彼らの提案に喜んで乗った。
「じゃあ行くか。誰もいないといいな。」
ジャッカルが先導し、4人はテニスコートに向かった。