青学の2人は全国レベルと言って良い強さを持っていた。
アクロバティックなプレーを得意とする菊丸、強烈なスマッシュが持ち味の桃城。
元々仲が良く、互いの息も合っている2人のダブルスはかなりの強敵だった。
…はずだったのだが。
「くっそー!また取られた!」
菊丸が悔しそうに地団駄を踏む。
試合は、丸井とジャッカルの圧勝で終わりを迎えようとしていた。
「オイオイ…おめーらマジかよ。
前よりレベル下がってんじゃねーか。
これじゃ俺らに勝とうなんて100年はやいぜ。」
丸井がラケットをくるくると遊ばせながら呟く。
以前は強かった筈の青学の2人だが、今は全く相手にならなかった。
ジャッカルも予想外の展開に、怪訝そうに眉をひそめた。
「ブン太、やっぱり様子がおかしいぜ。
…なあお前ら、最近練習してたか?
しょうもないミスばっかりしやがって。」
試合を見ている切原は、相手が弱いと知るや否や興味を無くしてしまった様子である。
真琴も彼らの挙動に違和感を覚えた。
丸井やジャッカルが一目置いていた様子から見るに、彼らの本来の実力はこんなものではないのだろう。
だが、今の彼らのテニスはあまりにもお粗末だった。
「はあ…はあ。余計な…お世話ッスよっ!」
体力のない彼らはすでに疲弊しきっていて、試合を見ているのも痛々しい程だった。
そのまま、丸井とジャッカルが完封する形で試合は終わった。
切原がつまらなさそうにスマホから視線を上げた。
「…終わったんスか?あーあ。なんか拍子抜けだよなあ。
まあ、関東大会での敵が減ってくれたのはいいんだけど。」
元々体力自慢のジャッカルは、試合を終えたにも関わらず汗ひとつかいていない。
「ブン太、もう少し打っていくか?」
「んーん、やめとく。何か今日は乗らねえよ。
ま、お前らもうちょい練習しろよな、練習。」
丸井がそう言って、青学の2人に背を向け帰り支度を始めた時だった。
桃城がラケットを握りしめた。
「調子に…乗るなよ!」
静まったコートに、打球音が響く。
真琴は自分の見た光景に目を疑った。
桃城が丸井目掛けてボールを打ち込んだのだ。