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翌日の朝練。

皆がいつものジャージ姿で集まる中、丸井は制服姿のままコートに赴いた。

最初に気がついたのは仁王だった。

「どうしたんじゃ。はよ着替えてきんしゃい。」

「いや、ちょっと怪我しちまってな。幸村くんもう来てんの?」

「ああ、そこで天澤と話しちょるが。大丈夫か?」

「大したことねえよ。ありがとな。」

仁王が顎でしゃくった先に、幸村と真琴が話しているのが見えた。

丸井が声をかけるより先に、幸村がこちらに気がつき近づいてきた。

真琴も慌てて後を追ってくる。

…あれ、なんか幸村くんの雰囲気怖くねえか。

丸井が幸村の気迫に気がついた時には、もう遅かった。

「ブン太、ちょっといいかい?」

(…あっ、これやばいやつ。)

幸村は微笑んでいる。そして明らかに怒っている。

「えーと、幸村くん。昨日色々あったんだけど…。」

丸井の言葉を、幸村が遮った。

「ことの次第は真琴から聞いたよ。

…ねえブン太。君達がいながら、どうして真琴が手塚と戦うことになってるのかな?」

丸井に詰め寄る幸村に、真琴は必死で弁解する。

「違うの、精市くん。私が勝手に約束しちゃって…。」

「だとしても、真琴が試合に出なくたって良かった筈だ。

俺もいるし、蓮二や弦一郎、他のレギュラー達だっている。

…俺たちを頼る選択肢は、なかったのかい?」

幸村は、真琴が勝手に試合の約束をしたことに怒っているわけではなかった。

彼は真琴を部に引き入れた責任として、誰よりも彼女の身を案じていたのだ。

「…ごめんなさい。」

真琴は自分の手で決着をつけたいという思いは変わらないものの、幸村を心配させたことは深く反省していた。

「幸村くん。

天澤が上手くあの場を収めてくれなかったら、多分赤也が相手と揉めてたと思うぜ。

俺らじゃテニスで勝負って方向にもってけなかった。

だから…。」

はあ、と幸村が大きな溜息をついた。

頭にぽん、と手を置かれ、真琴は幸村を見上げた。

再び幸村と目が合った時には、彼はいつもの優しい表情に戻っていた。

「…今回は仕方ないか。

けど、何をしてくるかわからないような相手だ。

真琴を危ない目に遭わせたくない。

だからみんなで、一緒に決着を付けに行こう。」

「よっしゃ、そうこなくっちゃな!」

丸井が明るい声で言う。

緊迫感が解け、真琴はほっと胸を撫で下ろした。

「連絡事項もあるし、レギュラーみんなで話しておきたい。一度集まろうか。」

丸井と真琴は頷いた。

幸村が号令をかけ、レギュラーメンバーは全員集まって円になった。