次の日から、丸井は時間があれば彼女の通う高校の周囲へ赴き彼女を探した。
あからさまに学校の中を覗く訳にもいかないので、周辺の道をぶらぶらと移動しながら、すれ違う人を確認する。
人混みで彼女に似た姿を見つけてはっとしては、別人と分かって落胆した。
こうしてたった一人を探してみると、世間は意外と広いものだと思う。
…今日もなんの収穫もなかったな。
丸井は少し疲れた気がして、時計台の下のベンチに腰掛けた。
俯いてなんとなくスマホを弄っていると、急に手元が暗くなった。
驚いて顔をあげると、真田が丸井を見下ろしていた。
「丸井、こんなところで何をしている。」
「お前こそどうしたんだよ。」
女子を探して高校の周りをうろうろしている、なんて言ったら誤解されそうだったので、丸井は質問をはぐらかした。
「家に帰るところだ。
俺の家はすぐそこだからな。」
真田の家が大きなお屋敷だと聞いた時は、想像通りすぎて笑ったっけ。
この先を少し行くと区画が広めの住宅街があるから、きっとそのどこかなんだろう。
真田はため息をつくと、丸井の隣に少し間を空けて座った。
この不器用な男は何も言わないが、話を聞こうとしてくれているのだと丸井は受け取った。
「…なあ、真田。
記憶を消す方法ってあると思う?」