「お前さんは付き合うにも別れるにも、いつもきっかけがなく突然じゃ。
それが気味がわるい。何を考えとる?」
仁王は妙に鋭いというか、察しの良い男だった。
てか俺、気味悪がられてんの?初耳なんだけど。
確かに、外から見ても分からないと思う。
俺が自分自身の中の空白を埋めたくなる時が定期的に来て、その時告白してくれた奴がいれば付き合う。
付き合ってみると、大抵望んだようには当てはまらないから別れる。
気味が悪いというより、振り回してるだけの嫌なやつかもしれない。
少しの間考えて、丸井はへらっと笑って答えた。
「そりゃあ、俺がお前の予測の範疇を超えてるってことだろぃ。
奇想天外、この丸井ブン太の思考回路には遠く及ばねえよ。」
明るくウィンクとピースを決める丸井に、仁王は諦めたようにため息をついた。
「…もうよか。
お前さんに深い思慮を期待した俺が阿呆じゃった。」
「深〜く考えてるぜ。そりゃもう、色々とな。」
ははは、と笑ってみせる。
そうやって尋ねるからには、仁王はきっと俺が今考えていることを真面目に話しても、ちゃんと聞いてくれたのだろう。
けど、自分にも何か分からないことを他人に話しても、思うように伝わらないような気がした。
心に空いてる穴にいたかどうかも分からない誰かを探しているとか、おセンチなことを言う柄でもない。
「まあ、そうやって言うとるなら心配ないか。」
これでも仁王なりに気遣ってくれたらしい。
意外と友達思いなんだな、とか言ったら別の意味で気味悪がられそうだから黙っておいた。
「おうよ。良い奴がいたら紹介してくれよな。
んじゃ、そろそろ帰ろうぜぃ。」
「…ピヨ。」
丸井が腰を上げると、仁王も置いていた鞄をひょいと肩に掛けて歩き出した。