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それもまた突然だった。
荒北の髪型が変わった。
その日は朝から教室に入ってきた荒北に、クラスが一斉に静まる。居心地悪そうに舌打ちをしながら席に座り、そのまま机に突っ伏した。
「なになに、荒北どうしたの?」
教室の入口で友達に聞かれるが、名前も分からない。
「分からない、けど、やっぱりあの髪型の方がもっとカッコイイね。」
「………はぁ?あんた、もしかして…好きなの?」
しまったと思った。カッコイイなんて、なんで言葉にしてしまったのだろうかと名前は後悔したがもう遅い。
「絶対内緒でお願いします。」
「りょーかい。今度ゆっくり聞かせてね。」
名前は、ははっと笑って誤魔化した。
その日の午後、荒北があの自転車競技部に入部したと噂で聞いた。
それからの荒北は、相変わらず授業中寝ている事は多いがサボる事がなくなった。
ある日の昼休み、荒北は福富に呼ばれどこかへ行ってしまった。今日は猫の所にはいかないだろうと思い、名前は買っておいた猫缶をもって体育館裏に向かった。
「おーい、猫さーん。ご飯ですよー。」
と言いながら、猫缶を開けて待っていると、ニャアと小さく鳴いて近づいてきた。
「どうぞーお食べ。今日は残念ながら荒北くんは来れなさそうなの。」
モグモグと食べる猫に名前は話しかけた。
「キミは荒北くんが好きだね。リーゼント荒北は、短髪サラサラ荒北に変わったけど、キミはどっちがお気に入り?」
猫はニャアと鳴きながら名前をチラッと見てまた猫缶に顔を戻す。
「私は、どっちも好きだなぁ。どんな荒北くんでも好きなんだよ。忘れられなかったな。」
そう言って名前は猫の頭をふんわりと撫でた。
「初恋は実らないって言葉知ってる?まさか高校が一緒になるとは…ね。私の初恋はまだまだ続くみたい。実らない恋が続くんだってー。困っちゃうよねぇ。」
食べ終わった猫は、ンニャと鳴くと行ってしまった。
2019.12.10