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友達が部活の用事でお昼は別になったので、珍しく他の子達のグループに入れてもらい学食にいる。
「名前ちゃんって、見かけによらずよく食べるんだね。」
「あははっ、食べすぎかなぁ…。」
「そんな事ないよー。羨ましいけどね。」
「うん、それだけ食べてても太らないって羨ましいなぁ。」
「化粧水とか何使ってるの?」
名前は、女子らしい話は普段あまりしてないせいか、とても新鮮で楽しんでいる。
「あっ、東堂くん、見っけ!」
大きな笑い声が聞こえそちらを見ると、東堂は誰かと携帯で話しているようだった。その後ろに、煩いと言わんばかりの顔で荒北が東堂の頭を叩く。
「あー荒北、東堂くん叩きやがったー。」
相変わらず仲がいいなと目線をご飯に戻した。
「そういえば、こういう話って名前ちゃんとはした事なかったけど、名前ちゃんって好きな人いるの?」
そう言われてドキッとした。
「うーん…。」
いるけれど、いますと答えるのは恥ずかしい。答えに困っていると
「じゃぁ、この学校で誰がカッコいいと思う?」
「うーん、人多すぎて全然分からないんだよね。」
「サッカー部の斉藤くん、テニス部の田島くん、陸上部の早田くん…。」
その後にも何とか先輩や何組の誰々くんや名前がいっぱい出てくる。
「ごめん、誰も分からないなぁ。」
「あっ!サッカー部の斉藤くん、こないだ名前ちゃん誘われてたでしょ!」
斉藤くんが誰だかまったく分からないし、誘われてもいない。
「人違いじゃない?」
「いやいや、体育祭の2〜3日後に焼却炉の所で。」
思い出した。確かに誰かに声はかけられ少しだけ話した。
「あぁ、あの人斉藤くんなんだ。知らなかった。映画の話を少ししてただけだよ。」
「それっ!私もゴミ捨てで焼却炉に行ったら、なんか二人話してるから告られてるのかと思って隠れてたんだよね。」
「そうなんだ、違うから気にしなくて良かったのに。」
「だから!途中であれ?告白じゃないのかとは思ったんだけど、明らかに名前ちゃんの事を映画に誘おうとしてたから、出れなかったの。」
あの会話からどうやったらそう思えるのか不思議に思った。
「うーん、でも勘違いだと思うよ。本当にただ今やってる映画でこれ気になるねって話しかしてないし。」
「……名前ちゃんって鈍感?」
「鋭くはないけど鈍感でもない。」
「鈍感な子はみんな自分は違うって言うんだよ。」
失礼なとむくれる。
「じゃぁ東堂くんと新開くんならどっち?」
名前は、まだその話続くのかと思った。
「うーーーーん。」
それもまた答えに困ってしまう。どちらもカッコいいと思うのだが、荒北を好きな名前は、タイプの違う二人を挙げられてどちらがと聞かれても本当に分からない。
「やはりこの山神、東堂であろう。」
「ん?」
声のする方に顔を向けると、パスタを乗せたお盆を片手に持ち、キメポーズをとる東堂がたっていた。
ぽかんとした顔で見ている名前の周りでは
「そうだね!やっぱり東堂くんが一番カッコいいよ!」
「東堂くん!私にも指差すやつやってー!」
「わーはっはっは!」
キャーキャー言われて東堂も満足気のようだった。
「見たか!荒北!」
名前の座る後ろに向けて東堂がそう言う。名前は慌てて後ろを向くと、背中合わせに荒北が座っていた。
「チッ、うっせーヨ、さっさと食え。」
ご飯も食べ教室に戻ると、すでに荒北は机に顔を伏せて昼寝をしていた。名前も席に座り、授業開始までのわずかな時間ぼーっと外を見ている。
「なァー。」
寝ていると思っていた荒北に名前は話しかけられる。
「なに?」
後ろを向くと、顔だけ少しずらした荒北と目が合う。
「まァた告られたのォ?」
「告られてません。」
「映画誘われたァ?」
「誘われてないってば。聞いてたの?」
「聞こえたのォ。」
そう言うとまた顔をずらし腕に埋もれてしまった。
そんな荒北を見て名前は少し苛立つ。荒北にとってただの暇つぶしと興味本位で聞いた事だろうが、名前はもしかして気にしてくれてるかと勘違いしてしまいそうになる。お願いだから私の気持ちを振り回すなと言ってやりたくなってしまう。
2020.03.04