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名前が男子寮に着くと、既に新開が外で待っていた。

「荷物いっぱいだ、一緒に買いに行けばよかったな。ごめんな。」

そう言うと、手にいっぱい抱えた荷物を全て持ち、寮の中へ入っていく。

「女子って入っていいの?」
「いや、ダメだな。」

だから、こっちからと非常階段の方へ向かい、いくつかの場所をこっそりと抜け、無事荒北の部屋まで着いた。

荒北は、この日に入荷予定の部品があるので、福富から取りに行くよう伝えてあった為、部活後向かった。

荒北の部屋に入ると、福富と東堂が部屋の飾り付けをしている。東堂とは、きちんと話すのは初めてだった。

「はじめまして、苗字です。」
「何度か会ったことはあるな。俺は…。」
「知ってるよ。山神東堂くん。」
「うむ、美形で有名だからな!」
「うん、またの名を、山の忍者、でしょ?」
「んなーーーー!」

顔を歪め叫ぶ東堂と、隣で笑う新開。

「はははっ、靖友か?」
「うん、よくバカチューシャとも言ってるよね。」

と名前も笑っていると、東堂はわなわなと震え

「荒北ぁー許さんんんん!」

と拳を握りしめている。

「まあまあ、早く用意しちまおうぜ、尽八。」

その後も荒北の誕生日の用意をしながら、ぶつぶつと東堂は荒北の文句を言っていた。
名前は持ってきた料理やケーキをテーブルに乗せていく。

「これは名前ちゃんが作ったのか?」

と持ってきた3段のピクニック用ランチボックスを見る新開。

「男子4人には少ないかもしれないけど。」

中身は男子がお腹にたまりそうな唐揚げやミニハンバーグやポテトサラダなどいくつか入っている。

「おぉ、凄いではないか。」
「うーん、張り切り過ぎちゃったかな。」
「俺の部屋からテーブル持ってくるよ。」

と乗り切らない料理を見て、新開が部屋からテーブルを持ってきたりし、飾り付けなども終わらせた。


「なんとか終わったな。」

ほっとしたところに、福富の携帯が鳴った。

「荒北からだ。」
「寿一、バレんなよ。」

福富は頷くと電話に出た。

『もしもしィ?福ちゃんどこいんの?』
「すまない、いま外に出ている。あとで部屋まで取りに行く。」
『んー、わかったァ。部屋で待ってんね。』

電話を切った福富は大きく息をはいた。
まもなく部屋の主が帰ってくるが、名前はどうすればいいのかと聞くと、とりあえず普通に座っててと言われた。
男3人は、内開きになるドア横の壁に張り付き隠れるが、それなりにしっかりとした体つきの男3人がぎゅうぎゅうになりながら、痛い痛いと言いつつも頑張って隠れている姿は面白い。

電話から5分もしないうちに、部屋のドアが開いた。
パッと目が合う名前と荒北。

「あっ、お、おかえり、なさい。」
「………お…おぉ?」

としばらく固まったままの荒北だったが、ゆっくりと後ろに下がり部屋を出るとドアを閉めた。
荒北が出ると、壁に張り付いて隠れていた3人と名前が入れ替わり、クラッカーを手渡される。
ドアの外では荒北が「はぁ?なんだァ?」と混乱した声を出していた。
少し経つと今度は勢いよくドアが開かれた。
荒北の前にはいつもの3人。

「アァ?」
「「「「お誕生日おめでとう」」」」

そう言うとみんなでクラッカーを鳴らした。
まさかの後ろからのクラッカーに驚き荒北は振り返ると

「は…あああああああ?」

と驚きバランスを崩した荒北は尻もちをついた。

「やったな、名前ちゃん。靖友驚いてるぞ。」
「あはははっ、顔が面白すぎる!」
「わーはっはっはっ!どうだ荒北!驚いたか!」

荒北を囲んで大笑いをしている。

「なっ、おまっ、はぁ?」

口をパクパクとさせうまく言葉が出ない荒北に、新開は可愛らしく、呼んじゃった、と言って笑った。

「急にごめんね。」
「あぁ…おぉ…。」


「さぁ、みんな座れ!これからお誕生日会始めるぞ!」

と東堂がローソクに火を付けた。

「みんなで歌おうではないか。いいか荒北、歌い終わったら吹き消すのだぞ!」

と言い歌い出す東堂。

「ハッピバー…」
「ふぅーーーーー」
「んなあああああー!」
「うっせー!バカチューシャ!」




2020.05.29


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