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誕生日の日から3日後、名前は用事があり学校へ行くと校門を入ったところで新開と会った。

「やぁ、名前ちゃん。」
「新開くん、部活中?」

サイクルジャージで自転車を片手に持っている。

「なぁ、送ってもらった時、なんかあった?」
「荒北くんはなんか言ってたの?」
「いっぱいのプレゼント持って嬉しそうにしてた。」

と言われた。

「あ、靖友。」

と新開が指差す方を見ると、サイクルジャージを着た荒北が部員と話している。首には渡したタオルがかかっていて、なんだか恥ずかしい。

「靖友、こっち気付かないなぁ。呼んでくるか?」
「ううん、大丈夫、これから私も職員室行かなきゃ行けないし。じゃまたね、部活頑張って。」

と新開と別れた。


正直なところ、荒北との関係が分からない。
お互い好きだとは分かったが、付き合おうと言ったわけでも言われたわけでもない。
あの日は、あの後連絡先の交換をして別れた。かなり舞い上がっていて、連絡先の交換だけで名前の気持ちはいっぱいいっぱいだったのだ。
次の日になり、名前は荒北にメールでも送ってみようかと思って思い出した。あれっ、私達って付き合ってるのか、付き合ってはないのか、どっちなんだろうと。私達お互い好きだと分かりましたが、付き合ってますか?付き合ってませんか?なんて、そんなアホな質問さすがに出来ずにいる。
そんな事を考えていたら、名前は何を送ればいいか分からず、荒北からもメールはこないので、まだ一度も連絡をとっていない。


はぁー小さなため息をつきながら、職員室に入る。
さっさと用事を済ませ帰ろうとすると、運悪く隣に座っている先生に呼び止められた。

「悪いんだけど、帰りがけにこの荷物一式資料室に運んどいてくれないか。」

その量を見ると、ひとりで運ぶには多い。

「さすがに持ちきれませんよー。」
「あー、あっ時田、お前も手伝ってくれ。」

そこには、名前と同じくたまたま用事があって学校に来ていた他のクラスの男子がいた。

「えーめんどくせー。」
「苗字ひとりじゃ持てないから頼むよー。終わったらこれでジュースでも買っていいから。」

と名前は小銭を受け取った。
ふたりで荷物を運び、ご褒美の飲み物を買いに裏庭近くの自販機へ向かう。

「苗字さんと話すの初めてだよね。」
「そうだね、なんかタイミング悪く捕まえちゃってごめんね。」
「苗字さんだってタイミング悪く捕まったんだろ?」
「はは、そうだね。」

何にしようかと飲み物を選ぶ。

「苗字さんって、初めて見たとき近寄り難いかなって印象だった。でも違うみたいだね。」
「そう?」
「苗字さんってさ、彼氏とかいるの?まぁ、いるよなー。」

彼氏か、彼氏とはまだ呼んでいいのか分からない相手ならいる。

「好きな人は、いるよ。」
「えっ、何、片思い?苗字さんなら告って断るやつなんていねぇよ!へー好きな奴いるんだ、誰?どんなやつ?」
「えっ、あんまりそこ食いつかないで。」
「いや、モテる女子が好きになる奴ってどういう奴知りたいじゃん。」
「いや、モテないし、誰かなんて言わないよ。」
「いーじゃん、ヒントは?」

しつこいなと思っていたら、おいと呼ばれ振り返ると荒北が不機嫌そうに立っている。

「荒北くん、どうしたの?」
「ベプシ買いに来た。」
「休憩?」
「そー、お前はこんなとこで何してんのォ?」
「用があって職員室行ったら、荷物運びを頼まれてご褒美のジュース買いに来た。こちら一緒に捕まった時田くん。」

チラッとみてあっそ、とだけ言うと自販機にお金を入れた。

「で、苗字さんが片思いしてる奴って誰?」

と時田。まだ続くのかその話と思っていると

「片思いじゃなくてェ両思い。そんでコイツの彼氏なァ。」

と荒北が自販機からベプシを取り出しながら言う。

「彼氏?えっ?彼氏?私、彼女?荒北くんの?」
「えっ、荒北?」
「あっ、うん。」
「ハァ?俺彼氏じゃねーの?」
「だって付き合うとかの話なかったからどうなのかなって…。」
「荒北とつきあってんの?」
「えっ、うん。」
「だァから…」
「マジで?荒北?」
「うるさい!」
「うるせー!」

荒北と名前の声が揃った。

「あーもう、お前ちょっとこっち来い。」

と腕を掴まれ、連れて行かれる。

「でェ、お前は俺の事好きなんだろ?」
「うん。」
「オレもお前が好きだからァ、付き合うんだろ?」
「そうなの?」
「そうだろ。」
「うん、そうだね、なんだーよかったー。」
「はぁー、じゃそーゆー事でェ。」

部室に戻る荒北、名前は嬉しくてニマニマしながら帰ろうと歩き出す。

「名前!明日午後空けとけ。あとでメールすっからァ。」
「わっ、名前だ…。うん!待ってる!やっ靖友…くん!」




2020.07.10


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