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初デートは、名前が見たい映画があるとの事で決まった。
本当はアクション系の大爆発とか大好きだけど、初デートにそれもどうかと思い、もうひとつ人気があり気になっていた子供と動物。ありがちでどうかと思っていたが、口コミで評判が広まり大ヒット中の映画だった。

映画館に着き、荒北にこれが見たいと言うと一瞬えっと気まずそうな顔をしたので、他のでもいいと伝えると、これでいいと言い、チケット購入した。

「本当にこれで良かった?」

と何度も確かめるも

「いいっていってんダロ。」

と返ってくるのでまぁいいかと、飲み物を購入して中に入ると、評判が良いだけあり、席もほとんど埋まっていた。

「楽しみだなぁ。」
「アァーソウネ。」

評判通り、ちょっとした動物の子供の冒険などもあり、名前もこれは感動するな、涙出そうだなと思っていたら、突然手を握られ驚き固まる。
ぎゅっと握られた手をよく見ると

「ん?」

と小さな声が出てしまった。
その手は震えているのだ。どういう事だとチラリと荒北を見ると、もう片方の手で口を押さえ、声を殺して泣いている。
とりあえず見てはいけないだろうと視線をスクリーンに戻すが、もうその先の内容などほぼ頭に入ってこない。
野獣とか呼ばれてる男が、動物達が頑張って生きている姿を見て泣くなんて……可愛すぎるよ、これがギャップ萌えかと名前は納得してしまった。


映画が終わると、泣いた事などバレてないと思ったのか、いつも通りの荒北ではあるが、鼻声と目の赤さからまったく隠しきれてはいないが本人は気が付いてはいないようだった。名前も言ったら絶対にキレられるだろうから気が付かないフリをしていた。


時間は17時を少し過ぎたところ、夕飯にはまだ少し早いので気になるお店を見て回った。
何気なく見たお店の窓ガラスに映る名前と隣にいる荒北に名前は嬉し恥ずかしい気持ちになり、ははっと声には出さずに笑ってしまう。

「なんかあったァ?」
「ううん、こうやってやっ…靖友くんの隣に居れるなんて少し前まで考えられなかったなーと思って。」
「…お前さぁ、いつまで名前呼ぶ時に恥ずかしがってんだヨ。」

と笑う荒北。それから少し思い出すように

「まぁ、そうだな、長かったなァ。」
「いや、それ私のセリフ。中2からだよ、中2。長いよー。」
「ハッ、だァから俺も長かったんだヨ。」
「えっ」
「えっ」
「長かったの?」
「…おぉ。」
「いつから?」
「…いつでもいいだろ。」
「教えてくれてもいいじゃん。」
「うっせ、まァた今度な。」
「ちぇっ。」

嬉しい恥ずかしい楽しい、これからずっと一緒にいれたらいいなと名前は思った。


「そろそろメシ行くかァ?」
「うん、お腹空いたね、何食べる?」
「お前は?」
「映画は私が決めちゃったから、ご飯は靖友くんの好きなもの食べようよ。」
「じゃー肉ゥ。」
「おぉ、肉ね、出来れば料理の名前が良かった…。」
「あぁ?肉は肉だろ。」
「そーだけど…あっ、あそこは?」

と名前が指したのは、定食屋。

「ほら、お肉料理もいっぱいあるみたいだよ。」
「…いいのかよ。」
「何が?他のがいい?」
「いや、一応初デートなわけだしィ?」
「うん?あー、ごめん、そうだよね。定食屋はなかったか…。」
「ははっ、いいんじゃナァイ?俺はこーゆーとこの方が好きだし。」
「そう?大丈夫?じゃぁここにしよ。まぁ私だってお洒落なパンケーキとか食べたくなる時あるんだから、その時はちゃんと付き合ってね。」
「げっ…。」





「送ってくれてありがとう。」
「おぉ。」
「明日から新学期だね、同じクラスになれたらいいな。」
「違くても別に平気だろ。」
「えー高校最後の年、彼氏と同じクラスで1年間同じ事して過ごせるなんて楽しいよ。」
「フゥン。」

なんだ私だけかと少し拗ねてしまう。

「まァそうだな。同じだといいな。」

と拗ねた名前の頭をポンポンとし、荒北はにかっと笑った。



神様、明日のクラス発表、彼氏と彼女と好きな人と同じクラスになれますように…。
と、きっとあちこちで願ってる子がいるだろう。




2020.07.22


monoGatari