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「見よ!この雲ひとつない青く澄んだ空!さすが、俺!わーはっはっは!」
「ねえ名前。東堂くんってすっごいカッコイイよ。すっごいカッコイイんだけど…喋ると少し残念な感じがするんだけど。」
「ん?何が残念なのだ?この俺に残念な所などないはずだが?」
「そうだね。今日はよろしくね、愉快な神!」
「なにいいい!」

東堂と友達も仲良くなったみたいで良かった。


登山の間、新開はすれ違う女子からお菓子やパンを貰うので常に何か食べているし、東堂は常に喋っており、少しでもいい背景を見つけると

「ここで俺を撮るがいい。」

といちいちポーズを決めて写真待ちをする。

「この写真売って儲けるか。」

と友達の悪魔の囁きが聞こえた。
荒北は、最初こそツッコミを入れていたが、後半は聞こえないフリをして全てスルーし始めた。
名前も最初のうちは友達や荒北と楽しく話しながら登っていたが

「足が重たくなってきた。」

明らかにペースが落ちて会話する力もなくなってきた。

「オメェは、最初から飛ばしすぎなんだヨ。」

荒北に笑われた。

「靖友くん、運び屋なんでしょ?私を頂上まで運んで下さい!」
「おー任せろ!オラ、全員オレがきっちり運んでやんよ。振り落とされんなヨ!」

荒北、名前、新開、友達、東堂で1列に並ぶと、ぐんぐんと登り始めた。途中何度も名前は

「脱落しそうです!」

と訴えるもその度に後ろの新開が背中のリュックを押してなんとか頂上まで着いた。

「づいだぁー。もう動けないー。」

名前と友達は芝生の上に倒れこんだ。

「アァー腹減った。メシだ、メシィ。」

すぐ側に座る男3人は、各々のリュックから大量の食べ物を出すともりもりと食べ始めた。

「どんだけ体力あるの…。」
「無理、いま食べたら全部吐く。」

20分程して、なんとかご飯を食べ始めた頃には、荒北達3人は寝転がったりと休憩していた。

「ねぇ、展望台もあるんだって。行ってみない?」

ご飯も食べ終わり、友達に声をかけたが高所恐怖症と断られてしまった。隣に寝転ぶ荒北を見ても、変わらずタオルを顔にかけて寝ているようだった。

「せっかくだから、ちょっと行ってくるね。飲み物も買ってから戻りまーす。」
「え、ちょっと名前ひとりで行くとまた面倒くさい事起きそうなんだけど。」
「大丈夫だって、ちょっと見てすぐ戻ってくるから。」

と言って名前は展望台に向かった。


展望台は、生徒達でいっぱいだった。これは無理かなと思っていた所に、同じクラスの女子達が前の方から名前を呼んだ。

「こっちおいでー!」

名前は呼ばれた方に行くと、スペースを空けてくれた。

「ありがとう。」
「どういたしまして。新開くん達は?」
「3人とも寝てるよ。」
「えー寝顔見に行かないとー!」
「えっ?」
「えっ?新開くんと東堂くん寝てるんでしょ?」

その二人かと名前はほっとした。、

「荒北くんの寝顔は見慣れてるけど。」

言われてみれば、よく授業中寝ているので当たり前かと納得する。女子が一斉に新開達のところに行ってしまったので、展望台は一気に人が減ってしまった。
名前はひとり、展望台から下の景色を眺めると、思わず足が竦んでしまう。

「わぁ、凄い。」
「アァーすげェな。」
「靖友くん?」

いつの間に起きて来たのかと名前は驚いた。

「オメェの友達に、ひとりで行ったから何もないよう見張っとけって言われたワ。」
「…そうなんだ。すぐ戻るのになぁ。」

荒北は展望台の柵に凭れ掛かり大きな欠伸をしている。

「この高さ凄いよね。私、久しぶりに足が竦んでるよ。」
「ハッ、ビビりィー。」
「むっ、ビビりではない。」
「その話し方ヤメロ。」
「似てた?東堂くんに。」

似てねーと荒北は笑った。

そろそろ下山の時間も近付いてきたので、荒北がトイレに行く間に名前は飲み物を買ってくると自販機に向かった。

「苗字さん、何飲むの?」

横から声をかけられ向くと他のクラスの男子だった。名前もよく分からない相手だったので、迷い中とだけ答えると

「苗字さんって、新開と付き合ってんの?」
「付き合ってないけど。」
「そうなの?なんかそんなような事聞いたからさぁ。」
「誤解です。」
「そっか、付き合ってないのか。じゃぁさ…。」
「うん、彼氏はいるけど、新開くんじゃないよ。」
「名前。」

現れた荒北を見て

「私の彼氏はあの人。」

とだけ言い、適当に飲み物を買って荒北の元へと向かった。後ろからはまじかと驚く声が聞こえた。

「なァに、ナンパされてんだよ。」
「ナンパじゃない。」
「…お前、やっぱひとりでうろちょろすんナ。」
「ふふっ、心配?」
「べーつにィ。」




下山は、下りだし簡単だと思っていた名前だが、疲れもあってか何度か足元がふらついてしまう。

「大丈夫かヨ?」
「うん、なんとか大丈ぶうわっ!」
「っぶねー。」

足を滑らせた名前を荒北が慌てて支える。

「ごめん、ありがとう。」
「オレのリュック捕まってろ。」

と名前の前に立つ。

「そこは手を繋いでとかじゃないんだ。」
「バッ…恥ずかしィ…だろーが。」

荒北は腕で顔を隠している。

「靖友くん、耳赤いよ。」
「うっせ!」




2020.09.25


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