06


関わるなと言われてから、名前は屋上へ行く事をやめた。本当は、行きたいし荒北とも一緒に居たいとは思うが、名前が行く事で、荒北のいる場所がなくなってしまうのではないかと怖かった。

そしてそのまま中学3年生になり、名前と荒北はクラスが離れてしまった。もうこれで接点もなくなってしまったのかと名前は悲しくなった。

荒北は、日に日に荒れていった。誰も寄せ付けず、元野球部の仲間への憎しみのような目。いや、仲間だけではない。全ての人に対して。
名前はもう二度と荒北とあの時のような時間は過ごせないのだと思わされた。




「しまった、資料忘れた。日直、悪いんだが資料室から地図持ってきてくれ。」

授業中、ひとりの日直は先生の手伝いをし、もうひとりの日直の名前は資料室へ向かった。
授業中の為、誰も見ていないだろうと名前は資料室までの近道に裏庭を通っていると、雛鳥の鳴き声が聞こえた。

「あららっ、どうしたの?」

手で優しく包んで、近くの木を見上げる。上の方ではあるが、巣があるのが見える。

「あそこかぁ。ちょっとだけ待っててね。」

雛鳥にそういうと、ハンカチに優しく包んで手に巻きつける。

「なんだか久々だなー。」

そう言いながら、名前は木を登り始める。すいすいと登り、無事巣に雛鳥を乗せる。

「お待たせ。もう落ちないようにね。」

そう言って、登ってきたところをゆっくりと下り始める。

「あれっ?足の置き場が?」

途中まで下りてきたところで、どこかで間違えたのか次の足の置き場が見当たらない。

「あと少しなんだけどなぁ。」

ここから飛び降りてしまおうか、どうしようかと考えていると下から声が聞こえた。

「水玉かァ。」

水玉とは何の事だ、と一瞬考えてすぐにそれが自分の下着だと分かり慌ててスカートを抑える。その瞬間名前は、落ちると思った。なんか前にも同じ事あったなと思い出した瞬間、ドンとぶつかる感覚があった。そして痛みはほぼ無い。また助けられた、と思った。
誰かなんて見なくても分かる。ありがとうと言いたいのに、荒北を見た名前は

「荒北くん、あっ…髪伸びたね。」

だった。
荒北は名前の目を見ることもなく、名前を立ち上がらせるとそのまま歩いて行ってしまった




2019.11.20


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