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受験生として、きっと殆どの生徒は志望校を決めそこに向かって受験勉強に励んでいるだろう時期に、名前の家ではまさかの引越しの話が出た。
父の海外転勤だ。短くても3年、長くてその倍の年数と言う事で、母は父について行く事となった。両親とも仕事は違えど英語圏の国であれば全く問題なく生活は出来る。
兄は既に志望大学を決めている為、日本に残る事が決まっている。名前も志望校は家から近いという理由だけではあるが決めていた。
両親について行くか、日本に残るか。もちろん親としては連れて行きたいと思っている。

「どうするかは、ギリギリまで考えなさい。ただ、もし日本に残るのであれば、お兄ちゃんと一緒に暮らす事。」

と条件を出された。そうなると、志望校もまた考え直さなければならなくなる。

「ちゃんと考えてみる。でも海外行くとしても、そっちの高校とか全然分からないし、英語は話せない。だから、そっちの学校の事はママ達に任せるしかないと思う。」

そのかわり、日本の高校は自分でちゃんと探してみると伝えた。




「えっ!今から志望校考え直しなの?」
「そう、困っちゃうよねぇ。先生ともまた話さないといけないし。」

友達と高校の話をしながら登校する。
驚くのも当たり前だろう。まもなく願書受付が始まると言う時期。名前ももちろん願書は用意済みではあった。けれども、日本に残るのであれば、兄と一緒に住まなければならないので、希望していた高校には入れない。

「海外行くか、箱根の方行くかって事?」
「そうなっちゃうよね。どっちにしろ、みんなとは離れちゃうのが寂しい。」
「えー私だって名前と離れるの寂しいよー!」


名前はふと、卒業したら荒北とも会う事もなくなってしまうのだろうと思った。

「中学生の淡い恋心もあと少しかぁ。」
「えっ?なんの話?」
「こないだ読んだ漫画の話かな。」

不思議顔で名前を見る友達に、ふふっと笑って誤魔化した。




2019.12.01


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