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荒北と名前は話し合い、出産はそのまま実家の方でする事に決まった。ただし両親と荒北の強い希望で、実家に住む事となった。
荒北は、車を買った。金曜仕事が終わると車で名前の実家に行き、日曜夕方に帰る日々が続いた。籍も慌てる必要はないと名前は言うが、荒北は必要書類をすぐに取り寄せ、届けを出した。8ヶ月に入った頃、新しい家や環境が知りたいとの事で1週間ほど新しい家で過ごした。


「こんにちは。」

近くのスーパーの帰り、マンションの入り口で小さい子供連れのママと会った。

「こんにちは。」

これからすぐ近くの公園へ遊びに行くらしい。

「公園は近いんですか?」
「ええ、小さい公園なら歩いて3分位の場所なんです。」
「大きい公園もあるんですか?」
「ええ。もしお時間あるなら、小さい公園見てみません?」

嬉しいお誘いに、すぐ荷物を片付けに行き、一緒に公園へ向かった。

「わぁ、本当小さい子供にはこれでも十分ですね。」

4つ程の遊具があり、小さな砂場もあった。
そのまま色々と話していると何か思い出したように質問された。

「2〜3ヶ月前に引っ越されてきました?」
「はい、私は里帰り出産なので今は実家にいるんですが、主人はそれくらいに引っ越してると思います。」
「やっぱり!細身の背の高い方ですよね?」
「はい。」
「内見に来られてる時、たまたまママさん達と下のエントランスでお話ししてて。ご主人、最初は恥ずかしそうにしてましたけど、私達にも熱心に子育ての環境はどうかと聞いてたんですよ。」

それは荒北ではないかもしれないと一瞬思ってしまった。そんな姿の荒北を想像する事が出来ない。


その後も、児童館の場所や色々と教えてもらい、楽しい時間を過ごした。

「ただいまァ。」
「おかえりー。お疲れ様。」

名前はパタパタと小走りで玄関に向かった。

「走んなヨ!」

荒北に叱られる。

「別にこれくらい大丈夫だよ。」
「分かんねーダロ!」
「はいはい。」

名前はわざとらしくゆっくりと歩いて笑った。

「そういえば、靖友?」
「アァ?んだよ。」

今日聞いた事を名前は荒北に聞いた。すると一瞬だけ顔を引きつらせたがそっぽを向いて

「オレじゃねェよ。」

と言ってお風呂場へ逃げていった。いまの荒北は、誰が見ても嘘をついているなと分かる。
バタンとお風呂のドアを閉まる音がし、名前は洗面所から荒北に声をかけた。

「ありがとうね、靖友。」
「だァーら、オレじゃねー!」
「はいはい。」




2020.10.02
monoGatari