07
「今日、荷物多くねェ?」
「そうなの、土日でこのマニュアル一通り目を通さないといけなくなって…。」
3月の終わり、名前は4月からの新入社員の1名の教育係になってしまった。
「普通は2年目や3年目の子がやるんだけど、何故か私がやる事に…。」
突然上司から任命され、嫌です無理ですとはっきり断ったが、他にいないから助けてくれ頼む、と押し切られてしまった。
「そうなんだァ。大変だな。」
「とりあえず、3ヶ月間はほぼ付きっ切りで。個人の仕事は多少分散してもらったけど、これから3ヶ月間はちょっと忙しくなりそう。」
せっかく付き合いだしたというのにと名前は悔しそうにしている。
「ま、しょーがねェダロ。それが落ち着いたら、どっか旅行にでもいくかァ。」
「えっ、本当?ヤバイ、やる気出てきた。」
「ハッ、ゲンキンなやつだな。」
「そういえば、上司に今の子は厳しい態度でいくとすぐに辞めちゃうから、やさしくねって言われた。難しいなぁ。」
「うーわっ、メンドクセェ!」
「ねー。可愛い女の子だったらいいな。それなら私、優しく出来そう。」
「なんだそりゃ。」
4月に入り、2週目の金曜日。名前は案の定忙しいようで、荒北は新開と仕事終わりに飲んでいた。
「名前ちゃん、毎日うんざりした様な顔してるよ。」
「アー、メールでも毎日地獄だ、優しさとはなんだ、ってくるワ。」
「名前ちゃん個人の仕事は、ほぼ俺や他の奴に回ったんだけど、新人くんが思いの外手こずる奴でな。」
「あー、あぁ?新人って男なのォ?」
「ああ。聞いてなかったか?わりと可愛いらしい顔した男の子だな。」
2020.02.26