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チャイムが鳴り、名前は小さく息を吐いた。今日は5限で終わりの日な為、机の中の教科書やノートを鞄へと入れると、友達名前のいる隣のクラスへと向かった。名前が扉から顔を覗かせれば、友達名前は先生に捕まっている。そこで委員会で残ると言っていた事を思い出した名前は、教室を離れ下駄箱へと向かった。下駄箱には珍しく幾つかの女子のかたまりが見え、ざわざわと外へと視線を向けている。何かあるのかと、名前は同じクラスの子に声をかけた。
「校門出た所に不良がいるみたいで。」
「不良?」
「みんな帰れないって言ってて。」
そこで外からひとり生徒が下駄箱へと走って戻ってくるなり、顔を赤くしながら誰かを探している。大丈夫かと名前が見ていると、目が合うなり名前の元へと小走りで向かってくる。
「苗字さん!呼んでる!校門のところに、男の人が!」
息を切らしながらも、名前に伝えると校門の方へと指をさした。それに周りのクラスの子は、大丈夫なのかと心配そうに名前を見る。
「えっと…本当に私?」
「そう!苗字名前って言ったよ!」
「でも…不良、なんだよね?そんな知り合いいないし…。」
「不良かは分からないけど…。髪は染めてた。大きかった。ネクタイゆるーんとしてた。でもイケメンだった。稲荷崎の制服やと思う。」
そこでやっと分かった名前は、伝えてくれた子にお礼を伝え靴に履き替えると、校門へと向かった。
「おっ、名前。」
そこに立っていたのは治だった。
「治、不良がいるってみんな怖がってたよ。」
「およ?不良どこにおるん?」
治の事だと思いながらも、当の治は辺りをキョロキョロ見渡している姿を見て、名前は何でもないと言った。場所を移動し、何かあったのかと治に聞けば、スイーツ食べ放題に行きたいと言う。
「そこの店、今カップル割で高校生なら二人で1800円なんや!しかも明日で終わりやねん!クソッ、早く知っとけばもっと行けたんに。」
たしかあの店は、普通に入るとひとり1800円だったなと名前も思い出した。元がフルーツ専門店なので、使っているフルーツも新鮮でとても美味しく、そのお店のスイーツ店とあって人気のお店だった。ただ高校生には値段が高く、そう簡単には行けるお店でもない。普段キャンペーンをやっている事も耳にしないので、確かに貴重だと思った。
「いいよ。食べに行こ。」
「ほんまか!ありがとなあ。」
最寄駅の反対出口すぐの場所にあるスイーツ店へと向かう為、バスへと乗り込んだ。
「侑は誘わなかったの?」
「名前、カップル割やで?ツム誘っても意味ないやろ。」
「二人ならカップルでいけんじゃない?」
「双子でお手て繋いで可愛ええのぉ……ってキモっ!想像さすな。」
「治は、学校に女の子の友達いないの?」
「なんでや。」
「いや、わざわざ私待たなくてもすぐ行けたんじゃないかなと思って。」
「適当に誘って勘違いされても面倒やん。」
心底面倒くさいといった表情を見せる治に、名前はモテ過ぎるのも大変なんだなと少し可愛そうに思った。
お店に着くと、タイミングが良かったのか女性三人組が1組だけ並んでいただけで、すぐに順番が回ってきそうだった。
「少なくて良かったね。」
「ほんまや。何から食うかな。」
大きな男がソワソワ、ニコニコする姿はなかなか面白いらしく、横を通り過ぎる女性達はチラチラと見ている。先程通り過ぎた女性は、スイーツ男子可愛いと言っているのを名前は耳にし、思わず笑ってしまった。
「なん?」
「ううん。ふふっ…。」
「なんや、何笑ろてん。」
「そういえば、カップルって何か証明するの?」
まあ、男女で入ればカップルとして見てもらえるのかと名前は思ったが、先日他の店でカップル証明として手を繋いで入店と書かれていた事を思い出した。
「おん。なんやったっけ。見たけど忘れてもうた。でも名前となら大丈夫やって思ったから、大した事やなかったと思う。」
「それなら良かった。」
それから15分後、全力で拒否する名前に、治は土下座する勢いで頭を下げてお願いされる事になるとは、この時の名前は思ってもいなかった。
カップル割!!
入店条件:どちらかのほっぺにキス or お姫様抱っこ
2023.01.20