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ー 明日、部活終わったら学校前のコンビニに来てもらってもいいですか?その際、絶対に侑と治には気付かれない様お願いします。
このメールに対して、角名からは了解しました、なんとか頑張りますと届いた。
「おるやん!」
昨日指定したコンビニで隠れるように外を見ている友達名前が頭を抱え座り込んだ。名前もそっと外を除けば、眉間に皺を寄せた角名を挟むように、侑と治が立っている。万が一の事を思い、友達名前に付き添い一緒にコンビニまで付いてきて良かったと名前は心の底から思った。
買い物に付き合って欲しいと友達名前から言われたのは、5日前の事だった。何を買うのかと思えば、これでもかと有名ブランドや有名食品メーカーが集まり甘い匂いが漂う催事場だった。
「……え?誰に?アランくん?」
入り口に掲げられているバレンタインの横断幕を見ながら名前が聞けば、友達名前は小さな声で違うと言った。まさかとは思うが、双子かと聞けば目を吊り上げてありえないと言った。
「…聞かない方がいい?」
「いや、名前にお願いしたい事もあるんよ。」
「私?」
「その人の連絡先、わたし知らんから…出来れば呼び出してもらえると助かる。」
「え?私、その人の連絡先知ってるかなぁ。」
「知っとるよ。……角名くんや。」
「ああ、角名くんね。えっ、角名くん?稲荷崎高校の?角名くん??」
「せや。」
1ヶ月程前、かなりしつこいナンパに遭遇した際に、さらりと角名に助けられ、それから気になって仕方がないと友達名前は言った。
「漫画の主人公みたい。」
「バカにしとんのか。」
「違う違う。そっか。角名くんか。よし選ぼう。とびきり美味しそうなの探そう。」
雑誌コーナーで頭を抱えたまま座り込む友達名前に、名前は一言、まかせて、と言ってコンビニから出て行った。
「あー!名前!やっぱり名前に呼び出されたんやんか!」
コンビニから出ればすぐに侑の大きな声が聞こえた。角名は何度目かのため息を吐いた。
「ごめん、名前さんに対する双子の嗅覚舐めてたわ。」
「ううん。こちらこそごめんなさい。二人は回収させて貰います。用があるのは、私じゃないので少しだけ待っててください。」
「はあ?名前、角名にチョコ渡すんやないんか?」
「私達は、帰るの。」
「あ、名前待ってや。腹減ったからコンビニ寄りたい。」
「ダメ!絶対にダメ。いいから帰るの。」
コンビニへと入ろうとする治の腕を慌てて引っ張り、そのまま侑の腕も取り、名前は角名に頭を下げてその場を離れた。
「まったく…角名くん呼び出したのに、なんで二人が付いてくるかなぁ。」
「ああ?サムが心配してん。」
「はあ?アホか。ツムやろが。俺は連れてこられただけや。」
名前を挟んで言い合いが始まり、家に着くまでこのままなのかと名前が諦めたところで、治のお腹が盛大に鳴りそこで言い合いは止まった。
「チョコ、貰ったんじゃないの?食べれば?」
そういえばと名前も思い出し聞けば、二人は首を横に振った。モテると聞いていたが、違ったのか、それとも学校に持ってきてはいけない決まりでもあったのか。
「ちゃうわ。明らかな義理ならまだええけど、それ以外は答えられんから断ったわ。」
「だいたい知らん奴から貰うの、何入ってるか分からんし怖いわ。」
「え、侑はまだしも治まで?」
「どーゆー意味やねん。」
「だって食べ物だよ?喜んで貰いそうなのに。」
「貰わんわ。」
意外だと、名前は目を丸くした。てっきり貰えるものは全部貰って、モテ自慢をされると思っていた。そこではっとして角名もそうなのかと二人に聞けば、たぶんと答えた。
「帰り下駄箱で断ってんのは見たで。」
名前は不安になり、もう見えなくなったコンビニの方へと振り返った。友達名前は大丈夫だろうか。
「名前は?」
侑の問いかけに名前は侑へと視線を戻した。何がと聞けば、誰かに渡したのかと聞かれた。
「渡してない。まだ。」
「まだ、てなんや。渡す奴おるんか?」
「4年ぶりに渡そうと思ってたけど、ちょっと考える。」
「誰や。」
「なんでそんな怖い声出すの。私が渡す相手なんて決まってるでしょ。」
「じいちゃんか?」
「おとんやろ。」
「それは渡すよ。あとおばあちゃんにも。」
なんだその三人かと治は笑うと同時にまたお腹が鳴った。
「侑、治。」
「おん?」
「なんや?」
「あの、いる?4年ぶりに用意してみたんだけど。まあ、でも義…」
「「いる!」」
「義理やないよな?」
「本命なんやろ?」
「アホかサム!本命二人もおるわけないやろが!」
「知っとるわ!ツムは義理チョコやろが!」
「はあ?何言うとるん!お前が義理や!」
「俺が本命ですぅ!」
「二人とも義理です。」
「「なんやと!!!」」
当たり前の事を言わせないでと名前は、カバンから同じチョコの包を二つ出し、眉間に小さな皺を寄せながら渡した。言い合いはピタリと止まり、双子はそれぞれチョコを手にし嬉しそうに笑った。
「おおきに。」
「なんやほんま久しぶりに名前からチョコ貰ったなあ。」
「前に渡したの小学生だったよね。」
「せやな。初めて貰うたとき、めっちゃおかんに自慢したわ。」
「せやったな。今日も自慢したろ。」
「ふふっ、そうなんだ。私もバレンタインチョコ渡したの、親以外では二人が初めてだったよ。あ、でも友達名前にも渡した。」
「なんでや!」
「その情報はいらん!」
「角名くん、呼び出してごめんな。あのな、コレ…いや、前に助けてもらったやん?そのお礼いうか、えっと…いっぱい貰うて困るかも知れへんけど…あの…。」
「貰っていいの?」
「もちろん。」
「ありがとう。」
「え、何?何で笑うてんの?」
「ううん。」
「いっぱい貰うてるやろし、お返しとかいらんから!そもそもお礼やし!」
「そう?でもお返しさせてよ。俺、友達名前さんからしか貰ってないし。」
「え?そやったん?学校禁止やったん?」
「んーどうだろうね?」
2023.03.05