12:猪と薬草荒らし
ある日の夜。
寝ようとしていた矢先、庭先で大きな物音が聞こえた。
鬼殺隊の土地の中で動物等が出没することは少ない。
「気のせいかな・・・」
そろそろ季節は冬になり、1年で一番仕事が少ない季節になろうとしている。
ただ、明日、薬草をたくさん取りにくるとしのぶ様にいわれていたので、少し気になった。
「何にもないといいんだけど」
手に明かりを持ち、庭の中を見て回ることにする。
ふと薬園の奥に人影を見つけた。
暗がりの中で明かりにぼんやりと人影が照らされた。
「いいい、猪男ーーー!!!」
私は叫んだ。だって猪の仮面をかぶった上半身裸の男がいるんだもん!
この世で一番怖いのは人間です!!って、言ってる場合じゃない!
「お、俺は悪くねぇ・・・」
と言って男はその場に倒れた。
慌てて近づいて仮面をはがすと、中からはきれいな顔の男の子が現れた。
口をもぐもぐさせていることで私は血の気が引いた。
まさか!この薬園の草木を食べてるんじゃないよね!?
もちろん薬園なので薬草もあるが、しのぶ様に言われて毒のある草木も多く栽培している。
近くに生えている草木を確認したが、どれも人体に害のないものばかりが荒らされているようだった。
「よかった・・・。いや、よくはない!!」
ふと見ると明日、取りに来るといわれていた薬草がすべて荒らされていた。
あの薬草はおいしいもんね。ってそういう問題じゃない。
頭を抱えていると、「おおーい、伊之助ー!!」
と誰かが人を探しているような声が聞こえてきた。
「すみません!!そこで倒れているのは俺の友達なんです」
竈門 炭治郎っていいます、と丁寧にお辞儀をしながら、その子は近づいてきた。
倒れている猪男は嘴平 伊之助くんというらしい。
「もー!!本当に何やってんの!?野生に帰ったかと思った!!」
続いて現れた黄色い髪の子は我妻 善逸と名乗った。
「本当に、迷惑かけてすみません」
俺は不死川 玄弥っていいます。と最後の背の高い男の子。
ん?不死川って実弥さんの親戚かなと私は一瞬思ったけれど。
「この薬園を管理している名前といいます。とりあえず毒のあるものは食べてないようだからよかった」
「すみません。今日の夕飯が少なかったと暴れて飛び出して行って」
なかなか嘴平くんは野性的な子らしい。
「そこはよかったのだけど。明日しのぶ様に渡すために必要だった薬草が、すべて食べられちゃったみたいで」
「え”っ!!お前、本当、何やってくれてんの!?」
我妻くんは半分泣きそうだ。
「とりあえず、明朝にしのぶ様に報告しにいくつもり」
「本当に申し訳ないです。俺たちも一緒にいっていいですか?」
同期の管理もできず申し訳ないといいつつ不死川くんが覗き込んでくる。
あ。目つきとか顔も実弥さんに似てるなぁ。
「じゃぁとりあえず。明日また蝶屋敷で」
そういって4人と別れたのだった。
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「へぇ、で。名前が育てている薬草を食べたということですか」
5人でしのぶ様に報告したところ、優しい笑顔で言われたけど。
目が。目が笑ってない。
元々美しい顔立ちだから怒るとより一層怖さが際立つ。
「しのぶ様、申し訳ありません。私の管理不足です」
「名前が謝ることありません。まさか・・隊士に食べられると思いませんもの」
「俺は悪くない!!腹が減っていたからな!!」
「腹が減ってたらなんでもしていいわけないでしょ!?ねぇ馬鹿なの」
なぜか自慢げな嘴平くんと、対照的に泣き出しそうな我妻くん。
竈門くんと、不死川くんはおろおろとその姿を見守っている。
「でも困りましたね。あの薬草は今日には必要でしたのに」
「しのぶ様。そのことなんですが、亜月山にこの薬草が生えていると思うので、私に取りに行かせていただけませんか?」
亜月山とはここから私の足で大体1日くらい歩いたところにある山だ。
「名前。願ってもない申し出なのですが、あなた一人では行かせられません」
むむ、確かに私一人ではしのぶ様の言うとおり危険かもしれない。
夜には鬼が出るかもしれないし。私、出会ってもやられる自信しかない。隊士なのに情けないけど。
「では!俺に一緒に行かせてください」
そういったのは不死川くんだ。
「それは心強いですけど。いいのでしょうか?」
色々と。。としのぶ様はなぜか面白そうに笑っている。
「ほかの3人は別の任務があるので。俺は非番なんです」
「そうなのですね。では二人に頼みましょう」
何故かすごーーーーく面白そうに、しのぶ様は微笑んだ。
MONOMO