目の前に散らばる写真を集めて、ジャケットの内ポケットに仕舞う。

アジトに集まった仲間は私を含めて4人。私達のグループはこれで全員だ。
この世界で私達みたいなグループは珍しい。女ばかりが少人数で集まった所で、舐めてかかられる事の方が多いから。
それでも変わらずこのメンバーでやってきて、もうどのくらいだろう。
普通の人が高校に上がるくらいの年からこの仕事を始めた私と、同じ頃、私に一緒に仕事をしないかと声を掛けてきたのがヨンソンオンニ。
それから暫くして、同じく2人組で別の区域で生活していたフィインとへジンを誘って、此処に身を置くようになった。

仕事の話し合いを終えてしまえば、まるで女学校の休み時間の様な騒がしさになるのが妙に心地良くて、私は皆が大好きだ。



「ねえ、」


「ん?」


「…私達の潮時って、いつだと思う?」


「何急に。」


「嫌、何となく。」


「これだから恋人に甘い女はつまんないのよ。」



隣に座っていたオンニは態とらしく溜め息をついて、その様子に苦笑いする。



「そういうんじゃないって」


「ビョリオンニ、足洗いたいの?」


「珍しく惚れ込んでると思えば…。凄いのねその子。」



少し離れていた所ではしゃいでいたフィインとヘジンまでこっちに来て、ニタニタと嫌な笑顔で私を見てくる。ああ、適当な事聞くんじゃなかった。



「訳分かんない事言う前に、早くアンタが囲ってるその子に会わせなさいよ。」


「囲ってるって…言い方。」


「だってそうでしょう?あんな殺風景だったアンタの部屋にお姫様が来るなんてね。」


「ひゃー、オンニが王子様なの?私が君を守るよ。とか言うの?」


「からかわないでよフィナ」


「そうよ。後でシバかれるわよ。」


「大丈夫。私には鉄壁のボディーガードが居るもの。アンヘジン。」


「何で私が守らなきゃいけないのよ、自業自得でしょ。」


「肝心な時に冷たいんだから。私達雪の降る夜に1枚の毛布で眠った仲なのに…」


「あーはいはい。」



また騒ぎ出した2人を見ながら、我ながら平和だなと思う。似合ってはいないんだろうな。



「…潮時なんて、人それぞれよ。アンタが思うその時でいいんじゃない?」



だけどきっと、普通に生きていく事なんて、この世界に居るより難しいよ。

遠い目をしたオンニが零した言葉はきっと正しい。普通の世界の事なんて右も左も分からない私達は、きっと死ぬまで此処で生きていくしかない。



家で私の帰りを待つあの子は、私がそんな人間だと知りながらも愛してくれた。もしも私が居なくなったら、この子はどうするんだろう。そう考えない日はない。





君を愛するためには、生きていくしかないんだとしたら














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