小さな存在
我愛羅は、●●●と出会った街灯の下でいつものように座って●●●を待っていた。
夕方から、夜になっても●●●は来ない。
もうすぐ夜叉丸が迎えにくる時間だ。
我愛羅が今日も●●●に会うことはできないのか、と諦めたころ…。
「我愛羅くん!……」
頭上から待ち焦がれた●●●の声がした。
急いで空を見上げると、一瞬だけ真っ白な鳥の背中に乗る●●●が見えた。
我愛羅は●●●をひと目でも見れた嬉しさに頬を染める。
けれど自分の表情とは反対に●●●は泣いているようだった。
●●●…?ど、どうして泣いてるの?
我愛羅は空を見渡して鳥と●●●を探したが、もう見つけられなかった。
結局●●●と鳥は一度だけしか我愛羅の頭上を通らなかった。
我愛羅が名残惜しそうに空を見上げていると夜叉丸が現れた。
「我愛羅様?」
「夜叉丸!いま!白い鳥に●●●が!」
「あぁ、我愛羅様も見たのですね。あれは梟という鳥ですよ」
夜叉丸も上空を飛ぶ梟の姿を見ていたようだ。
「その背中に●●●が乗ってた……」
「うーん、あの梟は確か医療忍術の玄師さまの……」
「ねえ、あの鳥はどこに行ったの?ボク、●●●に会いたい…」
「もう夜も遅いですから、明日にしましょう」
夜叉丸は我愛羅の頭をポンと撫でる。
我愛羅はしぶしぶ、といったように頷いて
夜叉丸と手を繋ぎ帰路につく。
東の空が明るくなってきたころ…
ふーマンと●●●は木の葉の国境近くにいた。
もうすぐで、里の門が見えるはず。
「ふーマン、速いね」
「ホ」
ふーマンは得意げに首をまわした。
木の葉の「あん」門の前にふーマンは降り立った。
「ありがとう、ふーマン」
●●●はふーマンの背中から降りる。
その瞬間、ふーマンはボンっと煙になって消えた。
●●●は、深呼吸してから明け方の門をくぐる。
里の至る所で九尾に襲われた傷跡だろうか、壊れたままになっている建物や道がある。
早朝だからか、あまり出歩いている人はいない。
民家からいい匂いの煙があがる。
●●●が久しぶり帰ってきた里を見渡しながら歩いていると、背後から近づいてくる足音が聞こえた。
足音は●●●の真後ろで止まり、トンと肩を叩かれた。
「ねえ、あなた…………やっぱり!●●●!」
「えっ……紅!」
2人はわあっと抱き合った。
「どうしたのよ、こんな朝早くに!」
「ちょうど今帰ってきたところ…紅は?」
「私はこれから任務なの!」
「そうなんだ…頑張ってね!」
「●●●、任務が終わったらゆっくり会いましょう」
●●●と紅は会う約束をして別れた。
別れた後にカカシのこと聞いてみれば良かったと紅を探したがもうすでに姿はなかった。
●●●は帰って来たその足で慰霊碑に向かう。
早朝の慰霊碑には誰もいない。
慰霊碑に刻まれた名前を確認する。
以前見た時よりかなり名前が増えていた。
…きっと九尾のせいだろう。
おそるおそる、刻まれた名前を確認していく。
刻まれた名前の中には忍者学校同級生の名前もあった。
心臓が早くなって身体が熱くなる。
カカシ…大丈夫…大丈夫…
カカシの名前はなかった。
生きているだろうと安堵する。
気持ちは少し落ち着いた。
朝の空気が熱くなった体を冷やしてくれる。
気持ちいい。
●●●は、慰霊碑の前からまた里の方へ歩き出す。
紅に会う時間までにかつての担任に会いに行く。
いろいろお世話になった人だ。
●●●は担任が忍者学校に出勤する前に会おうと足場に担任の家に向かう。
紅に会ってから里を出よう…
ふーマンは消えてしまったから砂まで3日ほどかかるなあ。
でもその前に…眠い。