その他

※未来
身動きの取れない体に違和感を感じて楓花は目を覚ました。朝方の暗くて肌寒い空間に少し震えるもやはり体は動かすことは出来なかった。それもそうだろう、今彼女の腰には逞しい腕が足には自分よりも幾分も長い足がガッチリと彼女を捕まえていたのだ。それでもモゾモゾと少しずつ動かしながら顔を上げればこの暗闇でも分かる整った顔に思わず眩しいものを見るかのように目を細めた。
(顔がいいな…)
長いまつ毛にすらっとした鼻筋に形の綺麗な唇。今は瞼で閉じられている目もキラキラと宝石を散りばめたかのように綺麗だった。改めて考えるとなぜこんなにも綺麗な彼は私なんかを好きになってくれたのだろうかと不思議でしょうがない。彼は優しいからもしかしたら私に同情して付き合ってくれているのでないか。そう考えると酷く悲しくて、そうでなければいいと祈るようにまたモゾモゾと動いて彼の懐に収まろうとした彼女の頭より上の方から小さい唸り声が聞こえ楓花の体は固まった。
「ふうかちゃ、ん…?」
寝起きのいつもよりふにゃふにゃとした声に何故か反応できなくてそのまま動けないでいると腰に回っていた手が楓花の頭の上へと移動する。
そのままゆるゆると頭を撫でられる感触に照れくささがありながらも少し泣きそうになる感情が込み上げる。それを知ってか知らずか彼は撫でていた手をまた元の場所に戻すと今度は楓花との間が出来ないほど抱きしめる。自分の体をすっぽりと覆うような体格差に酷く安心した。
「ふうかちゃ……すき、だいすき…」
寝言なのかそうでないのか彼女には分からなかったがその言葉に先程までのモヤモヤとした悩みは消え代わりに強い睡魔が襲って来た。
(私も…)
その後の言葉を心の中で思う前に楓花は石清水と共に夢の中へと戻って行った。


・デート帰りの電車の中で2人座って楽しかったね〜とか話してたんだけど段々と楓花の方が船を漕ぎ始めちゃってそれを見た石清水が「無理しなくていいよ、近くになったら教えるから」って言って楓花はその言葉に甘えて夢の中へ。それから石清水は1人で外の景色を見たり持ってきてた小説とか読んだりするんだけど楓花の放り出された手がどうしても気になっちゃってこっそり自分の手と繋いで、1人で顔を赤くして照れる。ひとしきり照れた後本を開きながらちらちらと寝ている楓花を見る石清水。手を繋がれたことに気づかず今だに寝たままだったが、電車の揺れとかでその体の傾きは石清水の逆の方でそっちには知らないお兄さん。このままだと楓花はそのお兄さんの方に寄りかかってしまうと知り、その人に迷惑がかからないように…というのとそうなったらちょっと嫉妬するからという気持ちだったり、自分の方に寄りかかって欲しいって言う気持ちで周りを伺い自分たちを見てないことを確認すると本を膝の上に置き自分の方へと少し引き寄せる。自分の方へと楓花が傾けばあとは自然と石清水の方に寄りかかる、それに石清水は満足すると同時に今までの自分の行動や思考や楓花の頭の重みや香りや体温で死ぬほど恥ずかしくなる。下に俯きその赤い顔を隠そうとするが髪の隙間から見える肌も耳も真っ赤で隠しきれてはいない。小説だって今の思考回路では何一つ頭に入ることは無いだろう。けれど石清水はどんなに恥ずかしくても楓花の手を話す事なく握りしめ続けた。そしてそんな勝手に自爆した彼氏とその隣で寝続ける彼女の様子を会社帰りの女性はずっと見続けそのあまりの尊さとしんどさと彼氏の可愛さに耐えきれなくなりSNSに漫画を載せるとバズりまくった。(大学生)

・付き合いはじめて1ヶ月程たったが恥ずかしすぎて未だに手すら繋げてない2人。Theうぶ。石清水的には恋愛小説とか読んできてそう言うのに憧れがあるっていうのも含めてそろそろ楓花と手とか繋げたらな…って思ってて、そんな時たまたまお互い部活がなくて一緒に帰ることになった2人。いつもなら本の話だったり石清水が部活の話を楓花にしたり、その逆だったりと話があまり尽きないのだが、この時だけは石清水が今度こそ手を繋ぎたいと意識しすぎてしまい少し気まずい感じに。お互い口数も減り静かな空間になってしまいどうしようと内心慌てる石清水。そんな彼の手と楓花の手がたまたま触れ合い必要以上に石清水は驚き何故か触れ合ったことについて謝ろうと口を開く、せっかくのチャンスをダメにしてしまいそうになった時それよりも先に楓花は石清水の緊張で少し汗ばんだ指を遠慮がちに掴む。その行動に思わず足を止め楓花の方へと目を向ければ顔を俯かせていてその表情は分からない。けれども夕日とは違う肌の赤さや自分の指を握る小さな手の熱さに気づく、そして「…あの、…て…手を、つ、繋ぎませんか…?」震える声でゆっくりと紡がれるそれに石清水は楓花から先にやらせてしまった事を男として後悔しながらも、嫌なら…と離そうとする手を今度は自分から掴み離れないようしっかりと手を握る。「嫌じゃないよ…そんな事あるわけない」心臓は聞こえそうな程うるさいし、緊張でても汗ばんでるし、顔だって熱くなり楓花に負けないほどに赤く染まる。格好なんてつかないけれど自分の気持ちを伝えるのにはそれで十分で、現に楓花は石清水の言葉に俯かせていた顔を上げ照れながら笑顔を向ける。(あ…)可愛い、と楓花の笑顔を見た瞬間何かに心臓を刺されたような衝撃を受け石清水は気づけば自分の顔を楓花へと近づけていた。この時間はまるで永遠のようだ、触れ合った唇をゆっくりと離しながら石清水は頭のどこかで昔読んだ小説のフレーズを思い出す。けれどそんな思考は他人から見れば一瞬だ、石清水は自分がしてしまった事にハッとして楓花の顔を見る。状況を呑み込めずに唖然としている彼女に石清水は慌てた「ご、ごめっ…ごめん!あの、なんか…!えっと…今井さんが、可愛くて…!それで…えっと…つい……」自分でも何言ってるんだと最後の方には声がほとんど聞こえないほど小さくなる。もしかしたら怒ってるかもしれない、そりゃそうだ急にこんな事したら…なんてマイナスなことしか考えられなくなり、視線が足元を映す。「…そういう風に、言うのは…ずるいよ」未だに少し震える楓花の声に石清水は視線を上げる。前よりも顔を赤くし繋いでいない方の手で口元を隠す彼女は石清水と目を合わせる「びっくりしすぎて、心臓が止まるかと思った…」「う…ごめんね」「…でも、あの…嫌…とかじゃない、からね」そう舌で押し出すように話すと、楓花は直ぐに口元だけを隠していた手を少し上に上げ、石清水から顔が見えないように隠す「って何言ってんだろね!いや、ほんと、うん!ごめん!さっきのは無しで!!気にしないで!!」発言した内容の恥ずかしさと今の空間のむず痒さで楓花は耐えきれなくなる。そんな彼女に石清水は繋いでいた手の力を少し強め小さくありがとうと呟きまたゆっくりと歩き出す。湧き出す感情を抑えるため今まともに楓花の顔を見れない石清水は1人自分達が外にいるという事に安堵する。だってそうでなければ石清水は楓花を抱き締める所だったのだから。(原作後高校生)

・1口が自分よりも小さい彼女にびっくりする話