話の流れ2

そんな初日があり数日、楓花は美術部に石清水は文芸部からラグビー部へと入部したりもしたが楓花達はあれから進展もなければ停頓もしていなかった。彼女自身未だに石清水の顔がまともに見れずその造形が(自分の幻覚かもしれないが)とても良いという大まかなことしか分からないが、特に気になることも無く目をつけられなければそれでいいとそう思っていた。
そう思っていたのだ…

(駄目だ…死んだ、私の人生バットエンド…)

誰が見ても真っ青な顔になっている楓花、その目線の先には最近ちょこちょこと描いていた女の子が載ったスケッチブック……を手に持ちそれを見る石清水の姿。今だ勘違いをこじらせている楓花にこの現状はとても最悪であった

(このまま下手くそと言われ周りからも笑われるか、破かれるか…破かれた方がダメージは少ないのかな…)

どっちも嫌だけど。とマイナスな事しか考えられない楓花は心の中でそこに沈めそうな程に泣いた。
何故こんなことになったのかと言えば、それはただ単に楓花がうっかりスケッチブックを落としそれを石清水が拾ったと言うだけなのだがそれでも楓花が今この瞬間に絶望するには十分だった。
これからの高校生活はきっと地獄だ…、さらば私の平凡以下の人生!

「…すごい」
「へ…?」

そして初めましてゴミみたいな人生!と半ばやけくそに思っていた、しかし石清水からこぼれ出たその言葉に楓花は気の抜けた声が漏れ出る。そして今まで見て来なかった彼の顔を思わず見た。きらきらと宝石のように光るイチョウの葉のような色の瞳と目が合う。

「綺麗な絵だね!これ、今井さんが描いたの?」
「う、…ん」
「凄いなぁ…本当に女の子が水の中にいるみたい」

スケッチブックに描かれた絵に石清水は自分が感じたものをそのまま口に出す。凄いなぁ凄いなぁと呟く彼に楓花はひとつ疑問に思う。それは石清水が普通にいい人なのではというもので、もしかして今の今まで私が勝手に勘違いしていたのでは?と。そこに行き着いた理由は至極簡単なことで楓花的には自分の絵をここまで褒めてくれる人なんて中々居ない…つまりいい人というなんとも単純なものだった。そしてもう1つ

(顔良〜)

陰キャで勝手に怯えていた自分に対して向ける眩しい笑顔、それは楓花が今まで見てきた人の中で1番輝いているような錯覚が起きる。そんな石清水の顔が悪いわけがなく、アイドルを間近で見た限界オタクのような感想しか出てこなかった。
顔が良くて、裏表のない言葉を紡ぐ石清水が悪い人ではない。そうして楓花はここに来て初めて単純すぎる思考回路で石清水への印象を改めたのだった。

「って…か、勝手に見てごめんね…!」
「あ…気にしないで」