設定

舞台は五期で、妖怪横丁とつながっている人間界の街の少しはずれにあるそこそこ大きい神社で巫女をやっている女の子と鬼太郎と妖怪の話。
イメージソング的には結局東方の「絶対的一方通行」

東方の設定を見過ぎて女の子の設定が博麗霊夢みたいになっているが別人。

アニメで出てくる町は遠出をした時以外、大体同じ場所。
妖怪だけではなく怪異とか(姦姦蛇螺等々)も入れたい

まだ中学三年生だった女の子がある日一人の親友と森の中にある神社に神社巡りをしに行ったとき女の子だけがその帰りぎわ、謎の黒い手に引きずり込まれるようにして森の中に神隠しに。
しかもその神隠しは世界と時間を超えるもので女の子は気が付けばさびれた神社の前に倒れていて周りの景色は現代のものとは全く違う人々は着物を着、木材の建設が中心となっている幕末へと過去に飛ばされていた。
その光景に唖然としている女の子の前に2匹の化け狐が姿を現し突然別の場所へと隠され戻ることが出来なくなった女の子を哀れに思い世話を焼いた。その2匹は霊永(りょうえい)神社の守り神の立ち位置であり1匹が九尾、もう1匹の少し小柄な子が天狐。2匹とも人型や人間に擬態もできる。九尾が天音(あまね)、天狐が雛稀(ひなき)。

女の子
どこにでもいるただの中学三年生の女の子だったがほかの人間よりも霊力が高かったため大禍時の時に神隠しにあい、そのまま別の世界、別の時代に…。
そしてそのはずみで人の道から外れ普通の人間は持つことのない長寿と不思議な能力を手にした。天音達に保護されたあと元の世界に帰るために多くのものを調べ、探してきたが見つからず霊永神社の巫女とし数えきれない年を過ごした。なんだかんだ世渡りが上手く、寂れた神社はいつしかそこそこ大きな神社に。自ら誰かと関わろうとはあまり思っておらず、交流は浅く狭く。
性格的には何処か冷めてるところもあるが、元の性格の優しさは消されておらず何だかんだ苦しんでる人を見捨てることは出来ない。そして中学3年のように子供っぽい時もあるが、誰よりも大人っぽい時もある。
人では無いためその気になれば妖怪横丁に行けるし、天音達が着いていれば地獄にだって行ける。ただ彼女は妖怪でもないため周りから目立たないよう天音と雛稀の妖力が込められた狐の面を付けている。妖怪退治や悪霊の封印の時なども
弓矢も扱える


長い年月の中で彼女の心はどこか壊れている。自分の知らないものしかない世界から親友や両親のいる世界に帰るのが1番の希望だったが、それが叶わないと知った今ではこの世界から自分という肉体も記憶も存在も感情も何もかも消して欲しいと思うようになった。

この世界に来た弾みから妖怪、幽霊、悪霊、神様などが見えるようになり、更には払えるようにもなった。
能力というのは天音や雛稀にそれ等に対抗出来るようにと封印や結界などを教えて貰ったものと、神隠しで大禍時に取り入られた時体に埋め込まれた大禍の力の2種類。
行きは良い良い帰りは怖い。その文字通り行きは一瞬でも帰りは永久に来ない。

能力

霊力を使って主に身体能力を上げたり結界を貼ったり物や重力を操ったりできる。
他には小さい玉の中に妖力や神力を込め条件さえ整えば1度きり他人でも妖怪を払え、身を守ることが出来る。

大禍の力
この世の災いや生物の負の感情などを元に通常以上の力を扱える。しかし、その反動は大きく下手をすれば内蔵が潰れ肉はひしゃげて使用者は死亡する。
自身の血液などを操れるため武器は主に自分の血。
大禍の力は妖怪達の中でも有名で、何としてでも手に入れたいと思い血眼になっている者もいる。

天音
霊永神社に祀られている神様の1人。狐の中で1番くらいの高い九尾。
境内で倒れていた女の子を見つけ始めてみる服装や彼女の話からタチの悪い神隠しにあい、更には大禍の力を埋められその弾みで人間の道から外れ人でも妖怪でも神でもなくなった不安定な存在なのだと知り最初は同情で神社に置いた。
長年女の子といたため今では女の子のよき理解者の立ち位置に。
人間の姿は金髪に目つきの悪い美人な女性。性格も他人に対してそこそこきつい。
目玉の親父とはある程度の顔見知り。

雛稀
霊永神社に祀られている神様の1人。狐の中で2番目の位の高いしっぽのない狐。天音と一緒に女の子を保護した。天音よりも性格が優しいためいつも女の子を気にかけている。女の子の願いはできるだけ叶えてあげたいが、自分を消して欲しいという願いだけばどうしても出来ないまま。いつか彼女がこの世界でも幸せになれるように願っている。
この3人の中で1番発言力が低い。
人間の姿は少し子どもっぽく白い髪をしか可愛い女の子。

この2匹とも女の子の体に掬ってる大禍の力をどうにかしたいと思っている。

霊永神社と地獄の関係は意外と深いもの。元は女の子が誰かの故意で無理やりこの世界へと飛ばされ存在するはずのない少女に地獄の1部が混乱したため。更にはまだ何も知らず怯える彼女を早めに返し混乱を収めようと少女の前に閻魔が姿を表した時彼女の中に大禍の力が無理やり埋め込まれそれが彼女とこの世界を結びつけ、無理やり取ろうとすれば少女の命は無い。もう手遅れなのだと知った閻魔は天音に女の子をここに置き大禍の力が他の者の手に渡らないよう監視するようにと頼んだ。それがきっかけ。

あの子(千秋)
女の子の1番の親友。それは世界が違っても変わりない。あの日女の子が突然いなくなり一年以上探し続けたが結局今も見つからない。あの時私が女の子の手を握っていたら何か変わっていたかもしれないとずっと後悔していた。
ある時夢の中に巫女の姿をした女の子がおばけを倒すという夢を見るようになる。それは夢を通して別の世界に飛ばされた女の子を見ることが出来るのだと理解した千秋はそれ以来夢の中で自在に動き回れるようになった。女の子の中にある大禍の力も知っていた
そんなある日千秋の目の前で楓花が自分の偽物に連れ去られてしまう。思わず女の子の手を取ろうとするが夢の中なので触れることは出来ない。その後鬼太郎達の話を聞いていた時、突然鬼太郎が千秋の方を振り向き彼女の存在に気づく。何故かは分からないが千秋の姿が周りにも見えるようになっていた。そんな感じで鬼太郎達と共に女の子を助けに行き操られた彼女を鬼太郎と共に取り戻し、最後1人みんなを守るために犠牲になろうとした女の子を守り少し2人で話した後女の子と別れた。その後千秋が女の子の夢を見ることはなくなったが、千秋は向こうでも元気に暮らしているであろう大切な親友を胸に前を向く。





流れ

(水虎、がしゃどくろ、夜叉、沼御膳、その他色々…そしてゲゲゲの鬼太郎、ね)楓花は最近起きた妖怪の騒動を指折りしながら思い出していた。最近どうにも妖怪の動きが活発に思えて仕方がない、最近起きた爆発事件も微かに残っていた妖気から人間の仕業ではないと判明したし、天音が言うにはこの街以外でも妖怪騒動は後を絶たないらしい。
一体この国で何が起ころうとしているのか、とため息が出そうになりながら今日一日が平和であればいいと楓花はそう思いながら賽銭箱の確認のため境内へ向かっていた時、鈴をならす音が神社ないに響いた。
(…こんな時間にお参りに来る人がいるだなんて珍しい)
この霊永神社は街の少し外れにあるため参拝客が来る事はそこそこ珍しい事であった。しかもそれが平日の昼間なら尚更だ。楓花はその参拝客にバレないようそっと本殿から顔を出し一体どんな人物が来たのかと覗き見た。

(いつも勝手にうちで遊んでるクソガキ連中の1人じゃない、珍しい)
ここ最近、神社は特定の子供達の遊び場として活躍していることがあった。けれどその神社の巫女をやっている楓花自身子供という存在はどうにも好きになれず、あまりにも騒がしければ追い払おうと幾度となく行動していた。だけれど何故かそんな彼女の気持ちとは裏腹に子供達はそんな彼女に対して良い感情しか持っておらず悪く言っても口うるさい近所のお姉さん的な存在であった。それはなんだかんだ言って彼女の人の良さ、甘さから来るものなのだろう。
そんな子供達を最近余り見なくなり、やっと静かな神社に戻り始めたと思った矢先のこれだ。
(なんで今更参拝なんかしてるのかし、ら……)
いつも騒いでいる時とは違いその子の顔は青く、冷や汗もかいていた。その表情はなにかに脅えているようで、一体何があったのだと視線を下に下ろしたとき言葉が一瞬詰まった。
(あー……なるほど…)
少年の腰辺りに縋りつくかのようにへばりつく黒い霧のような瘴気に目を細める。何をどうしたらあんな変な奴らに付かれるのだ…。霊永神社は他の神社よりも神気が多いためそこまでの浸食は無いものの放っておけば三日も待たずに引きづりこまれるだろう。
(仕方ない…)
見知らぬ人間だったのなら知らない振りをしてもよかったのだが、あの少年を含めた子供たちに楓花は少ないながらも情がわいてしまっていた。何もしないのはそれはそれで目覚めが悪いだろう。
彼女は本殿の影から姿を現すと未だ真剣に神様に祈っている少年に声をかけた。

「クソガキ」
楓花の声に少年は大きく体をビクつかせ勢いよく振り返った。そしてその視線の先にいたのが自分たちの良く知るこの神社の巫女であったことにひどく安心したようなそれでも恐怖を隠しきれてないよな顔になる。
そんな少年にばれないよう楓花は一体どうしたのだと聞きながら自分の体の後ろで隠しながらそっと片手で印を結んだ。彼女に結んだ印で煙のように瘴気が消えると同時に承認はタイミングよく、されども何かをためらうよに数回空気を求めるかのように口を開き閉めしたあと涙をこらえながら楓花に助けを求めた。
「お姉さん、たすけて…」
「…何があったの」
少年の話によれば数日前あのいつものメンバーと裏山に行ったときその一人がたまたま何かを封印していたであろう石碑を崩してしまったらしい。そしてそのまま誰も元に戻さず、気にしもしないままその日一日ずっと遊び続けた。
裏山にある石碑というのは楓花ももちろん把握していた。それが何の役目を果たし何を封印してきたのも、実際に見てきたのだ。そしてそれが第三者の手によって壊されたのも知っていた。
「あんたたちが関わってたのか」
「それから皆どんどん学校に来なくなって、先生は「病気で休んでるんですよ」って言ってたけどたまたま先生たちの話が聞こえてきて…。そしたら病気なんかじゃないってわかって…もう俺以外残ってないんだ家にも、学校にも…きっと次は俺だから怖くなって…」
普通ではありえないであろう出来事が身近な人間を巻き込んで起きている、そこから来る混乱かそれとも自身では計り知れない恐怖からか少年の話はたどたどしく、どこがめちゃくちゃな話であった。普通の人間ならば「何をバカげたことを」と、子供の戯言としてとらえてしまうかもしれない。けれど楓花はそんなことを言う事も思うこともなく、少し考えるそぶりをした後また少年へと向き直った
「本当にわざとじゃないのよね」
「うん」
「…わかった。ただ私はここの巫女だからあまりここを離れられないしあんたの側にずっといることもできない。それはわかるわよね」
「…うん」
「だから、代わりにこれを上げる」
袖の中に手を入れ何かを取り出すとそれを少年の手の中へと落とした。
それは丸く赤い玉で、大きさはビー玉くらいだろうか、その一見どこにでもあるような小さな玉に少年は首をかしげる。けれどそれはよく見れば玉の奥底で何か光るものが渦を巻きまるで意思を持っているかのように思えた。
「今から私が言う約束が守れるのならこの玉は私の代わりに一度だけあんたを守ってくれるわ」
「約束?」
「そう。ひとつ、この玉のことは誰にも話さないこと。ふたつ、決して誰にも見せないこと。みっつ、何があっても絶対に手放さないこと。…この三つを守れればこれはあんたのために力を貸してくれるから」
「も、もし守れなかったら…?」
「さぁ?少なくとも私とアンタはもう二度とこの世で会うことは無いでしょうね。…で?守れるの?」
「う、うん!絶対守る!!」
そう、それならいいの。大切に肌身離さず持っていなさい。
楓花にそういわれ少年は思わずその手に持った玉を両手で祈るように握りしめた。その後少年が妖怪に襲われたのはこの二日後である。



オリジナル話「大禍の巫女」流れ(大まか)

地獄で西洋妖怪と戦うために鬼太郎と向かう。

その途中布を体にまきつけた敵に女の子は鬼太郎達と別行動させられる

布をとるとそこに居たのは物部天獄。驚愕する女の子

その後なんやかんやありボロボロになる女の子。天獄は女の子の左腕を掴むと刻印の邪気が育っていることににっこり。「そろそろタイムリミットだよ」それだけ伝えると天獄はその場から消えた

この事を誰にも話せず数日後、刻印はどんどんと広がり邪気を孕んでいく。包帯で隠していても体を蝕むそれに女の子はついに鬼太郎の家で倒れた

女の子は布団に寝かされ鬼太郎達はその事を天音に伝える

猫娘が砂かけばばあ達を呼び横丁の妖怪達数名が家に押掛ける

その後天音達ではなく、彼女たちに話を聞いた藍坊主が駆けつけてくる

鬼太郎達はなぜ藍坊主が?と不思議に思っていると、藍坊主は女の子の元に行き女の子の襟元を戸惑いなく掴み広げる

その行為に鬼太郎達は驚き目玉親父や砂かけばばあ等は何をしているのかと怒ったり困惑する

しかし女の子の腕から鎖骨にかけて刻まれている不気味な黒いそれに言葉が止まる。そんな中鬼太郎だけはそれに見覚えがあった(あの時見えていたのは…僕の気のせいじゃなかったのか…)

「やべぇな…想像以上に進みが早ぇ…」そう独り言を呟く藍坊主。周りはこれは一体何なのかと思っていれば、野次馬のようにそれを見ていたアマビエが閃く

「閃いたよ!これを巡って大きな事がおこるよ!」そう話すアマビエに隣にいたカワウソが「また適当な事を… 」呆れる

しかし気づかないうちに後ろに立っていた天音達が「アマビエの予言は当たるかもね」と話し、室内に入る。

そんな状況を千秋はだれに気づかれず透けた体で上から見下げる(○○ちゃん…)

そんな時突然強い妖気を感じた鬼太郎。それは狐2人や藍坊主も気づき、一体何者なのか外に出た。そこに居たのはねずみ男と布を巻いた者、ねずみ男がここに案内したのだった

「ここ、ここですよ!天獄先生!」「天獄だって!?」天獄という言葉に驚く藍坊主達、鬼太郎達はその名前にどこか聞き覚えのあるものの話に着いては行けない。けれど天獄の「愛しい力、その器であるあの娘を返してもらうよ」という言葉に女の子を狙う敵だということが分かりすぐさま警戒する

そんな中女の子はその妖気と異常な気配に触れ目を覚ます。「…何が起きてるの?」と状況が掴めない女の子

その女の子に藍坊主が部屋の中にいるアマビエとカワウソに「○○を連れてここから逃げろ!」と叫ぶ

天獄はその言葉に笑みを浮かべると先程の老人のように掠れた声を変えて室内にいる女の子に声をかける

「○○ちゃん」先程までの声とは違う天獄の声に鬼太郎達は驚く。しかしそれよりも衝撃を受けたのは女の子と千秋だった

「○○ちゃん出てきて、私だよ…千秋だよ」「ちー、ちゃん…?」忘れてしまった記憶が蘇り女の子はその姿を見ようと慌てて外に出ようとするがカワウソとアマビエがそれを止めようと腕を掴む

けれど女の子はそれを払い除け外に出る。「○○これ以上近づくな!」「でもちーちゃんの声が!」天音達に止められながら千秋の声を出す天獄を見る。今の女の子には地獄で出会ったあの布をまいた人物と目の前にいる人物が同じものだと理解出来ていない

天獄はあと一押しと自身の布を外していく。するとそこに経っていたのは女の子が全てを忘れかけていた千秋の姿だった。その姿に更に動揺する女の子。

千秋に変身した天獄の元に行こうとする女の子をすぐに中に入れようとする藍坊主達だったが突然目の前に白い霧のようなものが浮かび上がる

それは天獄が連れてきた手下であるくねくねだった。突然現れたそれを思わず見てしまった周りは体の自由が無くなる

そんな周りよりも千秋にしか気を取られてない女の子に天獄はその体で手を広げる「私と一緒にいこう」

鬼太郎は女の子に「行っちゃダメだ」と力を振り絞りながらなんとか口を動かすが今の女の子の耳にそれが届くことはなく、女の子は小さく震えわせる体で千秋の元へかけて行ってしまった

この事を見ていた本物の千秋も「○○ちゃん!そいつは私じゃない!本当の私はここだよ!」と女の子の手を掴もうとするがそれは虚しくもすり抜けてしまう

そして女の子はついに天獄の腕の中へ「ちーちゃん…!寂しかった、会いたかった…!」そう話無く女の子を天獄は不敵な笑みを浮かべながら頭を撫でる

「よしよし、私の大切な子、愛しい子、すぐに目覚めさせてあげるからね」と言うと手から不思議な光を出しそのまま女の子を気絶させてしまう

鬼太郎はそんな女の子を見て自身の妖力を高め無理矢理くねくねの力から抜け出す

天獄に抱えられた女の子を助けに鬼太郎は毛槍を片手にそこへ向かうが千秋から天獄へ元の姿に戻ると隣で「それで報酬の方は…」と聞いていたねずみ男を鬼太郎目掛けて蹴り飛ばし2人とも後ろへ吹き飛ばされる

「もう君らには用はないよ。あぁでもお礼はしなきゃね…大禍の力をここまで育ててくれてありがとう」「なに?!大禍の力じゃと?!」皮肉混じりに話す天獄の言葉に目玉親父は反応する。また不気味に笑うと天獄はその場から消え、くねくねも消え去った

体が自由になった藍坊主達は女の子が連れ去られた事に焦る

天音は神通力で下にいたねずみ男を自分の元へ運ぶと天獄の居場所や、あいつが何をしようとしているのかを聞くがねずみ男は知らないと慌てる

猫娘に支えられ室内に入った鬼太郎はそんな天音に「何か知っているのは天音さん達の方なんじゃないんですか」と聞いた

「…それはどういう意味?」と睨みつけ聞き返す天音。「ちょっと鬼太郎!?」と慌てる猫娘を手で制し「そのままの意味ですよ。天音さんも雛稀さんも藍兄さんも、僕らに一体何を隠しているんですか」と鬼太郎はその目に睨み返す

天音の圧に冷や汗が出ながらも目をそらす事の無い鬼太郎に雛稀は天音に「もういいんじゃない?鬼太郎達はもう部外者じゃない。ここまで来たら知る権利があるよ」と話す

雛稀の言葉に天音は鬼太郎から目を逸らし1つ大きなため息を吐くと「…そうね」と返した

天音は自分が鬼太郎達に話している間に雛稀は天獄の居場所を探してきて、と頼むと「俺も探すのを手伝おうか?」と聞く藍坊主に天音は「あなたもここで聞いて。今から話す事は私達と地獄にいる閻魔大王達位しか知らない事だから」と言い雛稀だけがその場を去った

さて、どこから話しましょうか。と言いなが女の子が天獄の力で無理やり別の世界に飛ばされてしまったこと、それを自分達が保護したこと、大禍の力を埋め込まれていた事、それが先程の物部天獄の仕業だと言う事、千秋という人物が誰なのか…を説明した

天音の話に誰も言葉が出ない。他人の勝手で突然大切な人達と切り離されてしまった。もし、それが自分だったら…突然、一生家族や友人と会えなくなり知らない世界で1人生きていく、そう考えると怖くて仕方がない。けれど女の子はその恐怖心を千年以上感じ生き続けてきたのだ、頼る人などいない場所で

誰もが顔を歪めるなか雛稀はタイミングよく帰ってくる。居場所をつかんだのだ。場所を聞いた天音はまた口を開く「…まだ間に合うかもしれない、大禍の力が解かれる前に取り戻せばまだ」その言葉を本当の意味で理解したのは雛稀と藍坊主だけだった

雛稀が案内した場所は相模湾沿岸。けれどそこには人一人いない。けれどもどこからか感じる妖気を感じその場所を探し天音は「見えないように妖力でかくしてるわね」と話し手を空中で縦に振り下げると何も無かった空間が避け、黒い渦が顔を出す

千秋と鬼太郎たちがそこに飛び込めば、目の前に広がるのは薄暗い森の中だった。

一目でここは現代にある森ではないと悟った鬼太郎達。雛稀の嗅覚で女の子の元へ向かう一行、するとどこからか複数の声が聞こえる。

それは天獄の声で天獄は何か物語を話す。するとその語りに合わせくねくねと巨頭オが姿を現した

その2匹の妖怪を鬼太郎達は知らず、目玉親父も初めて見ると話すそれ。しかし天音は冷静に話す「知らないのも当然ね。あの時の白いものといい目の前のこれといい、ネットが発展し始めた今人の噂から生まれ人の好奇心と恐怖心で力を付ける妖怪もどきなのだから」何故知っているのかと聞いた猫娘に次は雛稀が答えた「…私達の本当の仕事は妖怪退治でも人間の保護でもない…そういう怪異達の封印および抹殺だよ」

襲ってくる2匹に鬼太郎は迎え撃とうとするがその前にぬりかべ達がその2匹の動きを止める。猫娘達は鬼太郎達に早く女の子を助けに行って!と叫び、鬼太郎、目玉親父、藍坊主、狐2匹は先へ進んだ。

走っても走っても薄暗い森を抜けることが出来ず焦る鬼太郎。そんな時全員はとてつもない邪気の大きさに足が止まる。天獄とは比べ物にならないそれに鬼太郎は一体なんなのかと辺りを見回し、天音は顔をゆがめた「遅かった…!」

遅かったとはどういう事なのか聞こうとした鬼太郎の襟元を藍坊主は掴み自分の後ろへと引く。突然の事に尻もちを着いた時大きな衝撃と地響き、そして土煙が周りを包む

その土煙の中にひとつの人影。それは鬼太郎にとって信じ難いものだった「○○ちゃん…?」何も発することの無い彼女。その顔の左側は刻印が刻まれ、鬼太郎がゴーゴンを倒した時に見たあの不気味な目が光をともすことなく向けられる。そんな女の子は袖の中からいつもの小刀を出すと鬼太郎達に襲いかかった。

天音は隠していた9つのしっぽを現し戦闘態勢へと入る。それは藍坊主も雛稀も同じ事だった。女の子の振りかぶったそれを雛稀は神通力で止め藍坊主が女の子の体を押さえ込もうとするが女の子は神通力を破り2匹の狐を一瞬にして蹴り飛ばす

藍坊主達はそのスピードと力を見て異常だと感じる。天音は自身のしっぽを伸ばし女の子へと勢いよく放つ、が女の子は軽々と避ける。彼女がいた場所は天音のしっぽによって深く抉れていた。まるで彼女を倒そうとするその動きに鬼太郎は天音に叫ぶ

「天音さん!それでは○○ちゃんが…!!僕達は彼女を助けるためにここに来たのに!」「…えぇそうよ。助けるのよ、大禍の力に呑まれた彼女を殺してね」「何言って…!」殺すとは一体どういう事なのか、鬼太郎は藍兄さん!と藍坊主にも止めてもらうよう声をかけるが彼は何か思い詰めるような顔をしその杖を女の子に向ける

「藍兄さんなんで…」「鬼太郎、貴方も本当の意味で彼女を助けたいのなら地獄の鍵を使って大禍の力ごと○○を消し去るのよ」天音達を信じ難い表情で見る鬼太郎、そんな彼を横目に一瞬だけ見ると天音はまた楓花へと攻撃の手を伸ばし、雛稀達もそれに続く

3人が一斉に攻めても女の子は簡単によけむしろその圧倒的な力で返り討ちにする。3人それぞれボロボロになり、膝をつく者もいる。そんな時突然口や目から大量の血が零れ落ちる、攻撃を一切受けてないのにだ。ふらふらと足元が覚束無い彼女に鬼太郎は思わず駆け寄りたくなる衝動に襲われる

「やっぱり、大禍の力に肉体がついていけてない…」雛稀のそんな声に鬼太郎は天音の殺す事が助ける事という言葉と今の彼女をこれ以上見たくないと力なく立ち上がる。(○○ちゃんをもう苦しめないように……)自分の持つ地獄の力で、と地獄の鍵を出現させようと胸元を握りしめ妖力を込める

鍵が現れる傾向の赤い光が発せられる。(でも、でも僕は…)目の前にいる女の子と鬼太郎が今まで見てきた彼女の姿が重なり殺したくない、彼女に地獄の力など使いたくないという思いが駆け巡る。

その迷いがあった為か赤い輝きは小さくなり最後には消えてしまった「なんで…、」「鬼太郎避けろ!!」藍坊主の声にハッとして前を見ると、音もなく目と鼻の先に女の子は近づいていた。そして防ぐまもなく鬼太郎は蹴り飛ばされる

地面に伏した鬼太郎にトドメを刺すかのように女の子は未だ血を垂れ流しながらゆっくりと近づいてくる。そして手に持った小刀を鬼太郎へと向けた時女の子の動きが止まる。こちらに向かってくる猫娘達の気配を察知したのだ。

姦姦蛇螺達をなんとか倒した猫娘達はその場につくと自身の目を疑う程の光景に目を見開く。「なんで…」と声を漏らす猫娘、女の子は鬼太郎に興味をなくしたかのように今度は猫娘達の方へと体を向ける

その時また天獄の声が響く「愛しい子、もういいよ。さぁ早く私の元に戻っておいで」その指示に女の子は従いすぐにこの場から消えた

女の子が消え、残ったのは傷だらけの鬼太郎達だけだった。「…このまま全て滅ぼされる前に早く追いかけるわよ、今度こそトドメを刺しに」「…うん」「藍坊主もまだいける?」「…あぁなんとかな」3人はそのまま急いで女の子の元へ行こうとした時鬼太郎はそれを止めた

「待って下さい!なんで、○○ちゃんを…!やっぱり僕は、彼女を殺したくない…!」鬼太郎の言葉に猫娘達は驚く。そんな中天音は鬼太郎に背を向けたまま話す「…ならそのまま放っておいた方があの子のためになると?私たちのためになると?このままだと大禍の力によって世界も地獄も滅び、あなたの大切な仲間も殺されるのよ?それに貴方のその優しさで今の彼女を救えるとは思えないわ」

猫娘は天音の言葉に「ちょっと!さっきっから聞いていればあんた達○○の事なんとも思ってないわけ!?私達よりもずっと長く一緒にいたのに、そんな簡単に!」「一緒に居たからこそよ」天音は鬼太郎達の方へと顔を向ける「千年以上共に居るからこそ私達はあの子の辛さも苦しさも悲しみも…誰よりも理解してる。そしてあの子が誰よりも優しい事も。あの子を死なせてあげる事しか全てを解放してあげる方法がないのなら…私達はこの手で○○を殺すわ」女の子の全てを見てきたからこそ自分たちは彼女に非情になれる、強い覚悟の後ろに悲しみを映す天音の目に猫娘達は何も言えなくなる

「…貴方達はもう来なくていいわ。ここからはあの子を殺す覚悟がない者以外は足でまといになるから」冷たく言い放ち天音は足を進める。雛稀は涙が出そうな目を隠すように強く閉じ、目を開けると後をついていく。「鬼太郎、…天音の言う通りお前達は手を引くんだ。今回の事はあまりにも酷過ぎる」「藍兄さん…」「○○は俺達で何とかする…」藍坊主はそう話すと狐たちの後に続いた

俯き手を強く握りしめる鬼太郎「鬼太郎、追わなくていいのかい?」と砂かけばばあは言うが鬼太郎は黙ったまま。「このままでいいんかい鬼太郎、もう二度と○○には会えなくなるんじゃよ?!」目玉親父の声に鬼太郎は感情を抑え込むように小さく震えながら「はい…」と返事する

そんな彼に猫娘は前に立つと力いっぱいその頬を叩いた。突然のことに鬼太郎はふらつき、諦めたような光の刺さない瞳で猫娘を見上げる。

叩かれた頬を抑える鬼太郎に猫娘は肩を掴む、その目には涙が浮かんでいた。「本当にそれでいいの!?○○が死んじゃうのよ!?」「…でも、僕には…」「しっかりしなさいよ鬼太郎!貴方が彼女を助けないでほかに誰がいるって言うのよ!」「……」「…○○の事、大切に思ってるんでしょ?助けたいって思ってるんでしょ?このまま…好きな人すらも守れないで何が守れるって言うのよ…」鬼太郎が女の子に想いを寄せている事に気づいていた猫娘。猫娘の言葉に鬼太郎はハッとする。

(そうだ…僕は不安定で危うい彼女を守りたくて、いつも1人で何かを抱え込む彼女を隣で支えたくて…)霊永神社で女の子の話を聞いていた時、鬼太郎は伸ばした自分の手を彼女に触れる前に下ろしてしまった。触れたら何もかもが崩れるかもしれないと怯えたからだ。でも、今なら…

鬼太郎は猫娘に「猫娘…ありがとう」と礼をいう。そして、仲間たちと顔を合わせ共に頷くと鬼太郎達も天音達の後を追いかけた

鬼太郎は薄暗い森を抜けるとそこに広がるのは岩と地面しかない寂れた場所。そこには女の子とその後ろの崖から高みの見物をする天獄だった。

「おやおや勢揃いだね。全く巨頭オもくねくねと使い物にならないなぁ」と天獄は呟くように話すとまた新しく姦姦蛇螺と牛の首の怪異を召喚させる。天音は追いかけてきた鬼太郎に「あら、覚悟を決めたの?」の聞くと鬼太郎は女の子から目をそらすこと無く「はい。僕は彼女を殺さないで助けます」「…その方法は?」「分かりません。でも諦めたくない」そう話す鬼太郎に天音は何か考える素振りをした後「…せいぜい頑張りなさい」と返した

猫娘達は鬼太郎達が女の子に集中出来るよう天獄が召喚した牛の首と姦姦蛇螺へと向かう。鬼太郎はちゃんちゃんを女の子へと投げその動きを止めるように巻き付ける、その隙に藍坊主達が攻撃を仕掛けようとするが女の子は自身の妖力を増大させちゃんちゃんを弾き飛ばし藍坊主達も投げ飛ばす。

天獄は女の子の様子を見てにっこりと笑うと「さぁ愛しい子、その力をもっとこの虫たちに見せておやり」と語りかける。すると女の子は手に持った小刀を自分の首へと当てるとなんの躊躇いもなく引き裂く

鬼太郎達はその行動に驚く。すると女の子から吹き出した血は重力に従うことなくその形を整えていく。そして女の子がそれを手にする頃には鬼太郎の毛槍のような形をしたそれが出来上がっていた。そして自身と戦う4人を片っ端から倒していく。

それを手にした時から彼女の動きは先程のようなものとは違い、スピードも力も格段に上がっていた。藍坊主は負傷した腕を押えながら女の子と戦う鬼太郎を見る。その力の差は歴然で全く歯が立たない、やはり地獄の力に頼るしか方法はないと感じるほどであった

「鬼太郎!」傷だらけになり地面へと倒れ
た彼の名を呼ぶ。女の子はその声に反応しその次の標的として藍坊主の方を見ると足をそちらへと進ませようとする。しかしそれは叶わなかった。彼女の近くで倒れていた鬼太郎がその足を掴み止めたのだ

女の子はそんな鬼太郎を煩わしそうに見てトドメを誘うとその槍を鬼太郎に向ける振り下ろした時それよりも早く天音が鬼太郎を抱え避けた

天音は鬼太郎を抱えたまま後ろへと下がると雛稀と藍坊主に向かって声をかける「雛稀、藍坊主、あの子の事お願い出来る?ちょっと鬼太郎に話したいことがあるの」その話が一体何なのか分からないがきっとこの状況を覆すかもしれないと思った2人は頷くと女の子へとそれぞれ構えた

鬼太郎を地面へと下ろすと天音は口を開く「…本当にあの子を救いたいのなら一つだけ、方法があるわ」鬼太郎はその言葉に反応し天音へと顔を向ける「ただこれは失敗する方が格段に高いし、下手をすれば大禍の力に飲まれてその存在ごと消えるわ」「…」「それでもあの子を救いたい?」「はい」鬼太郎のその迷いの無い目に天音は小さく息を吐くと鬼太郎に赤い宝石のような石を渡した。

それはよく見るの中に六芒星が埋め込まれていて何か不思議な霊力を感じた。これは?と問う鬼太郎に天音は続ける「大禍の力の中へと潜り込めるもの、って言えばいいのかしら…あの子に近づいてこれをかざしなさい、そうすれば内側から大禍に囚われてるあの子を救い出せるかもしれない。けれど上手くいくかなんて保証は出来ないわ、大禍の力の邪気は想像以上に酷いものだから」「それでも、○○ちゃんを救えるのなら…その可能性が僅かにでもあるなら、僕はこれにかけます」

霊石を握りしめそう話す鬼太郎に天音はうっすらと笑う。そして「雛稀、藍坊主!○○の動きを止めさせて!」天音の言葉に雛稀達は彼女を殺すという作戦から動きを止めさせるという作戦へと変える。「鬼太郎、私達が○○を抑えているうちに行きなさい!」と天音も神通力で女の子の動きを止めにかかる

3人の力で動きを封じられた女の子へと鬼太郎は向かいその霊石を彼女の目の前に掲げた。それは赤く眩しく光る、けれど大禍から発せられる邪気がその霊石にひびを入れる。

(お願いだ…!耐えてくれ!)彼女を助けたい、その意思で鬼太郎は自身の妖気もその霊石へと送る。しかしそれでも邪気の方が圧倒的に強くこのままでは霊石が砕けてしまう、そんな時だった

ずっとその様子を見ていた千秋は祈る(○○ちゃん…、神様、鬼太郎さんに力を…。○○ちゃんを助けてください!)そう願うと霊石はそれに反応するように大きく光り鬼太郎達を包み込んだ

鬼太郎が目を開けるとそこは闇のような暗闇しか広がっていない場所だった。そこらじゅうから感じる邪気に瞬時に大禍の中へと入ったのだと悟ると鬼太郎は女の子を探しだす

走れど走れど暗闇しか見えず、どうしたらいいのかと頭を悩ませる鬼太郎に声が聞こえる。それは1度だけ聞いた事のある声だった「こっち、こっちだよ…」それは女の子の親友である千秋の声

なぜ彼女の声が?と不思議に思うが鬼太郎はその声に従う。今聞こえる彼女の声から悪意も邪気も感じなかったからだ。声を頼りに向かっていた時、鬼太郎はゾクリとした寒気と恐怖に襲われる。その感覚は鬼太郎の地獄の力が暴走した時女の子がそれを無理やり止めた時と同じもので自身のからだを這いずるような気持ち悪さに足が止まる

体が震え引き返したいと思考が叫ぶ。しかし鬼太郎は自身の胸元を強く握りしめ震えを紛らわせるように1歩、また1歩と進んでいった

進む度に恐怖が膨れ鼓動も激しくなる中また鬼太郎の耳に声が届く。それは千秋の物ではなく彼の目的でもある女の子のものだった。その声は酷く脅え、幼子のようで「お父さん…お母さん…」「寂しい…」「ひとりにしないで…」と何かに縋り付くようなものだった

その言葉や彼女の感情に顔を歪ませる。そんな彼の目にこの暗闇とは浮いたものを見つけた。それは探し求めていた女の子だった、膝を抱え顔を俯かせ目を閉じ耳を塞ぐその姿はいつもの巫女服ではなく見慣れない現代の服。

鬼太郎はすぐに女の子の元へと駆け寄り声をかける。しかし女の子はずっとお母さん、お父さん、ちーちゃんと小さく助けを求め続ける。自分の声が届いていないと分かった鬼太郎は耳を塞いでいた両手を掴み無理矢理ではあるものの耳から離す

「○○ちゃん!」と声をかければ彼女の肩は大きくビクリと揺れ、閉じていた目がうっすらと開く。「○○ちゃん僕だ、鬼太郎だよ。ここから出よう?皆君を心配してる」そんな鬼太郎の言葉に女の子は助けを求める声を止める「…なんで、」「え?」「なんで戻らなきゃいけないの、もう戻りたくない…怖い、生きるのが怖い、人でなくなった私が怖い…怖い、怖い、なのになんで、」

もう消えてしまいたい、そう女の子が話すと彼女の1部が黒く染る。まるで大禍の力に飲み込まれているようでそれは少しずつ、けれども確実に女の子を侵食していく

「そんな事思ったらだめだ!君が消えたら、」「辛いの…もうひとりぼっちになるのは嫌だ…もうこれ以上大切な人を忘れたくない」握られている手が震えいるのが分かる、まだ15年しか生きていなかった子供には目を背けたくなるほど過酷で残酷だ。

けれど、それでも鬼太郎は彼女を手放す事はしたくない「…ねぇ○○ちゃん、さっき君は生きる事も人間の道からそれてしまった事も怖いって言ってたけど、僕らは……僕は君にあの時会えて心から良かったって思ってるんだ。君にとっては酷いことだって思うかもしれないけど。○○ちゃんと沢山話して、色んなことをして、後変なことに巻き込まれたりして少し大変な思いをしたりもあったけどそれは全部僕の中で大切なもので…○○ちゃんがここにいなかったら何一つ存在することは無かったと思う」鬼太郎は掴んでいた女の子の手を離し、彼女の目からこぼれ落ち続ける涙を拭う「○○ちゃんはひとりぼっちなんかじゃない、天音さんや雛稀さん、横丁の皆だって居る。藍兄さんや父さんや僕…他にも色んな人達が君の傍にいるよ。記憶だって何か思い出す方法があるはずだ、そしたらそれを一緒に探そう。それで僕に教えて欲しい、君の大切な人達を…そうすればまた忘れそうになっても僕がすぐに思い出せるように頑張るから」

女の子は少し顔を上げ鬼太郎を見る「…なんで、なんでそんなに私なんかの為に…」鬼太郎は半分ほど邪気に染まった女の子の頬を両手で包み額を付ける「あの時言ったじゃないか。なんかじゃない、○○ちゃんだからだよ。○○ちゃんだから僕は君を守りたいし傍にいたいんだ」君が好きだから、という言葉は胸に秘め鬼太郎は笑顔を作りながらそう話す。

「…変なの」女の子の姿は気がつけば邪気は消えあの見知った姿へと変わっていた。鬼太郎はそんな彼女に安心したように笑うと顔を離し立ち上がる。「一緒に戻ろう、○○ちゃん」「…うん」鬼太郎は女の子に手を伸ばし、女の子はその手を掴んだ

霊石の光が収まりそこに立っていたのは鬼太郎と顔まで刻まれていた刻印が消えた女の子の姿。鬼太郎は大禍の力に飲み込まれていた彼女を救えたのだ。女の子はふらりと鬼太郎の方に倒れ込む、彼はその体を支える「ごめんなさい…力が入らなくて…」「少し無理しすぎたんだよ、大丈夫…○○ちゃんは休んでて」

その2人の元へ天音達は駆け寄る。「馬鹿な、なぜ!何故だ!…返せ!!愛しい力、入れ物を返せ!」天獄はそう叫び刀を取り出す。鬼太郎は女の子を天音に渡すと前へと出る「○○ちゃんはお前の物じゃない!!僕はお前を絶対に許さない!!」

鬼太郎は獄炎乱舞と武頼神で姦姦蛇螺や牛の首も倒し、そして天獄も倒した。地獄の力、そして先程の事で妖力を使い続けふらつく鬼太郎。傷を負い地面に倒れた天獄に倒したか…?と目を向ける、しかし天獄は地獄の力をもろに食らっているにもかかわらずよろよろと立ち上がったのだ。

「…私は…あぁ…」「まだ立ち上がるのか…!?」「ダメだ…私は…日本を、地獄を、」滅ぼさなければならないのに、その言葉とともに天獄の体の中から邪気が溢れ出す。そして天獄の体はどんどん歪んでいき、ふたつの頭、4つの手、アシュラの成れの果てのような姿

女の子は天音の元から離れそれを目にする「リョウメンスクナ…」その大きさは山のように大きく体は邪気を纏いそこから漏れでる邪気が周りの岩を塵へと変え。その恐ろしいものに猫娘達は数歩後ろへ下がる者、その場に立ち竦むもの、座り込む者など今の状況は絶望的なものであった

「まずいな…流石にあれは下手に手出しが出来ねぇ…」「なら僕が、また地獄の力で…!」鬼太郎は地獄の力を使おうとするが、妖力は残っていなく鍵が現れる前に地面に膝をつける。

「天音…大禍の力は全てを滅ぼすのよね」「えぇ、そうだけど…貴方まさか!」やめなさい!と叫ぶ天音に皆2人の方へ視線を向ける。女の子はそんな生死の言葉も聞かずどんどん前へと歩いていく。「○○ちゃん!」鬼太郎の横を通り過ぎようとした時女の子はその呼び掛けに足を止め鬼太郎の方を見る

女の子へ震えた手を伸ばす彼、その泣きそうな顔をする彼の頭を女の子はまたぐしゃぐしゃと撫でる「大丈夫よ、貴方達は絶対に死なせない」女の子はいつものような小さな笑みではなく、子供のようにまだ人間の時であったあの頃のように笑顔を見せる。そして手を離しリョウメンスクナへと走り能力で空を飛ぶとその邪気の中へと入っていった。

「○○ちゃん!!」女の子が邪気の中に入った瞬間リョウメンスクナの動きが止まる。彼女の元へ、鬼太郎はガクガクと震える足で立ち上がると自分もそこへと向かおうとする。しかしそれは藍坊主によって止められる「鬼太郎!行くんじゃねぇ!」「でも!○○ちゃんが!このままじゃ!!」そんな時鬼太郎は女の子の後を追うように自分の横を横切るそれに自分の動きをとめた

それは鬼太郎しか気づかなかった人物、大禍の力の中に入った時女の子の元に導いた子。「千秋ちゃん…?」なぜあの子が見えたのか、自分の幻覚なのか分からないが今はただ見ていることしか出来なかった

女の子は邪気の中でその中心を探す。そしてそれを見つけた。本当のリョウメンスクナ、悲しく辛く憎しみを持つミイラが薄く不気味な色の光を放っている「…ここまで長い時間だった。色んなことがあって色んな人と出会った、辛いって思ってたのに気付かない内に楽しいって思う自分がいた。そこだけは感謝してるの」女の子は自信におそいかかる邪気に取り憑かれた亡霊のようなものを切り倒し近づいていく「鬼太郎達には迷惑を掛けてしまったわ…元々は私とあんたの戦いだったのにね。でも嬉しかった…私なんかの…私のために本気で心配してくれる人達がいるって知れたから」本体へとたどり着くと小刀を両手で握り振り上げる、その時大禍の力を込めて「さようなら」

リョウメンスクナは大禍の力が込められた小刀に突き刺されるとその体にヒビが入り、それに合わせ周りも変化が起きる。自身の体の中にあるもの全てを道ずれにするように邪気が膨れ上がり消滅していく。(終わった…これで私は大禍の力と共に消えていく…)それはこの千年以上願い続けたものだ。でも、けれど…女の子の頭には天音達、そして鬼太郎の顔が浮かぶ「死にたくないなぁ…」「死なせないよ」自分しかいない空間だった。聞き覚えのある声暖かくて優しいそれに女の子は顔を上げた「ちー、ちゃん…?」

震える声でそう問えば目の前の彼女はあの時と変わらない笑顔で笑う「そうだよ、今度こそ本当の私だよ○○ちゃん」千秋の体は少し透けている。「私ね、○○ちゃんの頑張ってる姿をいっぱい見てきたんだ」そう言うと千秋は涙を流す女の子の両手を握りしめ、自分が夢の中でずっと女の子の活躍を見てきた事を話す

「いっぱい頑張ったね、大変だったね、怖かったね…ごめんね、見てることしか出来なくて」「ちーちゃんのせいじゃないよ…」千秋は女の子のようにどんどん涙を溢れさす。そして1度下を向き鼻をすすると笑顔を浮かべて女の子に顔を向ける「私が○○ちゃんを助けるよ。だって大切な親友が死にたくないって言ったんだから!それに幸せになって欲しいもん!」「ちーちゃん…」「会えなくても見えなくても私はずっと○○ちゃんの事を想ってるよ。顔や声がわからなくなったってそれは絶対変わらない…そうでしょ?」女の子はそう話す千秋に大きく頷く。すると千秋は思い切り女の子を抱きしめる「大好き…幸せになって、長生きしてね」「私も大好きだよ。ちーちゃんこそ幸せになってね…私の1番大切な親友」女の子は抱きしめ返す、すると千秋から白い光が溢れリョウメンスクナから漏れでる邪気を浄化していった

鬼太郎達はリョウメンスクナが突然苦しみだし、邪気が膨れ自身の全てを消し去ろうとする動きを見守る。「○○…」「○○ちゃん…」誰もが女の子はもう助からないと感じた時だった。白い光がリョウメンスクナの中心から溢れ出しそれが邪気を浄化しながら覆っていく。一体それがなんなのかと不思議に思うえばその光の中心がどんどん下へとさがり、そこからキラキラと輝く粒子が流れるように上に去っていく

そしてそこに居たのは地面に座り込みその粒子がさっていく空を見上げる女の子の姿だった。鬼太郎はその姿を目にすると自分を抑えていた藍坊主の手から抜け出しすぐに女の子の元へと駆け出す「○○ちゃん!!」「…鬼太郎」鬼太郎の呼ぶ声に女の子は未だ涙を流しながらそちらへと顔を向けた。そんな彼女に鬼太郎は勢いはそのままに抱きしめる。女の子はその勢いに後ろへ倒れそうになるのを堪える、自身の肩口に顔を押し付ける鬼太郎。背中に回る手の力強さと鼻をすする音に女の子は鬼太郎が泣いてる事を悟る

「もう…」「鬼太郎…?」「もう二度とこんな無茶な事をしないで…」「…」「○○ちゃんが、死んでしまうかと思ってッ、」「うん…」「僕らがッ、僕らが助かったって、君がいなかったら、意味が無いじゃないか…!」痛い程に力を込め嗚咽を漏す鬼太郎、女の子はその背にゆっくりと手を回し千秋の時のように抱き返す。彼の暖かい体温に涙が止まることは無い。「ごめんね…それと、ありがとう鬼太郎」彼女の言葉を聞いたあとしばらくして鬼太郎は顔を離し彼女を見ると、涙で顔をぐしゃぐしゃにしたまま安心したように笑った

そんな2人の元に天音や藍坊主達が駆け寄っていく。女の子は自身の頭を撫でられ、心配したと軽く叩かれ、手を添えられ、後ろから抱きつかれ、無事でよかったと声をかけられる。そんな中で彼女は柔らかい笑顔を浮かべた

その数、女の子と鬼太郎は仲良くその場でぶっ倒れた。そして数日達女の子は大禍の事であっちへ行ったりこっちへ行ったり地獄へ行ったりと大忙しであった。今回の事も地獄は見ていたらしく、もしまた同じ事があれば今度こそ大禍の力事消し去る事になる。と忠告を受けた。そして彼女は自身の左手首を見る、そこには未だ消えることの無い刻印が刻まれていた。それは一生背負っていくものだけれど何故か彼女は今度は大丈夫だと感じた。