話の流れ1

鬼太郎は今危機的状況に陥っていた。今目の前で妖怪が罪のない男の子を襲おうとしているのにもう体が動かない。「はやく、逃げろ…!!!」声が乾いた喉にへばりつき上手く声が出ない、けれど力いっぱい叫んだ。だがだからといってこの状況が何一つ変わるわけが無い、地面に這いつくばりその子へと手を伸ばす。はやく、はやく逃げてくれ。目の前で子供が食べられそうになったその時だった。突然鬼太郎たちの周りを白く強い光が全てを覆い隠した。その強い光に思わず目をつぶってしまったがすぐに開けると、その強い光を放っているであろう赤い玉が目に入った。
その玉は強い光を放つと同時に大きな結界を作り少年を妖怪から守り、更にはその光は竜となり妖怪を飲み込んだ。
妖怪を飲み込んだ竜はその勢いのまま宙を一回天使また赤い玉の中へと戻って行った。

光が消えるとまた薄暗い暗闇へと戻って行ったがここを支配していた妖怪の姿はない。「さっきのは一体…、それにこの気はただの妖気じゃない…?」「う〜む、これは神気じゃな。しかし妖気と混ぜ込み力を増大させるとは…」「神気?」「そうじゃ。これは主に神や神職者、生物としての位が高いものしか扱えないものじゃ」一体何者なのか、それを知るめ鬼太郎は傷だらけの体に鞭をうち地面に落ちたあの赤い玉を唖然とした顔で見つめる男の子の元へと寄った。「…これは君がやったのかい?」「う、ううん、違う…」どもりながらも答えた少年にじゃあ一体誰が、赤い玉をそっと持ち上げた時そこからうっすらと感じとった妖気に何処か覚えがあった。そうだ、これは、あの時の…。「…お姉ちゃん…」「?」「この街にある少し大きい神社の、巫女のお姉ちゃんだよ、この玉をくれたの…」「巫女…」この後鬼太郎は少年に頼み赤い玉を持ち帰り、この少年を含めた子供たちを無事家に帰した。

自分の家へと帰った鬼太郎は部屋の隅においてあった箱から弓と札を取りだす。目玉の親父が「どうしたんじゃ鬼太郎」と聞くと「この玉に触れた時、これらと同じ妖気を感じたんです。うっすらとですが…」「なんじゃと?それが本当ならあの男の子が話していた巫女はただの人間ではないの…」札は大百足の時、弓は黒坊主の時…どちらも鬼太郎達を助けるためのものだった。一体どこの誰が、と思っていたが確認しようと周りを見ても誰の気配もなかった。鬼太郎と目玉の親父、そして途中で事情を知った猫娘はその翌日また少年の元へと訪れ少年達と共に楓花のいる霊永神社へと向かった。

いつもの日課のように楓花が境内の掃除をしていた時いつものクソガキ連中と感じとったことの無い妖気に箒で掃いていた手が止まった。その後すぐに「お姉ちゃん!!!」という少年達の声に顔を向ける。少年達とその後ろには遠目からしか見たことがなかった妖怪2人…いや、3人(ゲゲゲの鬼太郎…とその父親、仲間の妖怪…。名前はなんだったっけな、雛稀が話してた気が…。あぁ思い出した確か猫娘だ)あまり変わる事のない表情の中でそんなことを考える楓花。そんな彼女の考えなど知らない鬼太郎は彼女の何処か浮世離れし不安定な雰囲気に目を引いた。
楓花はその妖怪3人に特に興味はなくすぐに目を逸らすとそのまま少年へと向けた。「無事だったの」「うん!あの人達とお姉ちゃんがくれたあの赤い玉のおかげで!!!あれ凄いね光がピカーって光って龍みたいのが妖怪を飲み込んで倒したんだ!!!」「…ということは約束守ったのね、私絶対あんたは約束破ってさよならすると思ってたのに」「もしかしてお姉ちゃん俺等のこと見捨ててた!?」「見捨ててないわよ。ただうるさいクソガキがいなくなったらラッキーだとは思ってたけど」「ひでーよ姉ちゃん!」「酷いのはあんた達のうるささ。私に感謝してるなら代わりにここの掃除よろしく」箒を少年に押し付ける。少年達はなんだかんだ彼女に感謝を感じているのかぶつくさと落ち葉の掃除をし始めた。

鬼太郎達は楓花と少年達の話を苦笑いしながら聞いていると、彼女が自分たちの方へと歩み寄ってきた。近くで見るほどほかの人とは何かが違う彼女を不思議に思い見入っていれば猫娘のわざとらしい咳でハッとする。楓花はそれらを気にすることなく「あんた達は本殿へどうぞ。あのクソガキ達を助けてくれたお礼がしたいの」と本殿の中へと誘い入れた。元々彼女と話がしたかったがためにやって来ていたため断る理由もなく中へと入る鬼太郎達。居間へと案内されている途中、ふと目の前を歩いていた楓花が立ち止まりこちらへと顔を向けた。「そう言えばあんた達は大丈夫なの?」「えっと…何がですか?」「いや、ここって他の神社よりも神気が高いから普通の妖怪にはきついのかなって。まぁ辛かったら言って一時的に神気を下げて妖気を上げるから」まるで世間話でもするようにそう話しまた歩き出した彼女に鬼太郎達は目を見開いた。
居間につくと楓花は早速とでも言うように彼等に話し始めた。「まずはクソガキ連中を助けてくれて感謝するわ。それで?私に何か用かしら?」「…あなたは一体何者ですか」鬼太郎は赤い玉を取り出すとテーブルの上へと置いた。見覚えのあるそれに楓花は(あのクソガキ勝手に渡しやがって)と内心切れたがそれを隠す「これに触れたときあの時の…大百足や黒坊主と戦っていたとき僕達を助けるかのように敵の動きを妨害してくれた札や弓矢と同じ妖力を感じました。そして今回の事…普通の人間には出来ないことだらけだ」と鬼太郎は楓花に対して何者なのか聞いてくるが楓花は助けたわけじゃないんだけど…と思いつつその問に対してどう答えれば正解なのかと少し考えそして結局思いつくことも無く正直に話す。「私はあんたが思っている通り人じゃない」「!」「でも妖怪でもない、ましてや神なんかでもない。私自身私がなんなのか分からないのよ、でもこれだけは言える。あんた達が私を人間だと思えば人間だし妖怪だと言えば妖怪、神と祈れば私は神なの」そう話した楓花に鬼太郎達はまるで意味がわからないとでも言うかのような顔をする。けれど彼女は昔からそれこそ前に座っている彼等3人が生まれ落ちる前から事ある事に人間から人と親しまれ、妖怪と怖がられ、神と崇められてきた。そしてふと彼女は自分の自己紹介をするのを忘れていたことに気がついた。「そう言えば挨拶が遅れたわね。私はこの神社の巫女をやってる羽澄楓花よろしく」「あ、僕は、」「知ってるゲゲゲの鬼太郎でしょ?それであんたの髪の中にいるのが目玉の親父さん、で隣にいるのが猫娘よね」「なんで私たちのこと知って…」「まずさっきの話を含めて言うとすれば私はあんた達を助けたわけじゃない。私は一応妖怪や怪異から街を守る巫女の役割も果たしているから、たまたまあんた達と敵が同じだっただけ。もしあんた達が街に被害をもたらすなら容赦なく消すわ」容赦なく消す、その言葉に猫娘は怒りを表すがそこは鬼太郎と髪から出てきた目玉の親父が宥める。「鬼太郎達の言う通り落ち着いて、私は"街に被害をもたらすなら"って言ったの。別に無造作に妖怪を消そうだなんて野蛮なことは考えてないわ。それともう1つなんで私があんた達を知ってるかってことなんだけど」と言いかけたところで楓花はこの3人とは別の気配に気づき後ろを振り返る。

振り返ると同時に襖が勢いよく開き一般人なら美人だと、可愛いと言うであろう女性と少女が入ってくる。ただしその2人には通常では考えられない狐のしっぽと耳が生えていた。天音と雛稀だ。天音が「私達がこの無知な子に教えてあげてたの」と笑いながらいえば目玉の親父が「おぉ!天音か久しいのぉ!」と声をかける。そのまま天音が中心とした話で丸く?収まった。そして帰り鬼太郎達を鳥居まで見送ると鬼太郎が「今日は押しかけてすみませんでした」と楓花に言うと彼女は特に気にしてなく「別に気にしないで」とだけいいまた本殿へと戻ろうとした時足を止めた。そしてもう一度鬼太郎達のいる方へと振り返ると小さく笑いながら「今度会う時は敬語とか堅苦しいのはやめてね」とだけいいまた戻っていった。

あの時実はもう二度と合わないだろうと思っていた楓花は目の前に釜を持ち何処か疲れ果てている鬼太郎が立っていることに少なからず驚いた。「何それ?」と聞けば「実は…」と全てを話してくれる。それを聞き思わず同情する程の運の悪さに思わず「それは、大変だったわね」と言うと鬼太郎は苦笑いを浮かべた。「じゃあこの釜を供養すればいいのね」「うん。そうして貰えると助かる」楓花は鬼太郎をまた本殿へと招き供養する広間へと案内した。その途中で何かにぶつかったり転びそうになっていたり…本当に運のない日ね…と横目に見ていた。
供養が終わり楓花はこのままだと階段を転げ落ちるのではというなんとも言えない心配にかられ前回とは違い鳥居をくぐった階段下まで着いていく。「また突然来てごめん」「別にいいの、前にも言ったけど気にしないで。忙しい時なんてそうないから」ありがとうと笑う鬼太郎にまた小さく笑う。じゃあ行きましょうか父さん、と彼女の横を通り帰ろうと鬼太郎が1歩を踏み出した瞬間石に躓き盛大にこけようとしたとき、それよりも先に楓花の体は動き片手で鬼太郎を受け止めもう片方の手で目玉の親父をキャッチした。「ちょっと大丈夫?」「へっ、あぁ…うん」身長も体格も鬼太郎の方が少し小さいせいか軽々と受止められてしまったなんとも言えない恥ずかしさと、一応の心配で顔を除きこんできた楓花の顔の近さに気恥しさを覚え言葉をどもらせる鬼太郎。そんな鬼太郎のことなど梅雨知らず楓花はもう片方の手にいる親父にも大丈夫かと聞き「大丈夫じゃ」と返されるとそのまま鬼太郎の元へと戻した。

「ねぇ近くまで送ろうか?」「えっ!いや、それは悪いよ…釜の供養もしてもらったのに…」「でもこの運の悪さだと無事にあんた達の家に戻れるとは到底思えないわよ」「うっ、」図星でもくらったかのように言葉を詰まらせる鬼太郎と目玉の親父に楓花は本当に親子なのね…と微笑ましさと羨ましさを感じつつそれを隠すかのように言葉を舌で押し出した。「それに私巫女だからか知らないけど他の人より幾分も運がいいの。だからその運の悪さも相殺されるわよきっと」「……お願いします」って感じで妖怪横丁の途中まで送る楓花。そして彼女が話していたとおり行きでの不運がまるでなかったかのように特に何も無く妖怪横丁の入口と繋がってる裏路地へと辿り着いた。「ほら、言った通りだったでしょ」「うーむ流石は神職に着いているだけあるのぉ、助かったわい」「えぇ本当に。楓花ちゃんありがとう」「いいのよ気にしないで」手をヒラヒラと振ってじゃあ、また。と別れようとしたとき、ふとここでは無い別の場所で違和感を感じ一瞬動きを止めた。(まーた人間が祀られてる祭壇の近くをうろちょろしてるわね…。そいつは後が面倒臭いからいじらないで欲しいのに…。肝試しなのかなんなのか知らないけど困ったものね)壊されたりでもしたらたまったもんではないと思った楓花はそのまま何も無かったかのように鬼太郎と別れた。楓花が去った後ゆっくりと横丁に向かっていた時鬼太郎がふと口を開いた「…何かあったんでしょうか」「んん?彼女の事か?」「はい。さっき別れる時何か急いでいるようで」「きっと巫女の仕事が忙しいのじゃろう。神社の掃除に参拝客の相手、それに神様への供養もあるじゃろうしな」「やっぱり断れば良かったですかね」「じゃが彼女の親切を無下には出来ん。次会った時は何かお礼をしよう」「そうですね」ここで楓花が聞いていれば「またあんた達と会うの?」と少し嫌な顔をする事だろう。

鬼太郎と別れた楓花は彼等の視線から消えるためすぐに人気のない道を曲がった。そして袖の中から1つ狐の面をとり顔にかぶると、楓花は自分の能力でふわりと宙に浮きまるでジェット機のような速さでその祭壇がある山へと向かった。狐の妖力と彼女の持つ妖力と神力で楓花の姿は誰にも見えることは無かった。
その後は人間が祭壇に触れる前に楓花が姿が見えないまま到着し能力で周りの石や木を浮かせ人間を追い払った。

楓花が本殿の縁側に座りぼうっと空を見ていた、しかしどこか焦ったように雛稀が彼女のもとにやってくる。その姿を楓花は横目で見ると興味がないようにまた空へと視線を戻した「楓花ちゃん!!」「どうしたの」「あの山の祠が壊されてヤマノケの封印が…もう人間にも被害が出てるよ…」どうにかしないと…!と焦る雛稀。しかし楓花の顔色は変わることはない、そんな二人のもとに天音がゆったりとした歩調で歩いてくる、その顔は笑みを浮かべて「貴方ヤマノケの封印が解かれていたこと知ってたでしょう、雛稀が伝えるよりもずっと早く」「えっ!!」「うん」やっぱり、とからから笑う天音とどうして被害が出る前にまた封印しなおしに行かないのかと聞く雛稀。「今回のことは自業自得。私は1回止めたわそれなのにまた懲りずに人間たちが勝手に解いて勝手に被害を被っただけ、痛い目に合わないとわかってくれないからね」「うっ…確かに」静かに目を閉じながら話す楓花にどこか納得してしまう。雛稀自身別に人間がどうなろうと知ったこっちゃないのだ。ただ無関係のものを巻き込みたくないだけ、長寿の狐にしてはその甘い考えに天音は溜息を吐いた。

それから数時間後楓花と山の様子が気になり彼女についてきた雛稀はヤマノケのいる山の上にいた。彼女達の下では鬼太郎とそのわ仲間たちがヤマノケと戦っている、しかしその状況は圧倒的にヤマノケの方が有利で今意識がありなおかつ立っていられるのは鬼太郎だけであった。「どうしてあいつ等は何でもかんでも首を突っ込むのかしら」楓花の独り言に雛稀も首を傾げるのだった。

一応巫女としての自覚はあるため後始末はやらないと楓花は空からヤマノケに向かって矢を放ち、それと同時にヤマノケの上へと勢いよく落ちた。その勢いで辺には砂埃がたち全ての視界を奪っていく。その中心にゆらりと立ち上がる狐の面をかぶった何かに新たな妖怪か、と鬼太郎は警戒をするがその何かが着ている服に見覚えがあり思わず声が出た「楓花ちゃん?」鬼太郎にそう呼ばれ彼女は顔だけをこちらに向けるがヤマノケの唸り声に反応しそれは一瞬だった。楓花は弓矢を地面に置き袖から大幣を出すとよろよろと起き上がったヤマノケに強烈な蹴りを食らわせそのまま山奥へと消えていった。

倒れた仲間と共にその場に取り残された鬼太郎の前に今度は雛稀が降り立った。「あなた達大丈夫…じゃないね。1、2、3…うーんヤマノケに取り込まれてる妖怪が多いな*。こりゃ徹夜コースかな」呑気に話す雛稀に鬼太郎は焦りながら楓花の心配をすれば雛稀はクスクスと笑い比較的症状の軽い猫娘の意識を戻させた「大丈夫だよ、楓花ちゃんは私達の巫女様だから」
雛稀の言葉通り楓花は片手でヤマノケを引きずりながら鬼太郎達の前に現れた。その時猫娘を死ぬほどビビらせながら。

ヤマノケに札を貼りまた祠へと封印した楓花は面を外しながら鬼太郎達の前に立った。「あなた本当に巫女なの?」「?そうよ。正真正銘の霊永神社の巫女」なんで?と言ったような顔をする楓花に雛稀は苦笑いしか出来なかった。どこに自身でボコボコにした怪異を片手で引きずる巫女がいるんだよ。
その後楓花と雛稀の手によって一時的に鬼太郎とその仲間たちは神社へと運ばれる。そしてヤマノケの幻術を解き、鬼太郎と猫娘には絶対に安静にしてなさいと雛稀を監視に一夜を明かさせた。

目が覚めた砂かけばばあ達に事情を話その上で自己紹介をする。猫娘は治療のお礼として巫女の仕事(受付とか)を手伝ってくれ、その経緯で前よりも話し合える中に。皆が本殿の方に居る中そっと裏に生えている大樹によっかかり目を閉じ休んでいれば鬼太郎が近づきまた目を開けた。「よくここにいるって分かったわね」「天音さんに聞いたんだ」という言葉にあの女狐め…と腹を立てれば鬼太郎に「ありがとう」と言われる。突然の感謝の言葉に意味が分からず顔を顰めれば「釜のときと今回の時、助けられてばっかだったから」「…お礼なんて別にいいのに」釜の時は同情で、今回のことは元を辿れば自分の尻拭い。感謝なんて要らないのだ。そのままなんてことの無い話をポツポツと話していた時あることを思い出した「あ、」「?」「そう言えば妖怪大運動会だっけ?あれもうすぐでしょう?頑張ってね」「なんで知って、」「あの時言ったでしょう?私は人でも妖怪でも神でもないって。つまり逆をいえばなんにでもなれるの」ただやっぱり目立つからこれは必須だけどねと楓花はあの時の面を出す。それに少し妖怪アンテナが反応した事に鬼太郎は不思議に思う「これは?」「ただの狐の面よ。ただしこれには天音と雛稀の妖力が混じってるの」そうすることで妖怪の中にいてもバレないと話す楓花に鬼太郎は納得する。「だから妖怪の事情にも詳しいってわけ運動会も何回か見に行った時あるしね」そう話しながら楓花は面を袖の中にしまうとそろそろ戻りましょ、と鬼太郎を連れて本殿へと戻っていった。

猫娘はその帰り鬼太郎と楓花が一緒にいた事についてとても不機嫌だった。「ねぇ鬼太郎」「ん?」「あの子の事好きなの?」「あ、あの子?」「楓花よ!楓花!!
」猫娘の問に困ったように否定する鬼太郎。それでもどうしても納得出来ない猫娘「どうして急にそんなこと」「だって鬼太郎ってば最近楓花のこと気にかけてるって言うか、今日だってわざわざ天音さんに居場所聞いてたし」気にかけてると言っても鬼太郎的にはそんな色恋事ではなくあの時感じた存在が不安定な彼女を心配しての事でもあり、それを抜きにしても助けてくれた礼が言いたかっただけなのだ。その事を猫娘に言えば全て納得していないかのようにふーんとだけ返されるのであった。


楓花は天音達に引きずられるようにして妖怪大運動会を見に来ていた。酒を飲みながら観戦する狐に引きの横で楓花は墓場で運動会とはなんて悪趣味な、と思うが妖怪の感性なのだから仕方がない。運動会も終盤、狐の1匹も酔っ払い絡み酒も面倒くさくなってきた。このまま誰にもバレずに帰ろうとする彼女を猫娘はたまたま見つけ声をかけた。「最後まで見ていかないの?」「えぇ、残念だけどね。まだ仕事が残ってるから」あの狐達はどうするのと聞けば楓花は仮面の下で呆れたように笑うと「酒の入った狐の世話は面倒臭いからごめんよ。まぁもし深酔いなんてしてたら雨に野ざらしにするか盛大に尻を引っぱたいておいて。許可は私って事で」と冗談混じりの言葉に猫娘は思はず笑った。恋敵かもしれないがそれ以前に世渡り上手で何処か飄々としてる彼女との話はとても面白いのだ。分かったわ、と猫娘も冗談混じりに返事をし短い女子トークは幕を閉じた。